1.父親が二人の娘を長年家に軟禁していて逮捕されたという、現実に起こった事件を元に、その当事者を実際に起用して劇映画にしてしまった、大変びっくりな映画。冒頭のドキュメンタリー映像から、そのまま劇映画に突入してゆくという驚きの構造。そしてそれが1つの作品として下手な映画よりも完成されたものになっているのですから更にびっくりです。さて、この映画には、人間にとって、そして子供にとって何が一番幸せなのかを深く考えさせられました。軟禁されているから可哀想、言葉を知らないから可哀想、そういう、ごく当然な価値観は、実際の彼女達の、いきいきした表情、仕草によって、あっさり否定され、それぞれの人の暮らしがあって、そしてそれぞれの幸せがあるんだ、って思い知らされます。彼女達なりの生があって、それがフィルムに現実として焼き付いていて、その姿は憐れみや悲惨さとは無縁な、大切な無垢の光を放っています。あと、途中で一緒に遊ぶ事になる女の子の演技、最高です。