3.《ネタバレ》 ツイッターで評判になっていて、映画好きならば当然心の底から楽しめるのでしょう、と期待していたのだけれども、どうやら何千って映画を見てゆくウチにアタシはつまんない映画オタクへと堕してしまったようね・・・。自分でも驚くほど響かなかったの、この映画。
これって映画についてのアニメ映画なのだけれども、あくまで映画の言語ではなくてアニメの言語で描かれているのね。そりゃアニメ映画なのだから当たり前なのかもしれないわ。ヘン顔とか汗とか。だけど劇中劇(というかアニメ映画内映画)までもがアニメの言語で描かれてしまっていたら、それは違うでしょうと。そこはあくまで映画としての括りで描かれていたのだから。
追加の脚本部分、アレは本当にポンポさんが書いてしまったの? 主役でもなければ語り部でもない追加の登場人物がいきなり心の声を響かせてしまう、そんなアニメの言語で描かれたようなモノが通用するのかしら?
それにピアノの前の老人の黒い禍々しい影と瞳の光のエフェクト、アレも無しよね。そんなアニメアニメした即物的表現(あるいはマーベルとかDCとか怨霊モノとか)が必要? 編集画面にきっちり描かれていたのでアレはあくまで素材そのものに刻まれたモノよね。
それがラジー賞ならともかく最優秀作品賞とか最優秀脚本賞とか獲れるの?あの題材、あの撮影素材が果たしてそんなに素晴らしいものなの?っていう疑問はともかくとしても。
登場人物が揃いも揃って影を持たず、ポンポさんは天才で、物事は全てポジティブに進み(銀行の件など困難ではあってもネガ方向のベクトルではないわ)、映画製作の裏に存在する闇などなくて、でもそれはそれで現実の投影である必要はない、観ているみんなに希望を与えるものであってもいいでしょう。でもどうにもアタシにはそれがムズムズと居心地の悪い、キモチの良くないモノなのね。みんな仲良し馴れ合いワールドで映画ができました~・・・やっぱりキモチ悪いわ。アタシマジダメなオタク。
でもアタシ的に楽しめたところもあったわ。
頻出するフィルムの絵、アレに光学式サウンドトラックとドルビーデジタルのデータはハッキリ確認できたけど、SDDSのデータは微妙で(多分無い)、DTSの同期信号は無しだったとか。
女優の顔さえ綺麗に撮れていればそれでいいというのはアタシが前からレビューによく書いているコトなのでバリバリ共感したり。
飛行機のシーンでのベクトルを観察したりとか。西海岸からヨーロッパ方面に飛ぶ飛行機をどっち向きに描く? 客席は進行方向に向いているべきだけど、どうだった?
あと作ってる映画を自分ならどうする?って考えたり。前半のコンサート部分はタイトルバックに詰め込んで本編いきなりアルプスから始めるとか。コンサートからアルプス以前までの出来事は回想として断片化するとか。老人が屋根から落ちたら笑えないでしょ?むしろ心配でしょ?だから切る、とか。
映画についての映画だけど、五月蠅い映画オタクとかシネフィルとかいった存在は意識してたのかしら。むしろ切り捨てるべきと考えたかしら。映画って出来上がった作品が総てだからそこは判らないわね。
そうね、だからアタシはダメな映画オタクだけどさ、1本1本の映画はこうして真剣に真面目に見てるのよね。そこについては認めてね、と自己弁護しておしまい。