★1.冒頭の水車に括り付けた死体から、タイトルバックに展開される得体の知れない全身ペインティングの前衛ハダカ踊り。どうかカルト映画と呼んでくださいと言わんばかりのオープニングに、こりゃ本編も相当キツイものを見せられるのか、と身構えてしまうんですが、そして実際オドロオドロしい猟奇殺人が発生するのですが、正直、本編のエグさは、それほどでもない気もいたします。まあ、それなりにエグい描写にしようと頑張ってるんですが、冒頭のインパクトがあり過ぎたのと、あと、おそらくはお手本にしたであろう『犬神家の一族(1976)』あたりのエゲツなさに比べると、ちょっと大人しいかな、と。 で、もうひとつ要領を得ない連続殺人事件に対し、大したトリックもなく、大して意外でもない真相が暴かれて終わり、という、ミステリとしては物足りないどころではないポンコツ作品なのですが、しかしそこは本作、多羅尾伴内役に小林旭ですから。冴えない感じの初老の探偵役(というより、どっちかってと藪医者みたいな風情ですが)から、さまざまな変装に身を変え、これがなかなかのもの。堂に入った変装ぶりです。 しかもさすがはアキラ、時には素晴らしい身のこなしによるアクションを展開し、2丁拳銃を猛スピードでクルクル回して見せるあたり(マカロニだってこれほどの銃捌きにお目にかかることはなかなかありません)など、やっぱりこの人、多羅尾伴内役なんかさせちゃ、もったいないなあ、と(笑)。 何と言いますか、それなりに珍品なのに、真の珍品になり切れなかったことが、本作の不幸だったのでしょうかね。2作目でシリーズ打ち切り、ということで。何となく一安心、ということで。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2019-02-10 08:27:08) |