21.《ネタバレ》 これは好きな人と嫌いな人が別れるタイプの映画だと感じた。
そして、自分は好きな人の方。
「ゴジラ」という名を関しているものの、内容は怪獣が大暴れするようなものではなくフェイクドキュメンタリー。
日本に正体不明の巨大生物がやってきたらどうなるんだろう?というのを真剣に作った感じ。
誰もが対峙したことがない巨大生物に対抗するため各界のオタクたちが集結!オタクアベンジャーズ結成!もうこの流れで燃える。
そして飛び交う謎の専門用語とハイテンションで芝居がかったセリフ。読ませる気もないテロップ。完全なおいてけぼり感。
…いいじゃん!
どうせ、見てる我々は何言われても理解は出来ないし、そもそも現実に存在するような物質でもないだろうから、なんとなくの雰囲気を感じられればいいんです。
多くのモンスター、怪獣モノとの圧倒的な違いとして感じたのは、現場の先端を徹底的に見せたこと。
例えば平成シリーズのメカゴジラ。これはもちろんメインの主人公がゴジラと戦うことが中心となって話が進んでいく。
でも、今作はそうではない。メカゴジラの武器を設計する人、ゴジラに効果的な戦略を練る人、メカゴジラを動かすエネルギーを作る人、メカゴジラの整備・修理をする人…そういった、端の人たちを描いている。
あえて言うなら、みんな主人公。普段、社会の歯車の一つとして特にクローズアップもされない自分は、深く感動してしまった。
今回の映画は対ゴジラはメインでない。ゴジラとどう戦うのか考えるのがメインであって、あとはその通りに進めるだけなのだ。
だから、感動的な逆転劇なんて無い。泥臭く、それでいて一歩ずつ、ゴールに向かって進む…いいじゃん!
気合だとか謎の力だとかパワーアップだとかご都合的な展開が発生するとかより全然いい。
失敗したら後が無い感を凄い感じた。常に絶望感が漂う分、最後の最後に大きな開放感を感じる。
ただ、ゴジラでなくてもよくないか?感はあった。
他の方もおっしゃている方もいますが、使徒だし。巨神兵だし。
最後に個人的考察。
劇中、唯一ゴジラの存在を認識し、独自に研究をした博士がいたわけですが、残念なことに行方不明になった彼がどうなったかは描かれていない。
私はあの博士がゴジラをなんらかの方法で日本に呼んだのだと思う。博士の船の近くにゴジラは現れたし。
日本と放射能に対し恨みを持っていたし、どういう経路か不明ですが、ゴジラに対する有効策も生みだしていた。
それに加え「私は好きにした、君たちも好きにしろ」のコメントである。
過去の負の遺産をゴジラという分かりやすい姿にした、日本人ひいては人類への未来に対する監督なりのメッセージが込められているのかな、と勝手に解釈した。
4DMXで見て正解。
電線を挟んで移動する人目線のカメラワーク、炎からレーザーに変わっていき街が一瞬で破壊されていく描写。
ゴジラの圧倒的巨大さ、残酷さを存分に体感できた。
家で見るより大画面で見ることをお勧めします。