3.IMAX-3Dにて鑑賞。
「もはや300って数字は関係ないじゃん」というツッコミはさておき、ザック・スナイダーのビジュアルを完全移植した見せ場の出来は素晴らしく、特に、冒頭とクライマックスにおいて主人公・テミストクレスが披露する、雑魚を斬りながらラスボスへ近づいていくという流れるような殺陣の迫力と美しさは、前作をも上回っていたと思います。ただし、やたらと畸形を登場させたり、忍者軍団や妖術軍団といった訳の分からん敵が続々現れたりした前作と比較すると、本作にはマンガ映画ならではの遊びが少なかったように思います。多少ビジュアルに凝った史劇という印象であり、この生真面目さは『300』の続編にはそぐわないと感じました。。。
生真面目と言えば、本作の主人公・テミストクレスも同様です。前作において、精神論を大声で叫ぶだけのレオニダス王の脳筋ぶりは見ていて実に楽しめたのですが、他方、テミストクレスは現実的な解決策を模索する良心的な指導者であり、破天荒さに欠けていました。交渉のためにスパルタを訪れたテミストクレスがスパルタ式の過激な新兵教育を見てドン引きしたり、兵士たちに「死ぬな」と言って聞かせたり(レオニダスは「戦死こそ名誉」と部下に説いていた)、彼が率いる軍隊は、前作でレオニダスが鼻で笑っていた素人の寄せ集めだったりと、あらゆる点でレオニダスとの差別化が図られているわけですが、そんなテミストクレスならではの強みが分かりやすい形で打ち出せなかったために、主人公ながら影が薄く感じられるのです。。。
そんな主人公の弱さを補ったのが、敵のボスであるアルテミシア。悲惨な生い立ちゆえに人間性が失われ、ギリシアへの復讐のためなら手段を選ばぬ鬼と化した女戦士ですが、悪人顔のエヴァ・グリーンが、脱ぐわ、暴れるわの大怪演でこれになりきっています。小粒のテミストクレスではなくレオニダスと対決させたいと心から思う逸材であり、彼女の存在により、映画はかなり救われていました。。。
3D効果については、血飛沫や槍の切っ先といった定番の飛び出し効果や、見下ろしたり、飛び降りたりする場面での高さの表現などにおいて素晴らしい3D効果を体感できる反面、クライマックスの戦闘場面では3D効果がほとんど追求されておらず、その謎のペース配分には驚かされました。3Dで見て損はありませんが、2Dで見ても情報量はそれほど変わらないと思います。