40.9月1日のレイトショーで、最新作のアニメリメイク版を観た。
映画づくり自体に対する志の低さと価値観の相容れなさが際立ち、全く受け入れることが出来なかった。
帰路、夏が終わった翌日の冷ややかな空気が、体と心にしみた。
あの二十数年前の、奥菜恵が忍び込んだプールの消えた水平線の光が、遠く懐かしくて仕方なかった。
そして、その足でTSUTAYAに直行したのだけれど、残念ながら訪れた店舗にはこのオリジナル版の在庫すらなく、渋々帰宅。
ただ今の時代は便利なもの。サクッと調べたら某動画配信サービスで配信されていることを確認。ユーザー登録はしていなかったが、取り急ぎ試用期間の申込みをして無事に再鑑賞に至った。
アニメリメイク版によってもたらされたフラストレーションは、みるみるうちに霧散していった。
やはり圧倒的だった。
二十数年前のテレビドラマシリーズの一篇が派生して劇場公開された“テレビ映画”である。
決して映画的なクオリティが高いわけではなく、子役たちの演技も不器用で気恥ずかしい。
でも、その不完全さこそが、この作品の本質であり、あまりにも愛おしい。
「こんど会えるの二学期だね 楽しみだね」
一時の冒険を経て、少女は同級生の少年に対して言い残す。
秘密を抱えたまま、彼女は忍び込んだプールの水平線の光の中に消えていく。
答えや結論やその後の顛末なんて必要ない。
少年にとって、あの瞬間こそが永遠なんだ。