12.実写版『X-MEN』の父と言えばブライアン・シンガーですが、『ファイナル・デシジョン』よりも『スーパーマン/リターンズ』を優先したことがFOXの逆鱗に触れ(シンガーは念願だったスーパーマンにまず着手し、それが終わり次第、X-MENの現場に戻ればいいと考えていた)、しばらくはX-MENへの出禁状態が続いていました。そんなこんなを経て久々に監督復帰した本作には、その間に製作された2本の続編に対する彼の思いがよく表れています。。。 鑑賞前の最大の関心事は、『ファイナル・デシジョン』で死亡したプロフェッサーXと、能力を失ったマグニートーをどうやって戦線復帰させるのかという点でしたが、驚いたことに、彼らは何事もなかったかのようにしれっと復活しており、そこには何の説明もありません。また、『ファースト・ジェネレーション』で初登場したミュータント達は1名を除いて全員が殺されたことになっており(あれだけ強力だったエマ・フロストまでが捕獲され、殺されてたなんて)、生き残った1名も本筋とは無関係なワンシーンで顔を出す程度。シンガーは、自分が監督していない2本をなかったことにしたいのではないかという疑念を持ってしまいました。そういえば、テーマ曲は『X-MEN2』のものに戻されてたし。。。 ドラマも、直近作とは断絶しているように感じました。前作のラストで意気揚々と学園を始めたプロフェッサーが、本作ではいきなりダメ人間として登場する辺りはかなり強引に感じたし、ミスティークを奪われた件でマグニートー相手にブチ切れる点は完全な逆恨み。前作のラストでミスティークの背中を押したのはあんただったでしょ。前作では思慮深い革命家だったマグニートーが、本作では独断専行で度々場をかき乱すバカになってた点にも、妙にガッカリさせられました。『ファースト・ジェネレーション』との整合性という点においては、今回の監督交代は完全に裏目に出ています。。。 とはいえ、本作ではシンガーの強みも十分に発揮されています。ミュータントの能力を面白く、かつ、わかりやすく見せるという点では他の監督の手腕を遥かに凌駕しているし(初登場のミュータント達がセンチネルとの戦いを繰り広げる序盤の素晴らしさ!)、気が付けばスター揃いとなっていたキャスト達を見事にまとめ上げ、知名度順に見せ場をきっちり分配していくという采配にも感心させられました。これぞ夏のスター映画です。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(吹替)] 7点(2014-06-04 23:02:11) (良:2票) |
11.《ネタバレ》 「マーベルVSカプコン3」発売当初は強すぎて猛威を振るったことで一部のプレーヤーからは「ウ○チネル」という小2病的名称で呼ばれてたセンチネルですが、今回の未来版のセンチネルははるかにそれを凌駕するチート性能で、恐ろしかったですわ。1対1じゃ勝負にならんむちゃくちゃな性能なのに、複数体、それも終盤は指輪物語のオークのような大群に。山の上や下から四つん這いで現れる光景は、指輪物語1作目の地下でのオークの大軍を思い出した。 ミュータントの魅力は人間には無い圧倒的力なのだが、それをごみのように始末していく様は圧倒的。これだけで「無理ゲー」感満載で、こりゃキャラ対策もクソもない、とんでもないクソキャラ。あまりにもどうしようもないので過去に帰って「調整」しようとする流れは、何か尖がったキャラを作ってしまうとすぐクレームが入って調整作業を命じられる最近のゲーム開発の悲劇を皮肉った映画に思える・・・というのは深読みしすぎか。 とにかく脚本的には大満足。これまでの人権差別のテーマに真っ向から取り組んでいる。 一方アクション面での見せ場は乏しく、序盤の戦闘やクイックシルバーのアクションを除けばほとんどドラマのみで進む。ここはやや不満点。 とはいえ、劇場を出た時の「この作品でX-MENシリーズは終えるのが最もきれいな形だ」という気持ちに従って、9点。 絶望的な未来を見てきたウルヴァリンが、流れの変わった未来を見た時の安堵感、その心を読んだプロフェッサーの心情を微妙な表情で表現したラスト2人が素晴らしかった。 過去のウルヴァリンが磁気探知機に引っかからないなどのギャグも中々よかった。 次はアポカリプスか~ 【みーちゃん】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-06-03 10:29:22) (良:2票) |
10.《ネタバレ》 X-MENはその圧倒的な映像だけでなく、結構ストーリーもしっかりしているので新作が出るとそれなりに映画館で観ています、やっぱり大画面だと迫力も違うので(スピンアウト作品はあまり観ていませんが)。今回の作品、センチネルがとにかく強い!ミュータント達がまったく相手にならない。個人的にはどうにかしてセンチネルを倒すというストーリーがよかったのですが実際には過去を変えてそもそもセンチネルが存在しない未来を創るという流れになってしまってちょっと残念。なんか試合には勝ったけれど勝負には負けたという感じで、ミュータントの力を結集してセンチネルをぶっ倒して欲しかったです。蛇足ですがあの超高速移動のミュータント、さすがにあの速さはありえないでしょう。。(笑) 【珈琲時間】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-06-03 08:05:03) (良:1票) |
★9.《ネタバレ》 “マイノリティー”として生まれ生きることの意味と意義。それに伴う苦悩と苦闘。 その全世界的、全歴史的において普遍的な“苦しみ”を根底に敷き、一貫して描き抜いてきたこの世界観において、分かりやすい高揚感などはそもそも存在し得ない。 なぜならば、そこには明確な「敵」や「悪」が存在するわけではないからだ。
目に見えるすべてのものは、敵にもなり得るし、味方にもなり得る。 自分自身と、己に対峙する他者を寛容し、希望を見出せるかどうか。 それはまさに、ウルヴァリンやマグニートーをはじめこのシリーズに登場するすべての“X-MEN”が苦悩の末に辿り着いた真理だったろう。
そしてそれは、ミュータントではない我々「人間」が最も戒めなければならない最大にして永遠の“テーマ”であるということを、この最新作は強く訴えかけている。
主人公であるウルヴァリンの活躍が殆ど無いこと、明確に魅力的な悪役が存在しないこと、センチネルのただただ絶望的に無慈悲な強さ……今作は、高揚感やカタルシスを意図的に排除している。 その代わりに、差別による狂乱と恐怖の中で敢えて“銃を置く”という「選択」が、大いなる勇気と希望を生み出すということを、驚くほど愚直に描き出している。 その最も重要なシーンでさえ、ウルヴァリンは川底に沈んでいるし、プロフェッサーは瓦礫に埋もれている。 ヒーローが活躍する華々しさなどまるでない。
繰り返される歴史上の悲しみにおいて、本当に必要なものはヒーローではなかった。 必要だったものは、最も厳しい局面において、最良の未来を選び取ることができる「勇気」そのもの。 この高揚感に欠けたアメコミ映画が14年かけて描いてきたことは、そういうことだったのだろう。
チャールズとエリック、そしてローガン、彼らの長い長い苦闘がついに報われ、苦悩が払拭されたラストシーンは、多幸感に溢れている。 タイムパラドックスを主軸においたストーリー展開は少々強引だけれど、ウルヴァリンの悲しみをすべて打ち消す、大胆で慈愛に溢れたこの大団円を見せられては、何も言えない。
このシリーズに、これほどまで愛着を持てるようになるとは思わなかった。 今一度、好きになれなかった第一作「X-メン」から観直してみよう。自分の評価が大いに転じることは、もはや明らかだろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-06-02 23:43:08) (良:3票) |
8.《ネタバレ》 『ファーストジェネレーション(FG)』から監督が替わっても非常に面白かった...のだが、やはり『FG』の次点か。何故かと言うと『FG』はそれ一本で映画になっていたが、『フューチャー&パスト(F&P)』は今までのシリーズありきの構成になっているため。だが、X-MENシリーズは押並べてシリーズ構成がしっかりしており、『F&P』も「人種差別問題への提言」というテーマは変わらず、遺伝的に問題(小人症)のある「人間」の科学者が、ミュータントを駆逐しようとしたことが発端となる物語は秀逸。ベトナム戦争という実際の国際問題とも絡み合い、物語に現実感と深みを持たせているのは相変わらず。登場人物たちも内面まで細かく描いており、各キャラクターに感情移入し易い作りとなっているのはさすがと言える。特にミスティークの描写にはヤラレル!『FG』の同志たちがあんな結末を迎えていたら、そりゃ誰だって半狂乱になるさ。でも、今回はマグニートーがどちらかというと悪役を担ってしまい、明確に善悪を描かないX-MENシリーズには珍しく、彼に対する反感を持ってしまうのが不満点ではある。また、複数の時間軸の物語が同時進行で進む物語は、『インセプション』的でもあり面白いのだが、矛盾点もあり今一つ納得できない展開になっているのが残念。...ではあるが、いずれにしても、観終わった後に興奮して話し合いたくなること間違いなし。あっ、あと、ラストの彼女と彼の登場はシリーズのファンにとってはうれしい限り。そしてエンドロール後の映像も観ておかねば。ん~、ハナマル!! 【しぇんみん】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-06-02 22:12:22) (良:2票) |
7.さてワタクシ、X-MENの何たるかをまるでわかっていないのだけど(多少知っていても知らないフリをしちゃうのだけど)、今作、ミュータント退治ロボット・センチネル軍団の攻撃により、ミュータントたち大ピンチ!ってところからオハナシは始まったようです。このままでは全滅の危機。そうだ、過去にさかのぼってセンチネル計画を初期のうちに潰しちゃおう。これは名案。どこかで聞いたような作戦だけど。と言う訳で、ウルヴァリンが過去の世界へ向かうのだけど、タイムスリップする訳じゃなくって意識だけが過去の自分へと送り込まれる(ドラえもんの人生やりなおし機みたいなもんか)。だもんで、意識が送り込まれた過去の話と、体が残された危機の迫りくる未来の話が並行して描かれるのですが、ここで色々と問題が。(1)せっかく冒頭からバトル全開で、イイ感じにワケわからん開始だったのに、ここでくどくどと説明セリフを垂れてしまっていきなり失速。説明なんて後でいいんだ。最初は「謎」でいいんだ。(2)もっと問題なのは、過去の戦いが、未来をリセットするための戦いであること。クライマックスでは過去と未来の戦いが同時並行で描かれるけれど、「未来の方、いくら危機に見えても、どうせ(過去の戦い次第では)リセット可能なんだよね?」と思って観ると、これがもう、気分的には見事に盛り上がらない。あはは。差し迫ったもの、サスペンスの、欠落。(3)全編を通じ、ウルヴァリンが大して活躍しない、これは製作サイドの意識的なものでしょう。飛行機の後ろで居眠りするウルヴァリンを意地悪く映し込んだシーンが、それを象徴してます。しかし、あの肉体を見せておきながら、こうも活躍しないとは。(4)そもそも「意識だけが過去に行く」という設定が、単なる設定、オハナシの都合に過ぎず、意外性や驚きを伴った演出が何もないのは、チト寂しいのではないでしょうか。……と色々クサしつつも、ハチャメチャな部分も多くあって楽しめたりもしたのですが、このシリーズ、今後どう迷走するのか、ちょっと心配(エンドクレジット後に次回予告らしきシーンがあり、「あれ誰やねん」と周囲のザワつく声)。 【鱗歌】さん [映画館(字幕)] 6点(2014-06-02 21:25:43) |
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6.《ネタバレ》 個人的にブライアン・シンガーという監督は割と派手な演出をしない監督なのでアメコミ映画の様にド派手な見せ場が必要な作品よりは、『ユージュアル・サスペクツ』に代表されるような優れた脚本がセットになった時に良い作品を作る監督だと思っています。なのでちょっと心配していたのですが、本作はブライアン・シンガーが担当したX-MENシリーズ作品の中では最も好きな作品になりました。大変面白かったです。 X-MENの根幹を為すテーマはハッキリしています。マイノリティへの差別・不寛容です。前日譚であった『ファースト・ジェネレーション』ではそのテーマを全面に押し出していましたが、本作でもかなり顕著に出ていて、本作では自分と異なる存在を排除しようとする思想が結果的に世界を滅ぼす話となっていて、まあ今現在でも世界の彼方此方でマイノリティに対する攻撃は存在しているので有意義な作品であると思います。但し、作品の結論が「他者を怖がらず、武力で排除するのではなく、分かり合う努力をしましょう」という一般的な価値観からすると普通であるので、突出した出来のストーリーでは無いなとも思いました。素晴らしい話だとは思いますが。 前日譚で袂を分かったチャールズとエリックが過去と未来の双方で和解する展開には胸が熱くなったのですが、その主として描かれる二人に対して、本来主役級である筈のウルヴァリンが全体を通して余り役に立っていなかったのには少し残念というか、もう少しアクション面だけでもいいから見せ場があってもいいかとも思いました。今回は、ビーストにボコボコにされるわ、面倒くさい局面で記憶を無くすわ、終盤で場外ホームランを喰らうわ、本当に終始可哀そうな役回りでした。 あと矢張りブライアン・シンガーらしく大規模なアクションの演出はかなり控え目で、終盤のマグニートーによる超規格外の磁力操作や、センチネルとの戦闘など、マシュー・ヴォーンならどんなにワクワクする画に撮っていただろうと、つい思ってしまったりもしました。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-06-01 19:58:15) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 あの怪物と戦うのかと思っていた。氷になったら、鋼鉄でなぐったり、連携すればなんとかなりそうだ。また、線路の鋼鉄をその怪物にからめればコントロールも出来るじゃないか。しかし、負けるという筋書きだ。また、どうせDNAを移植するなら、あの不死身男のものを移植した方がいい。それに、現在がどこなのかわかりずらい。ただし、テンポがよく、確かになんとか理解できる。全員が生き返るのはいかにもマンガらしい。ザ筋書きには限界を感じるが、面白いから許せます。 【matan】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-06-01 19:04:19) |
4.《ネタバレ》 まずはじめにこの映画を観ようとしているあなたへ。シリーズはあらかじめおさらいしておいて下さい。シーリーズを観てきた人も、再確認をすることを勧めます。忘れているとポカ~ンてなっちゃいますよ。ウルヴァリンの爪が!?プロフェッサーXが!?こいつは誰?こいつとこいつの関係は?てな具合に気になりだしたら、物語への集中力に欠けてしまいます。私がそうでした(笑)まあそうは言ってもしっかりと意見は述べさせていただきますが。まず主人公のウルヴァリンの活躍、戦闘が少ない!チンピラを数人倒しただけ。これはちょっとないです。マグニートーが圧倒的力を全世界に見せつけておいて、他のミュータントと人類が互いに理解を深め協力をっておい!ちょっと都合良すぎ。センチネル計画がなくなっただけ。表面上は。ミュータントに対する恐怖や差別はまだある。て私は勝手に解釈しました。人間そうそう簡単にコロコロ変わるもんじゃないってば。傷を負って大衆の前に姿を現した時のミスティーク。大衆の前で貼り付け状態にされたビースト。その時の哀愁。これこそがX-MENの根本的で普遍的なモノだと私は強く感じました。あの時の二人の表情は、永遠に忘れません。にしてもウルヴァリンの爪って、「SAMURAI」でああなったのに、あの時代はまだああじゃなかったはずだよな~・・・不思議。それとお決まりのエンドロール後のお約束もありますので、最後まで観て下さいね。 |
3.《ネタバレ》 素晴らしい。X-MENシリーズの最高傑作だと思います。コアなファンほど満足感は高いと思いますが、最低でも3とファーストジェネレーションは見ないと訳分からないと思います。オールスター集結と歌ってますが、単に集結しただけではなく、個々のキャラの思いが良く表現されている。希望を持って欲しいと言うプロフェッサーの思いと、圧倒的な力を見せる事で人類の手出しを防ごうとするマグニートの思いが本作でも衝突するが、その2人の葛藤がミスティークと言う怪物を産んだ事が良く理解できた。他のキャラもそれぞれ素晴らしい。ラストでなつかしの2人が現れるシーンで、プロフェッサーの「努力した」と言う言葉が痛いほど納得できる。この50年の間にどんなドラマがあったのだろうか。万感胸に込み上げるラストでした。 【ぴのづか】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-06-01 16:13:51) |
2.《ネタバレ》 2Dで観ました。 非常に面白かったです。シリーズは『ウルヴァリン: SAMURAI』だけまだ観ていません。 最初からテンポ良くどんどん話が進んでいき、場面がターミネーター風世界から70年代に移ったり飽きませんでした。 チャールズ(博士)が若い頃の苦しみを超えて、再び希望を取り戻す様子が一番良かったです。 エリック(マグニート)とのお互いの愛憎の感情のぶつけ合いも、説得力がありました。 エリックは怒らせると本当周りに迷惑だなあと心から思いました。 ミスティークは感情表現が豊富でしたし、ティリオン(ゲームオブスローンズ)で有名な役者さんは、70年代の髪型が微妙に似合っていたのも微笑ましかったです。 瞬間移動の少年の描写もみただけでは可哀想と思うだけの一人卓球ですが、彼視点の描写をみた後はなる程と思えたし、全体的に色々分り易く表現していて入り込み易かったです。 コアなファンではないので、過去のシリーズのあそこと話が合わなくない?など観た後にフツフツと疑問が沸くのをネットで調べたりも楽しいですね。ツッコミ所もあるんですが、能力や仕組みを映像でドラマチックに説明するシーンが非常に優れていました。映画の冒頭で細胞からセンチネルを造る仕組みを一分以内で表現しているシーンを観た時に、これは優れた映画かもと思ったのが裏切られませんでした。なので今度は是非3Dで観ようと思います。 【梅干御飯】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-05-28 19:54:07) |
1.《ネタバレ》 興奮した。とても楽しかった。「ファイナル・ディシジョン」のスペクタクルと、「ファースト・ジェネレーション」のドラマを足したような究極の「X-MEN」に仕上がっていたと思う。 冒頭、初登場のミュータント達が、能力を駆使してセンチネルに立ち向かう。多彩な技の連携でこの場を乗り切るのかと思いきや、全滅。古株のアイスマン、コロッサスも全く歯が立たずに撃沈。強い、強すぎる。そう、今回の敵には誰も勝てないのである。だからこそ過去で叩かなければならない。 未来に起きる危機を過去で食い止めるというプロットは、SF映画においてはよく見かける気もするし、それを題材にした傑作も既にある。この古典的な導入口を振りかざせば、「何を今さら…」と、ハリウッドの深刻なネタ不足を呆れられるだろうが、「X-MEN」に限ってはそれはない。このシリーズには過去にも、未来にも魅力的なヒーローが存在するからだ。そうなればもう、世代を超えたオールスターの集結は必然。伊達に14年間、本作含め7作品も作ってきたわけではない。 非常に多くのキャラクターが入れ乱れる本作だが、大味なアクション大作にすることなく、「X-MEN」の命でもあるドラマ面を描ききっている点を評価したい。塞ぎ込んだチャールズと、幽閉されていたエリックに与えられた二度目のチャンス。再開した二人は、共に希望を見出し、再び違う道を歩んでいく。過去と未来の同時進行で生まれる緊張感の中にも、シンガー監督らしいヒューマンドラマが息づいている。 14年前に制作された1作目で、「希望を探している」とチャールズは言っていた。14年未来に制作された本作でも、チャールズはフューチャーパストの自分に「もう一度希望を持ってくれ」と言って導いた。チャールズの再生を促す感動的な場面であると共に、本シリーズの歴史を感じさせる感慨深い一幕だった。シリーズを生み、育て上げたシンガー監督の下に、オールスターキャストが集まった本作は、ある種「X-MEN」の集大成。映画の枠を超えた桁違いのパワーを感じさせられる、まさに究極の「X-MEN」だと言える。次回もこれを超える「X-MEN」を期待したい。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-05-28 19:14:02) (良:3票) |