141.《ネタバレ》 “The Right Stuff”『正しい資質=適任』。何かの本でたまたまX-1とチャック・イェーガーの記事を読んだちょっと後に、テレビで本作が放送されてて「あ、コレって、アレじゃん!?」って驚いた記憶があります。チャックだけで1本の映画が出来そうなものの、本題はマーキュリー計画で、まさに映画1本で2本分のボリュームがあり、長尺なのに飽きずに最後まで楽しめました。 まず驚いたのは特撮の質です。'83年の作品で、CGデジタル合成が出る以前の作品。当時は特撮とハッキリ解るブルーバック合成がメインで、明らかに“ウソの映像”と解り、シラケてしまうことが多かったんですが、本作では恐らく、ミニチュア模型による特撮をメインにしているんでしょうね。合成より古い技術ですが、むしろ凄くリアルでした。 マーキュリー計画も米ソの宇宙開発競争がどれだけ熾烈だったかが良く伝わりました。でも、ソ連が先行する→ジェフ・ゴールドブラムが走ってくる→「知ってるよ、座れ」の流れが見事にテンドンになってる。宇宙飛行士の訓練とお猿の訓練をオーバーラップさせるのも上手いし、尿意を我慢するアランにジョボジョボと飲み物のシーン被せるのも巧い。そんな真面目一辺倒じゃない作風から、長時間でも飽きないんだな。 宇宙飛行士7人のうち、メインとなるのは4人。最初に打ち上がったアラン、便意に尿意に色々大変だった人。2番目はガス、ハッチが吹き飛びパレードも大統領の夕食会もなかった人。かわいそう。地球を周回したジョンは3番目、吃音症の奥さんへの愛情がじんわり来る。宇宙で観たホタルの美しさ&不思議さに見惚れたわ。最後が6番目、地球を21周周回したゴードン。4番目スコット、5番目ウォルターは割愛。7人目のディークは病気で飛べなかったそう。でも調べると、それぞれにもドラマがあるなぁ。 話はイェーガーのその後に戻り、“最後の有人戦闘機”ギラギラのF-104が飛び上がる。雄々しく美しい。奥にチラッとF-102が走ってるのも美しい。 時代とともに記録は塗り替えられる。だけど先人の偉業は決して色褪せることなく輝き続ける。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 8点(2024-10-14 22:57:08) |
140.《ネタバレ》 宇宙開発黎明期のアメリカ。フロンティア・スピリット旺盛な男たちのドラマはガッツに溢れてて元気いっぱい。英雄を求める世間と、それにちゃんと応えようと張り切る飛行士たち。数年時代が下っての月面着陸ミッションを描いた「ファーストマン」では任務が命がけの悲壮感に変換されていて、時代が変わるとずいぶんとテイストが変わるものだなあと思いました。 5~6名ほどのメインキャラクターは各々個性的に描き分けられていて(その奥様も)、競争心や連帯感などが程よい塩梅に散りばめられて観易いドラマに仕上がっています。 ソ連への対抗心丸出しではっちゃきになるホワイトハウス高官らのドタバタは完全に喜劇。ジョンソン副大統領がめちゃくちゃ笑。 一方、NASAとは別のところですでに人類の偉業を成し遂げていた一団がいたのだよ、という二本骨のシナリオにもなっているのですね。 わたしは寡聞にしてチャック・イェーガー氏のことはこの映画で初めて知ることになり、新しい感動を覚えました。華々しい米国のロケット技術、そこに至るまで万人の各地での努力・功績があったことをちゃんと織り込んだ脚本には品格を感じます。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-03-15 21:23:05) |
139.《ネタバレ》 3時間超の大作。60年代の米ソ冷戦下で躍起になって宇宙開発競争をしていた当時の空気をとても懐かしく感じました。まだ生まれてませんが。宇宙開発に皆が夢を抱いていた時代ですね。前半は、音速の壁に挑むテストパイロットの話です。主役のエースパイロットが、メチャクチャかっこいいです。一点の曇りのない眼差しと、ストイックで乾いた表情がいいです。奥さん以外の女の尻を追わずに、いまだに奥さんの尻を追いかけてあばら折るのもストイックでいいです。後半は、前半で登場したテストパイロットの一部が、名を挙げようと宇宙飛行士枠に応募し、厳しいテストに耐えて宇宙飛行士を目指す話です。宇宙飛行士候補達の息の長さと、肺活量を競うテストを見て、昔のテレビ番組「ザ・ガマン」を思い出しました。(口の上にセットされたシリンダー経由で羊の脳みそが落ちてくるシーンが思い浮かびました。)バカバカしさにおいてドッコイドッコイなところが笑えます。蛍のシーンは思いっきりフラグかと思いましたが、してやられましたね。まだ見ぬ世界を目指して危険を顧みない男達の話として、宇宙飛行士を扱うだけでなく、航空機テストパイロットと対比させたのが、作品に特別な味わいをもたらしていると思います。あえて難を言うとすれば、後半、宇宙飛行士達が一致団結して、爽やかないい奴になりすぎていて、ちょっと面白みに欠けるのと、実話に基づいているので、フィクション作品で得られるような感情の起伏がもたらされないところでしょうか。主要人物は死にそうにはなるものの死にませんし。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-02-21 19:52:51) |
138.《ネタバレ》 アメリカ国民が求める英雄とは、誰にも真似できないような孤高のヒーローではなく、良き夫であり良き父であり、誰もがそうありたいと願う良き人間でなければならなかったのだろう。個人的に一番ぐっと来たのは、彼らが命を賭ける瞬間でも帰還後のパレードでもなく、ジョン・グレンが吃音の妻を守る為に、副大統領に喧嘩を売るシーンだった。いや、あれはカッコ良かった。ジョンの妻にとっては、まさにヒーローだったに違いない。 エド・ハリスやスコット・グレンをはじめ、ジェフ・ゴールドプラムに至るまで現在では夢のような豪華キャスト。しかもジョンの妻はズーイー・デシャネルのお母さんなんだね。 長いけど、いい映画。 |
137.《ネタバレ》 孤高のパイロットで初の超音速飛行に成功したチャック・イェーガーと、彼とは対極の生真面目・堅物な海兵隊パイロットだったジョン・グレンらマーキュリー計画の七人の宇宙飛行士たちを対照的に描くストーリーテリングです。この映画のチャック・イェーガーこそが、そりゃ美化されている部分もあるでしょうけどまさに漢の中の漢と呼ぶに相応しいんじゃないでしょうか、とにかくカッコいいんだなこれが。実物の彼も第二次大戦ではドイツ占領下のフランスで撃墜されるが敵地を突破してスペインに逃れて復帰、その後P-51マスタングを駆って一日で5機のドイツ機撃墜を果たして 米軍初の"ace in a day"の称号を得るという伝説的な戦闘機乗り。超音速飛行に成功したⅩ‐1もこれまた凄い飛行機で、ロケットに翼をつけて(しかも後退翼じゃなく直線翼)水平飛行させたような代物。開幕から音速飛行に成功するまでの二十分は虚実を織り込みながらも劇的かつ感動的でここだけで一本の映画を観たような気分になります。パイロットとしての誇りに満ち溢れたイェーガーがモルモットのような存在だったマーキュリー計画の宇宙飛行士に志願するわけもなく、ここから政治に翻弄される宇宙飛行士たちと人生が分かれてゆくことになるわけです。 実際のイェーガーはベトナム戦争では作戦部隊を指揮して将軍になるぐらいですから決して破天荒なだけの人物ではなく、でも演じるサム・シェパードがあまりにカッコいいんでこれはこれでアリでしょう。マーキュリー計画のグダグダな進行ぶりはかなり揶揄した描き方で、とくにジョンソン副大統領はこれでもかと醜悪さが強調されていて面白かったです。マーキュリー・セブンの面々は政治に翻弄されたと見ることもできますが、忘れちゃいけないのはマーキュリー計画こそが政治そのものでジョンソンの道楽だったわけじゃありません。ロケットの開発はICBMを実戦化するためのソ連との軍拡競争そのもので、この辺りをまったくスルーしているのは違和感がありました。テキサスで七人がジョンソンの政治ショーで道化を演じさせられているシークエンスに、イェーガーが高度記録を破ろうと単独でNF-104を飛ばすシーンをカットバックする編集にこの映画が訴えたいことが濃縮されているんじゃないでしょうか。墜落寸前で彼が見た星空には、イェーガーこそが誰のサポートも受けずに単独操縦で宇宙に達した唯一の人間だったんだ、という訴えが込められているような気がします。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-30 22:27:21) (良:1票) |
136.《ネタバレ》 高評価が気になり、40年近い前に製作された本作を初めて鑑賞。 舞台は米ソ宇宙開発競争のまっただ中、アメリカ初の有人宇宙飛行計画(マーキュリー計画)に参加したテストパイロット達の挑戦を描くドラマ。 この人類未到の計画に白羽の矢が立ったのは、当時、高速飛行の壁に挑戦し続けていた命知らずのテストパイロット達だった。 その中でも腕利きで知られるイエーガーだったが、「大卒」の要件を満たしていないばかりに、いわゆる「マーキュリーセブン」に選ばれなかった。 この孤高のイエーガーと、世間から脚光を浴び続ける宇宙飛行士達に生き方が対比されながら、宇宙飛行士としての「正しい資質」(ライトスタッフ)とは何か。そしてそれをもつ者は誰なのかが静かに語られていくストーリー。 危険なミッションだけに、重大なアクシデントが描かれるかと思いきや、そうしたスペクタクル要素は控えめに、人間ドラマとして秀逸な内容だったが、 いかんせん時間が長く、期待したほどの感動は得られなかったのは残念だった。 【田吾作】さん [インターネット(字幕)] 6点(2021-05-07 11:43:52) |
135.《ネタバレ》 チャックイエーガ氏が亡くなった。 本作の「兄貴」である。 実在のモデルの当の本人が亡くなったのだ。 追悼の意味を込め、本作を鑑賞。(もう何度も観てるのだが) 地元の兄貴分の連中は、このイエーガーの生き方にかなり励まされたのではないか? 東京に出る者に対して地元に残る者。 または新しい生き方に生きる者に対して旧来の生き方にこだわる者。 世界中の兄貴のあり方に励ましを与えた映画だった。 奥さんがいい。 「あなたが昔話をはじめたら、私は永久にあなたの元を去るわ」 そう、昔のやり方でもいいのだ。でも死ぬまで上を目指さなければ、いけないのである。 男のあり方を描いた映画だった。 【トント】さん [DVD(字幕)] 10点(2020-12-10 12:16:30) |
134.《ネタバレ》 基本長過ぎ・・ アメリカの宇宙ロケット開発の歴史映画だけど ドキュメンタリー調でもあり、どこを切っても娯楽映画ではない。3時間13分は疲れる。 運転免許の違反者講習並みの忍耐必要・・。 申し訳ないが、コチラが見たいのはロケット技術の話と、その映像であって、パイロットの プライベートやら、家庭の事情とかではない。できれば政治家の葛藤とかも要らないくらいだ。 その人間ドラマ部分を全て削ったら、多分1時間程度の尺になるだろう。ダラダラ感がキツイ。 最初の搭乗員をサルにしてしまい、気落ちした飛行士に誰かが「どーせサルでもできる仕事」との問いに 「サルは任務がどんなに危険なのかを知らない」「我々は知った上で機に乗り込む」との会話。 この言葉は重い。無人実験の大爆発を繰り返し目撃した後で、搭乗する精神状態は半端ではない。 ここら辺はカットできない部分でしょう。 アポロ計画の前段階、マーキュリー計画の映画なので、そこで終わりになるのですがどーもピンと来ない。 新しいテクノロジーでトラブル連続の中、有人ロケットのリスクは伝わりました。 それを伝えるドキュメンタリーとしては良いと思います。ただ「二兎を追うものは一兎をも得ず」ですよ。 女房事情、下半身事情、政治の事情も全て入れたら、食い過ぎで腹を壊しますってこと。 ホント長かった 【グルコサミンS】さん [DVD(字幕)] 5点(2019-02-27 17:03:33) |
133.《ネタバレ》 ファースト・マンのところにおおむね感想書いてしまったので詳しくは描きませんが、この映画以上に「男のロマン」が詰まった作品を、私は知りません。 【Northwood】さん [映画館(字幕)] 10点(2019-02-09 00:55:27) |
132.《ネタバレ》 ライトスタッフ 適材適所、という訳が正しいかは分かりませんが それぞれが、どうしようもないほどのロマンを抱えて 自分の可能性に命さえも掛ける男達ですが 必ずしも求めた夢が叶うわけではありません それでも、男たちは自分がするべきことに 自分だからこそできることに、誇りを持って臨みます 傷だらけで堂々と歩くイエーガーの姿が熱く胸に残ります 【こっちゃん】さん [映画館(字幕)] 9点(2016-07-30 02:38:53) |
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131.まあまあ、男意気の上がる映画として良いのだけれど、映画の最後の締めの言葉がダメだったね。 この映画監督、脚本家は、パイロットの生き様を判っていないと感じたので、-1点。 最高のパイロットは壁に飾られた人々を含め、挑戦したパイロット達でしょう。 また、良い面に対する、負の側面をもう少し掘り下げられれば、映画に深みが出たかな。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 6点(2016-07-17 11:18:02) |
130.《ネタバレ》 序盤、1947年の音速突破から50年代の空のスピード競争を淡々と描き「これはほんとに地味真面目な映画だな」と観客が認識仕切った頃にぶちかまされる大統領相手のプレゼン「宇宙飛行士におすすめするのはサーファーです云々」ってどういうギャグなんだ、おい! 個人的にはこのシーンがこの映画のクライマックス。 真面目に書くとアメリカ宇宙開発と飛行機の歴史から見て時系列がやや混乱するシーンがあり、たとえばクライマックスのアトラス6号の再突入にかぶって対照的に描かれるF104ジェット戦闘機の高度挑戦シーンは実は3年以上前の過去に起きた出来事で決して同タイミングのシーンではないんだけど、多分そこは映画のクライマックスとしての意図的な脚色。 とはいえ、歴史から見れば嘘に見える作りなわけで、そういうとこはちょっと嫌。 【あばれて万歳】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-03-25 22:39:38) |
★129.《ネタバレ》 どの道を歩んでも、自分や仲間や家族を信じてやり抜く事。そんな心強いテーマなので、鑑賞後は、「よし、自分も頑張るぞ!」っていう気持ちになりました。この映画に出てくる飛行士たちは、肉体や精神が強くなればなるほどに、思考が単純で明瞭になっていきます。物事は単純に考えた方がいいですね。無駄な回り道や言い訳はしない。そんな男らしい男になりたいものです。 【VNTS】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-26 23:25:57) |
128.科学の先端での「職人気質」を賞揚する。人間臭さの連帯感みたいなこと。最後のドンチャン騒ぎのバーベキューパーティで最も優れたパイロットの名を言いかけて、あとはマスコミ向けのジョークに変えてしまう。副大統領に会わないグレン夫人をめぐるゴタゴタで一致団結する。この「誇り高い職人たち」を、夫人たち女の理論がさらに対象化して笑えればもっと良かったんだけど。室内がやたら暗いのは、青空の勇気の世界と対照させているのか。瑣末なエピソードの堆積こそが歴史である、という考え方。出来事を全体で捉えようとする。宇宙ものはSFと決まっていたのに、本作あたりから「歴史」になった。へー、これアカデミー作曲賞とってんのか。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲もどきで、宇宙に出ると「惑星」の火星や木星が鳴って、かなり安易と思ったが。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-04-30 09:27:28) |
127.とりあえず航空史宇宙史ということで観れました。未知なるものに挑戦したいという男の本能というのにフォーカスした感じです。人間模様の裏表も見れて面白かったのですが、ただ尺が長かった・・・。いやにデニスクエイドが若い!と思ったら30年前の作品だった。そうなると、評価は上がる。 【タッチッチ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-10 12:53:20) |
126.作品のポリシーや魅せようとする気概は感じるが主役級が多い上にストーリーがクロスするのにストーリーテリングを軽視しすぎでわかりにくい。似たような顔だらけで途中から誰が誰でどんなキャラだかもわからなくなり感情移入どころではなくなってしまった。七人の侍は1人1人個性豊だから面白いのであってこれでは… 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-04-22 16:23:18) |
125.ところどころに演出や映像に気合の入ったパートは見られるが、全体としてはあまりにも未整理、長すぎ。どこに照準を合わせた作品なのかよく分からなかった。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-10-16 22:24:31) |
124.《ネタバレ》 この作品は、ほとんど喜劇です。登場人物個々の立場は同情するけど、世俗の垢にまみれた俗物ばかりに見えます。アメリカ全体がバカやって浮かれてる。彼らはこれと同じのりで北ベトナムを絨毯爆撃してたわけです。ジョンソンを下品な権力亡者に描いてるのは、監督の嫌悪感でしょうか。ただ、対象をつきはなした喜劇ではあっても、愛情をこめてることがわかるので、キューブリックのような冷たさはありません。 この作品で唯一、笑いの対象でない男はただひとり。イェーガーだけです。 【みみ】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-08-24 22:47:01) |
123.最初は普通の飛行機乗りたちのお話かと思ったので、後半の展開にはびっくり。 15年ほどのスパンで展開されるドキュメントタッチのドラマということで、 登場人物が決して少なくないこともあり、かなり上映時間が長い。 その分、各飛行士たちの描写がしっかりと描かれているので見応えは十分にあり。 面白いことは面白かったけど・・・やっぱり長かったな。 こういう内容の作品は、役者たちの演技を楽しむシーンも自然と削られるし、 普通のドキュメントでもテーマは十分に伝わるかと思う。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-08-07 10:44:25) |
122.みんなすごくカッコイイぜぇ!男はこうでなきゃ… 男に生まれてきたことに感謝し、次も絶対男に生まれてきたいと思った映画でした。 【おやじのバイク】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-07-16 11:58:16) |