7.どうしても錦之助バージョンとの比較になってしまうが、当時34歳の三船敏郎が若かりし宮本武蔵を演じるのはかなり無理があり、単なるいい年した暴れん坊の中年男にしか見えず、若々しさを表現しているつもりなんだろうが演技も過剰で鬱陶しい。沢庵も貫禄ないし。八千草薫は若くて可憐でそして芯があっていいんだけど。岡田茉莉子の明るさ・元気よさも魅力的。まだ、序盤なので今後の展開に期待したいところ。 |
★6.宮本武蔵三部作の第一弾、要するにタケゾー時代の若き日が描かれる訳ですが、本作は関ケ原の戦いのさらに前から描かれているのが特徴。戦のさなかにタケゾーが塹壕(じゃないけど)を掘ってたりするのを見ると、まさに明日をも知れぬ雑草のような存在で、ああこの若者がやがて剣豪になっていくのか、人間の運命とは不思議なものよ、という感慨を深く感じさせる作品となっています。主演は三船敏郎、なので、こういう元気いっぱいの若者を演じても良し(七人の侍と同時期の作品ですね)、次作以降の貫録を漂わせる剣豪・武蔵を演じても良し。又八は本作では三國連太郎が演じていて(次作はバトンタッチ)、まあ、気持ちはわかるのですが、何だか見るからにインテリ学生みたいですな。 本作は第一作ということで、吉岡一門や小次郎との出会いに先立ち、それ以外の武蔵を囲む主要な登場人物が描かれていきますが、まーロクなヤツがいない。擱甲・朱美の母子は手のひらを返し、オババは態度を豹変させ、沢庵和尚もタケゾーのためを思ってかどうか知らんが彼をつるし上げる(この木が、エラく立派な木なのですけどね)。そんな中で決して変わらない一途さを見せるのが、お通さんなのですね。さすがはヅカ八千草。 あと、日本のカラー長編映画初期の作品でもありますが、さて、カラーをうまく生かせているかどうか。できれば道端の彼岸花の赤さなんかがもう少し綺麗に映っていたら、と思わないでもないのですが。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-09-23 18:10:05) |
5.2015.05/05 鑑賞。古きよき時代・中学生前後に見た記憶がある。今も健在の八千草が可愛く美しいく焦がれたものだ。中村錦之助の武蔵も良いが三船はより荒々しく男臭さを感じる。何と言ってもおっとり、ゆったりした台詞・演技が懐かしく感じると共にこの時代の愛情表現のおとなしさは今では考えられない。この切なさに感動した。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-06 15:41:14) |
4.子どもの頃見た宮本武蔵、筋は理解できなくとも結構覚えていた。それだけインパクトが強かったのだろうと思う。宮本村の武蔵は悪蔵とか鬼蔵と呼ばれ、暴れん坊のならず者だった。それがお通と巡り会い、沢庵和尚の教えによって人間らしい宮本武蔵になって旅に出る。その長い長いお話の序の部分だと知ったのはずっと後のことだった。 八千草薫のお通は、けなげでとてもいじらしい。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-11-02 22:37:09) |
3.三國連太郎と八千草薫が共演する某CMで本作の映像が使われていて、そういえばまだこの三船敏郎の「宮本武蔵」三部作は見ていなかったなと思って一応見てみることに。稲垣浩監督が戦前に片岡千恵蔵主演で映画化したもののセルフリメイクで、稲垣監督にとってはこれが初のカラー映画となる。吉川英治の「宮本武蔵」映画化作品は内田吐夢監督の東映五部作と加藤泰監督の松竹版を既に見ているのでストーリー的には既に目新しいものはないのだが、東映版と松竹版が武蔵と又八の二人が関が原の合戦で敗残兵となったところから始まっているのに対し、この映画では二人が関が原に参加する以前から始まっているのが面白い。三船演じる武蔵はどんな感じだろうと思っていたが、野性味と豪快さはあるものの錦之助の武蔵と比べると何か物足りないし、何より泣く演技にかなりの違和感を感じた。それでも悪くはないのだが、やはり、三船には「七人の侍」の菊千代や「用心棒」、「椿三十郎」の三十郎などのほうが合ってる気がする。又八役が東映版で沢庵和尚を演じていた三國連太郎というのは面白いが、ちょっと濃すぎか。沢庵和尚を演じている役者も威厳や貫禄がなく、これでは加藤泰監督の松竹版でこの役を演じていた笠智衆のほうがまだ良かったと思える。全体的に見て思ったほどつまらなくはなかったが、これがアカデミー外国語映画賞を受賞した映画と聞くとちょっと疑問がわくのも事実。同時期に作られた時代劇ならば溝口健二監督の「近松物語」、「山椒大夫」のほうがよっぽど受賞してもおかしくない映画のような気がする。(もちろん黒澤明監督の「七人の侍」も。)まあ、続編となるあとの2本も一応見てみよう。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-03-25 13:28:00) |
2.「宮本武蔵」の映画というと幾つか撮られているはいるけど、内田吐夢監督、中村錦之助主演のものが出来が良くて面白い。そこで、ちょっと比べてみようと思って稲垣浩監督のものを借りてきた。これって確かこの年のアカデミー外国語映画賞受賞作品だけど、う~ん?この映画が公開された1954って言えば日本映画が最も凄かった年、これよりも良いもの、面白いものは幾つもある。それなのに、何故ゆえにこれがアカデミー外国語映画賞受賞?絶対に変です。「二十四の瞳」「女の園」「七人の侍」「近松物語」「山椒大夫」という物凄い作品が公開されているのに、何故?主演の三船敏郎にしても誰が見たってこの作品の武蔵よりも「七人の侍」の菊千代の方が圧倒的に素晴らしいし、作品の完成度、面白さでも完全に「七人の侍」の圧勝!まあ、確かに三船敏郎版、宮本武蔵はけして、悪くはない。でも、中村錦之助の演じた武蔵ほどの凄さ、愛嬌も感じない。それに泣きの演技も三船敏郎には合わない。そんな中で興味深いのは中村錦之助版「宮本武蔵」の中では沢庵和尚を演じていた三國連太郎がここでも違う役で出ている。ところが、沢庵和尚に比べるとやはり見劣る。今作で沢庵和尚演じている俳優(私も三島雅夫に似ていると思った)にしても迫力不足!まあ、色々と文句はあるものの、つまらなくはない。しかし、この程度では満足出来ない。本当は5点にしたいと思うけど、お通役の八千草薫の可愛さに1点プラスしての6点!稲垣浩監督の最高傑作は絶対に「無法松の一生」です。勿論、阪妻が演じた方のですよ。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-12-02 21:31:56) |
1.《ネタバレ》 稲垣浩の「宮本武蔵」三部作の第一作目。原作はお馴染みの吉川英治で、主演は三船敏郎。この時代にカラー作品というのは結構凄いと思う。個人的には東映版のほうが好きだけどこっちもなかなか面白い。特に八千草薫の可憐さは特筆。三船武蔵は本来の豪快さ・荒々しさに加えて、中村錦之助のようにめそめそと泣き出すといった意外なシーンもある。東映版では沢庵役の三國が又八ってもの驚き。ただやっぱり沢庵は三國のほうがよかった。尾上九朗右衛門(どこか三島雅夫に似てるw)の沢庵は深みも凄みも足りない。 【バカ王子】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2006-06-22 23:47:52) |