★17.ああやっぱり、沢口靖子ってのは、宇宙人だったんだなあ、と、まあそんな作品です。 竹取物語という設定を借りて何を描こうというでもなく、そのまんまお金かけてSF超大作にしてみました、といった感じで。もうちょっと他にいいネタ無かったんですかね。こういう強引な特撮モノなら、カネかけるまでもなく、大林宣彦にでも頼んでおけば、どんな出来になろうと誰も傷つかないで済んだのでは。 しかし敢えてそこに飛び込むのが市川崑のエラいところ。この人にとって、過去の名声とか言ったものはどうでもいいらしい。 などとバカにしたような事を書いてると、セットやら衣装やらが豪華で、気合も感じられ、予想されたこととは言え、ちょっと圧倒されます。 しかし、セットが立派なのはいいけど、部屋の中はやたら、ガランとしてます。妙に、空虚。いやもしかしたら、これが正しい「時代考証」とやらなのかも? そこはちょっとワカランけれど、それにしても、雰囲気を出すのには、小道具ってのも大事な要素だと思うんだけど、およそこれという小道具が登場せず、この作品がどこか大雑把で薄味に感じてしまう理由の一つは、そういうところにあるのでは? クライマックスに向けた盛り上がりにも乏しく、ただただ、「『未知との遭遇』ってやっぱりスゴかったな」と感じてしまうのが、悲しいところ。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 4点(2022-01-22 09:42:39) |
16.《ネタバレ》 原作付きの映画ということになるがまともに読んだことはない。 当時の感覚としては「未知との遭遇」(1977)などよりはるか大昔から、日本ではこういう壮大なスペースファンタジーがあったと言いたかったのだと思われる。最初がまるきり「まんが日本昔ばなし」だったのは少し呆れたが、求婚者のうち一人を本命扱いして純愛物語のようにしたのは悪くなく、衣装にかなり力が入っていたのが目を引いたりして、娯楽映画としてけっこう楽しめるものになっている。大昔にTVで見たときには割といい印象だったのを憶えているが、それもそれほど間違ってはいなかったらしい。ただ主人公の姫は人物造形が不十分のようで、どういう人格なのかがはっきりせず、結局あまり好きになれなかった。また眉毛をきつい感じで描いていた割に凛とした感じが足りないようでもある。 ところで少し気になったのは劇中年代がいつなのかということで、原作で求婚者のモデルになったとされるのは飛鳥時代から奈良時代初期にかけての人々だが、映画のラストでは「八世紀の末の(西暦七九〇年頃)ことである」と出たので少し驚いた。七九〇年が西暦というなら八世紀も西暦だろうがそれはまあいいとして、この時代設定だと劇中の「帝」は桓武天皇ということになり、従来の世界観を覆す出来事に触発されたために(長岡京を経て?)平安京へ遷都したということにしたかったのか。 そうすると映像に出る条坊制の都は藤原京ではなく平城京だったことになるが、それなら最初の風景映像に出た大和三山のような感じのもの(4つ見えるが)は何だったのか。また劇中人物の名前でも「耳成の長者」「畝傍の真名井?」といったようなのがあり、どうも最初は飛鳥時代のこととして制作を進めていたのが、途中で方針を変えて前記キャプションを入れたので変になったのではという気がした。 なお自分として面白かったのは、求婚者の一人が竜を発見した場面が東宝伝統の怪獣特撮だったことで、ここで海面に竜が現れたので船が危ないと思ったら、いったん無視して通り過ぎていったのはかなり意外で斬新だった。怪獣映画なら最初から狙ったように船を壊しに来るだろうが、この映画では変に刺激しなければ難を逃れられたはずというのが野生生物的といえる。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 6点(2018-05-19 00:00:06) |
15.《ネタバレ》 ステイ・ウィズ・ミーの使い方が雑だ。なんでキチンとイントロから綺麗に流さないんだ 良い曲なのにもったいないよ そこが気に入らん。 でも予想に反して中身がよかったというその意外。 庶民的すぎた父ちゃん母ちゃんが砕け過ぎていてなかなかに良かった。 無理して古語を使わずに現代用語で通してくれたことが楽しく見れた要因の一つとして挙げられる。あと石坂浩二のまろ顔が魅力的だった。 記憶に残ってゆくシーンの一つとしては大納言の放った台詞に沢口靖子演じる加耶が一瞬目を閉じイキ顔のような表情になったとこ。 理不尽さを感じてしまったところは大納言の恋路につき合わされ命落としてしまった船員たち数名。 沢口靖子が舞い上がってくシーンではフランダースの犬の最終回見てるかのようだった。しかし、小天使たちは悪い顔してた。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-02-10 19:47:12) (良:1票) |
14.もう、とにかく脚本がひどくて・・・「そんなこと、この役者だったら目の動き1つで表現できるだろう」というようなことまで、わざわざ口にさせないと気がすまない。しかも、言い回しや単語に近代以降のものが頻発していて、時代設定の意味がまったくない。台詞を聞いているだけで苦痛でした。当然、俳優陣も、魂のこもった演技などできようはずがありません。見るべきところは衣装くらいでしょうか。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2016-03-29 01:22:36) |
13.紫式部をして「物語のいで来はじめの祖」といわしめた竹取物語の映画化は実は二度目。 東宝の前身の映画会社が作ったその映画の撮影現場をのぞいた若き市川崑は、「いつか自分も監督になったら、こんな夢のある映画を」と思ったとかで、監督の夢の実現でもあるのですね。 なのでこの真っ当な作りも納得がいこうというもの。 盲目の少女・明野(小高恵美)がいたり、大伴の大納言(中井貴一)に惹かれたりといったアレンジはあっても、地上の人間が美しいかぐや姫こと加耶(沢口靖子)の存在に翻弄される筋はとても古典的。 蓮の花の形をした「未知との遭遇」風巨大宇宙船からはクリオネのような天女たちが舞い降り、ピーター・セテラの"STAY WITH ME"が流れる和洋折衷が摩訶不思議な、日本最古のSF。 【レイン】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-02-02 07:00:02) |
12.《ネタバレ》 思っていたよりも楽しんで観る事が出来ました。8世紀頃の日本と、現代SFを組み合わせると言う実に意欲的な作品で、竹取物語を映像化するという試み自体が大きな挑戦だと思います。確かに、竹から出てくる赤ちゃんとか、途中出てきた竜との闘いとか、ちゃちいなと感じるのも事実なのですが、その手作り感もまた見どころの一つで、今だったらなんでもCGでやっちゃうから、こういうのは昔の映画としての、魅力の特権なんじゃないかしら。ワダ・エミの衣装もやはり美しく、下層の人はくすんだ色で、そしてまた上層の人は色鮮やかに。あるいはまたキャラそれぞれに、たとえばオレンジ、緑、ブルーの色を強調していて、そのわかりやすさがいいんですよね。役者さんたちの演技もやはりいい意味で表面的でわかりやすい。あくまでもファミリー映画ですから。ラストのマザーシップは、おもいっきり「未知との遭遇」で、それでいて模型感が出てて微妙ではありましたが、でもそのまんまパクリというわけでもなく、未知との遭遇はシャンデリアをひっくり返したような風貌なのに対しこちらはお花をひっくり返したみたいな感じでしたね。そういうところも日本的だなと感じる。ただ、そういう日本らしさを感じて満足感に浸った次のエンドロールで「スティ~ウィズミ~♪」と英語の曲が流れるのにはずっこけたけど(笑)。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-03-16 16:32:27) |
11.《ネタバレ》 なぜ市川崑が、よりにもよって「かぐや姫」なのか?といぶかしく思いながら、借りてきて観たところ、UFOが登場するシーンで合点した。これは、竹取物語版「未知との遭遇」という企画(たぶん映画会社の)だったのだ。お金をかけて、役者もそろえて撮ってはいるけど、ただそれだけ。特撮がいまいちチャチなのが致命的。はたして市川崑も真面目に取り組んだのか、疑問。おそらく、これをやるかわりに、ほかの本当にやりたい企画を会社に認めさせたのだろう、と想像する。役者たちは市川崑に敬意をはらってか、しっかり演技しているのに、残念。 【goro】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-02-06 16:43:29) |
10.なんで原作の面白さを生かさないんだろう。なんでかぐや姫に恋などさせるんだろう。あれは「細雪」の雪子なわけでしょ、もっと男どもを軽蔑しなきゃ。現代風への親切のつもりなのだろうか、“軽蔑”があの物語の核心だと思うんだけどなあ。なんでかぐや姫に「生存者」なんて言葉を使わせる。なんで眼が青い。恥ずかしい恥ずかしい20世紀風の空飛ぶ円盤は、もう見なかったことにしておく。満月の恐れが出てないのもいけない。日に日に月が満ちていく怖さ、それこそ一番の映画向き見せ場になるはずなのに(タヴィアーニの『カオス』!)あっさり跳んじゃうんだもん。この監督、『雪之丞変化』とか「金田一もの」とか、リアリズムを脱したしかし現実世界を描くとすごくいいんだけど、『火の鳥』とか『つる』とか、完全なファンタジーになっちゃうと失敗するんだ。監督論を考えるときの重要なポイントかも知れない。いいところをひとつぐらいあげとくと、若尾文子がフシギをすぐ信じてしまうのが、実にそれらしくてよかったこと。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 5点(2010-03-23 11:58:13) |
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9.幻想的な映像美は市川崑監督らしいし、沢口靖子のかぐや姫も悪くはない。いや、むしろかぐや姫のイメージにぴったりである。完成度としてはそんなに高くはないし、良い出来ではない。市川崑監督作品の中では下から数える方が良いぐらい駄作かもしれないけど、嫌いではない。ただ好きかって言われるとこれまた困る。出演者の顔ぶれがとにかく凄い。三船敏郎と若尾文子の共演、しかも脇役にこの二人というのは何とも贅沢である。そんな贅沢なキャスティングを用意できるのは市川崑監督という人の持っている人望、俳優達に好かれているからである。他の監督だったらこの程度の出来の映画に果して出演していたかどうか?である。その他にも石坂浩二や加藤武の姿を見るとどうしたって「犬神家の一族」や「悪魔の手毬唄」を思い出すし、見たくなってしまう。色んな意味で贅沢な作品である。それ故にもっと凄い映画になっていても良いぐらいであるし、この監督ならそれぐらい出来たはずである。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-10-02 21:16:24) |
8.《ネタバレ》 時代ありきの映画だと認識していたので、自分の心をこねくり回して麺棒で大きく大きく広げてから見始めました。良かった点は、人間臭い親父のおかげで意外とすんなり入っていけた事と、各キャラクターがしっかりしていて見やすいところ。特にいかにもな小朝のキャラは好きです。また竜やUFOなども当時としては結構頑張ったと思います。受け付けなかったのはラストの取って付けた様な壮大さ(これは言ってもしょうがないか)と中盤までの現実的な作り。神秘的なものを求め過ぎたのかもしれませんが、世界観がどうもいまいちでした。話の展開上、統一した空気は作れないでしょうが、要所要所で古典的な音やBGMをもっと使っても良かったんじゃないかな。エンディングの洋楽は思いっ切り白けましたが、この時代はこういうのが多かった気がします。白けているのにどこか懐かしい気分になりました。映画として駄作とまでは言わないけど、限りなくそれに近い。それもこれも今見るから。時代の遺物でしょうね。 【オニール大佐】さん [DVD(邦画)] 4点(2009-04-08 19:13:09) |
7.20億の大作予算をかけただけあって、20年前の映画としてはなかなかの映像美を展開してくれたと思う。何せまだまだデジタルではなく、ハイビジョンで合成していた頃だからね。マット・ペイティングで描かれた城下町や着ぐるみの竜なんかも、アナログにも関わらず雰囲気は出ていた。市川監督にしてはドラマの作りこみが甘いので、最終的な満足感は大味な気がするが、沢口靖子や石坂浩二などの豪華キャストは見ているだけでも楽しめる。特に中井貴一が良い味出していた。 【ドラりん】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-07-22 04:06:51) |
6. この映画、さぞかしお金がかかったんだろうなぁ、と思いました。衣装はワダエミがやっているんですねぇ。ともかく、若い頃の沢口靖子を見ることができるのはたいへんよろしい。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-05-05 14:35:27) |
5.思ったほど駄作ではなかったけど駄作です。「製作費20億円 壮大なスペースファンタジー」と煽るだけあって宇宙船や竜、家なんかかなりお金掛けてそうだけど、「人間の真心忘れません」とか言うほどの交流が見られない。3日で成長して帰ったみたいな印象が強い。三船や若尾などの往年のスターや今ではベテランの中井貴一や小朝などの豪華キャストは結構楽しめる。沢口靖子は「誰が26やねん」って言ってる今のほうが魅力的に見えるなぁ。 【バカ王子】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-10-24 23:31:49) |
4.沢口靖子が悪いんだよ。映画館に見に行った俺も悪い。 市川先生も組織に忠実だからなあ。 【みんな嫌い】さん [映画館(邦画)] 3点(2004-11-01 13:46:44) |
3.この作品、DVDになったんだなぁ。なんとなく、感無量。初めて劇場で見た時は、おや? おやおや? おやおやおや? って感じだったような気がするけど(何しろ、スターウォーズや未知との遭遇があったし)、DVDで改めてみると、やはり市川監督の実験的な作品のひとつで、しかも、それなりに纏まってたのね、と思った。改めて見ると、あの当時の邦画としては、わりと出色ではない? 正直に言えば、近年の「陰陽師」より、ある意味、クオリティ高いじゃないと、思ってしまったよ。それは勿論、市川作品の常連の役者の確かさもあるのだろうけど、これは実験的な映画と割り切って作った監督の力量の賜物なんだろうなぁと、思う。俯瞰して撮る平安京、その、歴史的には古代都市にあたる都に飛来するUFOのシュールさ。「これは、八世紀の物語である」。これは、日本最古のSF小説である。日本は、こんな時代から、異文化交流というものを身近に感じていたのである。それにしても、三船敏郎って、もしかして下手? とも思ってしまった。最後に、ちゃんと明野の目が治ったのが、嬉しかった。 【由布】さん 9点(2004-07-14 23:57:46) (良:1票) |
2.かぐや姫に沢口靖子を据えて(当時としては納得のキャスティングだった…かな)、その他にも三船敏郎を筆頭に大物俳優を揃えた東宝入魂の市川崑作品。風に揺れる緑の眩しい竹林の映像が美しく、当時では邦画としては珍しい高空からの町の俯瞰映像も一瞬あったり(当然マット・ペインティング)、駄作になる宿命だった映画を市川監督の技量が救っていたと記憶しています。そしてラスト、満を持して登場するのが「未知との遭遇」のマザー・シップ!(しつこいカット割で表現されるスピード感が悲しいけど、じっくり見せたらボロが出るから、この演出は正解でした) それにしても、東宝さんはどーしてもハリウッド大作をパクりたくてしょーがないのね…(しかも10年後にやっとこのレベル)。ま、一応それなりに楽しんだので、6点献上。 【sayzin】さん 6点(2004-05-14 22:40:26) |
1.この映画、懐かしい!当時小学生で、アニメ映画以外で初めて、自分で「観に行きたい!」と思って劇場で観た映画です。かぐや姫の話が、大人向けに難しくなっているのかも!?と感じていたけど、けっこう同じ年頃の子どももたくさん観に来ていたのを覚えています。内容はSFファンタジーで、かぐや姫が宇宙人だったということにされていて、月から迎えに来たのが円盤だったときは、子どもながらちょっと引いてしまったけど。かぐや姫が昇天するシーンは(死ぬのじゃなくて)けっこう幻想的できれいだと思ったけど、十二単姿のお姫様が吸い込まれていく先がUFОというのは…ちょっと夢が壊された感じだったなぁ。あえてそういう設定にしたんだろうけど、もう少し、幻想的で神秘的な展開にしてほしかった…と思いました。そのほかは、衣装や背景も豪華で見惚れるし、最後の洋楽の主題歌も、何かこの映画に合っていて好きでした。 |