5.世界的なメガ・ヒットでオカルト・ブームを巻き起こし、社会現象にもなった第一作目からほぼ30年。その間に続編も作られて、それぞれに個性的な味わいを残すも、本家本元がいかに偉大であったかが思い知らされる内容のものばかりだった。それらはむしろシリーズものというよりも、様々なバリエーションものと考えたほうがよさそうで、今までの設定が“その後”だったのに対し“その前”を描いたのが今回の作品。確かに第一作目、悪霊バズズが何故メリン神父の名を叫んだのか、などと言った気になる部分が多かっただけに、今回のビギニングは待望久しい正統派前史と言える。が、やはり無理矢理思いついた企画といった感は否めず、ハリウッドの企画の貧困さは一層深刻なようだ。で、作品的には無難に纏めてはいるものの、とりわけ際立った印象はなく、可もなく不可もなくといったところだろうか。所詮、急遽代役監督になったハーリンには、ホラーのようなジャンルは向いていなかったのかも知れない。 スケール感を伴ったアクションに無類の才能を見せつける、ハーリン特有のいい意味でのハッタリが不足気味で、彼らしさがまったく出ていないのだ。夜や暗闇のシーンの多さが画像を単調なものにしているのだが、おそらく“暗闇=恐怖”という図式にこだわりすぎた為なのだろう。白日の下でも悪霊の恐怖は存在するということは、第一作を見ても分かるはず。本当の悪魔は人間の闇(病み)の部分に巣くうものだから。