7.この人は求心力よりも遠心力の人だったけど、これはもう分解寸前までいってる。前半の世界旅行は正直言ってほとんどノレなかった。部分で言えばリスボンの路面電車なんかは悪くないんだけど、前半キチンと物語としての面白さを出していないと後半生きないから、これでは困る。でも作家の質として仕方ないんでしょうな。皮肉なことに、その物語が終わって人々が映像病に閉じていく後半、オーストラリアに入ってからのほうが若干面白いんです。荒野をさすらうあたりからこの人のトーンが出てくる。世界の終わりという大規模なスケールのところから、次第に極所に集中してくる。盲目の母に視界を与えるという家の世界になり、そこから個人の夢の世界にと狭く狭くなっていく。意外と「家族」って、この作家のポイントなのかもしれない。世界はあまりに広すぎ、個人の夢はあまりに普遍から遠い。家族の愛を単位としたらどうか、って。も一つ意外だったのは、映像の病いから抜け出すのが「言葉」なんですな。映像作家の皮肉な結論。映像は閉じ、言葉は開く。映像(夢)は人それぞれのものだが、言葉は普遍に使われているものを借りて綴っていく。そこに開かれるものを見ている。ハイビジョンによる夢の映像ってのがウリだったが、ある種の夢のような感じ・明晰でないことの美しさは出ていた。今見るとどうだろうか。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-07-03 09:56:33) |
6.ヴェンダースの、あの初期の頃の面影が全くありません。 残念です。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2007-10-15 11:53:43) |
★5.《ネタバレ》 一人の女が世紀末の辺境地にて自動車事故→事故の相手は銀行強盗犯→強奪した金の運び屋となる→謎の男に金を奪われる→謎の男を世界中追いかけまわす→いつしか謎の男に恋する、、、いかにもヴェンダースらしからぬ展開ながらコレはコレで面白い。 旅の最終地のオーストラリアにおいてようやくヴェンダースの永遠のテーマと言える「映像の可能性」が描かれる。ここまでが長い!コレはコレで面白いと書いたように前半の追っかけっこはコミカルかつスリリングでそこだけ見ればけっこう面白いんです。そちらをメインに考えるなら結末が長い!ってことになるんですが、後半で描かれる「映像の未来型」こそがメインの主題ならばやっぱり追っかけっこが長すぎ!世界中で撮りまくったから削るのがもったいないという潔くない部分が見え隠れする。即興的映画制作のダメなところが浮きぼりになった作品だと思う。とは言うものの日本が出てくるせいか印象に残るシーンも多々あるからバッサリとは切り捨てられない。夢を映像化した映像は文句なしに美しかった。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2006-01-30 15:19:12) |
4.U2の曲がタイトルになっているし、ヴィム・ベンダース監督は小津安二郎監督のファンと聞いて親しみが持てたので、観てみました。結論は、それだけの理由で観るのは危険な映画です。観る人を選ぶ映画という意味では「ベルリン・天使の詩」以上です。 |
3.『パリ、テキサス』はフロックだったのか、『ベルリン・天使の詩』の意外な好評に己の感性を疑ったがこの作品でヴェンダースめ、ついに馬脚をあらわしよったわ。 【イツジ】さん 0点(2003-12-08 00:54:32) (良:1票) |
2.あれれ?ヴェンダース作品の中では受けが良くないのですか?自分は一番好きなんですけど・・・。長い上映時間にも関わらず続けて2度観ました。上手く説明できないのだけど、雰囲気が好きです。虚無感の後、癒しがやって来る様な・・・。DVD出たら欲しいなぁ。 【けせる】さん 10点(2003-11-16 21:04:26) |
1.「ベルリン~」の大ヒットの後発表されたこの映画は今までのヴェンダース作品とは一見異質の、いろんな意味でカラフルな作品だったためだろうか、当時からあまり評判は良くない。が、私はかなり好き。夢から目覚めて現実の世界を引き受けようというのは「ベルリン~」にも通じる気がする。飛行機の扉を手にくっつけて砂漠を彷徨うシーンなど美しく印象的なシーンも多い。又、サントラにはデビット・バーン、U2、ルー・リード、エルビス・コステロ、ニック・ケイブ等々超豪華メンバーが集結。この映画がこういった様々なミュージシャンが参加するサントラの走りではないだろうか。 【黒猫クロマティ】さん 8点(2003-11-14 12:04:46) |