131.《ネタバレ》 なんの予備知識もなく、絵柄で戦時中の恋愛モノかな、くらいに思って鑑賞したらガチな戦争映画でびっくりした。 いい意味で。
戦争によって、戦地に赴く兵隊さんはもちろん大変だけれど、故郷で待っている生活している人たちも大変だったことが、ひしひしと伝わってくる。
配給もどんどん少なくなり、物価も上がっていく中、すずさんがやりくりするところは、すずさんはただほんわかしているだけではなく、強さも持っていることがうかがえる。
場面が急に切り替わる、とレビューしていた人もいたけれど
鬼いちゃんが急に遺骨になって戻ってくるシーンとかは、戦争中に亡くなって戻ってくる人たちは あんなにあっけなくあっさり死んでしまうんだな、と逆にリアルに思えた。
空爆の描写もリアルで怖いし、空爆が過ぎ去っても時限爆弾が恐ろしい。
ここからが色々とつらい描写が続き、ここまでですずさんに感情移入していた私にも、とてもつらい状況となってしまう。
終盤、8月に入ってからすずさんが広島へ帰る、と言い出してセ〇ンやミ〇トのようなバッドエンド映画かと覚悟しました。
夫婦で広島入りしていましたが、放射能は大丈夫なのかとハラハラしてしまった・・・。
でも、当時の人たちは放射能のことなんて知る由もないですもんね・・・。
すみちゃんも・・・悲しい。
ラストの電灯から布を取るシーンで、あぁ戦争が終わったんだな、と思わせる少し安堵する演出でした。
( 電灯を布で覆うのは、夜間に家の明かりを爆撃機から発見されにくくするためですね。たしか )
戦争が終わったら映画も終わり、ではなく、映画が終わっても描写はされないけれど すずさんたちの生活は続いていくんだ、と感じさせてくれるいい映画でした。
戦争映画というくくりになりますが
火垂るの墓は、疎開先で耐え切れず逃げ出した主人公たちが死んでいく、あざといお涙頂戴映画。
かたや この世界の片隅に は、戦争で死んでしまうのは悲しい、でもそれだけではなく戦時中に生きていく人たちのたくましさを丁寧に描いている良作です。
毎年、夏に放送するのは「火垂るの墓」より、「この世界の片隅に」のほうがいいと思います。