5.《ネタバレ》 試合後、鏡でボコボコになった自分の顔をしばし見てから部屋を出るシーン、あそこで終わってくれ、頼むから外で男や家族が待ってたりしないでくれ、って思ったんですけどねぇ・・・
ほら、泣いて弱さを見せるのは「世界一まずそうなステーキを食べるシーン」で一度やってるわけじゃないですか。あそこだけでいいんじゃないんですか?と。
1つのドラマとして結論付けて〆ておきたかったのかなぁ。そこが個人的には残念。
でもね、やっぱり安藤サクラが凄いんですよ。
『ペタル ダンス』やNHK『野田ともうします』での普通なカンジから『その夜の侍』や『愛と誠』でのかなりヘンなカンジまで自在にこなして、今、最もカッコいい女優だと思ってるんですけど、これはその集大成みたいな作品で。もう冒頭のダルダルな状態からクライマックスの闘いまでめちゃくちゃカッコいい。
妹と喧嘩して寝巻のまま家を飛び出した、そのパンツ透けてる大きなお尻のみっともなさから、闘争心剥き出しにしてリング上の相手に向ってゆくまで、クズな男ども(ホント、この映画、登場する男は全員クズっていう)をぐいっとねじ伏せてゆきます。
クズの中でのたうちまわって這い上がる美しき女神、こんな役、他に誰がこなせるでしょう?
映画の、70年代の安っぽい邦画風だったり、安直な『ロッキー』や『ランボー』のパロディみたいになっちゃってたりする部分までも救済してしまう存在感。
昔から「脱いでぎゃーって叫んでれば評価されちゃう日本の女優」みたいな風潮はありましたが、彼女こそは脱いでぎゃーって叫んで圧倒させる本当に凄い女優。凄まじいプロ根性ではありました。