3.《ネタバレ》 恐るべし、18歳の少女による監督作品。さすが巨匠マフマルバフの娘だけあります。このニュースを知ってすぐに調査し、わずか11日で撮影してしまったらしいです。キアロスタミの映画の多くもそうですが、イランの映画はドキュメンタリーベースの作品が多いですね。本人たちが自分自身を演じて、実際に起こった話を作り上げる。だから余計にリアルに映ります。この『りんご』はイラン映画の中でも特別好きです。というのも小道具の使い方がうますぎる。この映画の中でりんごは自由の象徴です。近所の男の子がベランダからりんごを釣り下げて、歩いている人たちをからかいます。父親によって11年も家の中に閉じ込められていた姉妹は初めて目にするその赤いキラキラ光る丸い物体に虜になります。やっとのことでりんごを手にし、彼女たちは初めて人からものをもらい、公園で出会った2人の姉妹と友達になり、一緒にかじります。喜びを分かち合うという、とても単純なのに人々が忘れがちなことを、外の世界に出て間もない彼女たちはいとも簡単に成し遂げるのです。シンプルだけどパワフルな映画。