94.《ネタバレ》 『告白』もそうだったけど、最近「へらへら生きる者」と「本気の者」の対比の映画が多いな。「本気」に生きる難しさ、って言うか(この二作に岡田将生はどちらにもトホホな役で出演していて偉い)。デートの後で金を渡され傷ついた深津絵里が車で送られたとき、「本気やったと、ダサかやろ」と呟く。「呟き」だけれどほとんど「叫び」であり、つい観ながら「そんなことない、そんなことない」と呼びかけてしまう。そのあと妻夫木君も洋服店を訪れ「本気やった」と告げる。「そうそう、それでいい」とこちらもうなずく。岡田将生一人がへらへら役を任されててちょっと気の毒なんだけど(あと松尾スズキの催眠商法男も、社会にタカを括っている点でへらへらに分類されるか)、彼に関する柄本明の「大切な人はおるか」のモノローグが流れ、それぞれの大切な人が描かれていくあたりはキュンとした。言ってみれば道徳演説で普段なら抵抗を感じるところだが、前に「ダサかやろ」で深津絵里に釘を刺されているので、ダサく感じることを許されない。全体、いろいろ引っかかりかけるところで、あのおずおずとした「ダサかやろ」が蘇ってきて、観ててへらへら小馬鹿に出来ないのだ。ずるい。映画としていいなと思ったとこは、妻夫木君が食事中に母親から警察が来たことを知らされるあたりの演出。ビクッとしたりオドオドしたりがなく、黙々と食ってていきなり吐くのがいい。あと深津絵里の店員としての客への応対。日常の倦怠感をことさら出さず、熟練さを見せて長くこの仕事をやってきた心の裏を感じさせる。この事件に外側から巻き込まれていく深津と柄本の仕事場に、どちらも鏡という世界を裏返しに見返す装置があるのは偶然か。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-12-14 10:26:29) (良:1票) |
93.カンヌだっけ?で賞を取ったのと、茶髪(金髪?)の妻夫木くんが前から気になってた作品。一言で”重たかった”という印象だけど、深みはあまり感じられず、ちとタイトル負けしてたかな。 【じゃん++】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-12-03 06:49:27) |
92.地上波のカットしまくり版を見てレビュー書くのってどーよ、と思うが、お金払ってDVD借りる気にはならんだろうし、多分カットされたシーンは、お茶の間に流せないようなシーンばっかだったんだろうから、別に大勢に影響ないか、と思って書くことにしました。というわけで、原作は既読。吉田修一ファンの方には申し訳ないんだが、私はこの人の作品2本しか読んでいないけれども、嫌いです。もう1本読んだのは『さよなら渓谷』。選択が悪かったんだろうけど、まあ、嫌いになっちゃったもんは仕方ない。なので、本作もゼンゼン期待しないで見た次第。というか、むしろ、こき下ろしてやろうと手ぐすね引いて見たといっても良いくらい。ところがところが。あら、結構イイじゃない。原作じゃムカついた、佳乃の殺害シーンの描写も、こっちは見ていて「ひでぇなー」としか思わない。これは、多分、満島ひかりの演技が上手いからでしょう。始めから終わりまで、まあ、ムカつくことなく見れたのでした。脚本に原作者も参加しているけれども、こういうのって、むしろ失敗するケースが多いと思うが、本作に限っては成功していると思う。そうか、吉田氏は、こういうことが書きたかったんか、と、原作を補うものがあったような。この人は、小説家より、脚本家の方が向いてんじゃないか? とさえ思った。・・・とはいえ、まあ、だからもう一度見たいかと聞かれると、別に見たいと思わないし、心を動かされる何かがあったかというと、それもない。ふわ~っとイイ作品、でしかない、私には。でも、それはそれで十分良いとも思う。吉田作品を他にも読もうとも思えないけどね・・・。あとこれ、CMが一杯細切れで入っていたんだけれども、日本の企業ってのは、もう少し、ショーバイ根性よりも、文化とか芸術とかの精神性を尊重するっていう度量はないのかね。ある程度まとめてインターミッション的にCM流すとかさー。そういう企業だったら、同業他社の製品より高くても私は買うぞ、率先して買うゾ。そういう、芸術に理解ある(上っ面じゃなくて)本物の経営者っていないのかねぇ、・・・ということを、本作を地上波で見て一番強く感じました。 【すねこすり】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-11-29 21:49:40) (良:2票) |
91.役者の演技は素晴らしい(宮崎美子だけちょっと過剰だけど) ストーリーで展開に違和感を感じるところが2ヶ所ほどあったのでそこが無ければ、もっと良かったかも 灯台のメールが二人をガッチリ繋ぐ内容でそれを描いてくれたらグッと入り込めたかも あの展開で満島ひかりを絞め殺すのはありえない アクシデントで殺してしまうのなら納得いくけど 車から蹴り落としたのも父ちゃんあんなに憎んでるなら訴えたらとりあえず逮捕だけでもされるのに 樹木希林の詐欺の話も中途半端でいらないような… ところで永山絢斗は意味深だったけどなんだったの? 【マーガレット81】さん [地上波(邦画)] 4点(2011-11-28 20:06:45) |
90.脇役の爺さん婆さんたちの演技が良く、惹き付けられた。 【もんでんどん】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-11-25 14:12:00) |
89.タイトルが悪人だからどれだけ非道の極悪人が出てくるのかと思ったら、誰が悪人なのかイマイチわからなかった。みんな気の小さくズルをして生きている人ばかりだ。タイトルを「小悪人」に変えてもらいたい。深津さんの役はもう少し年上で小太りのおばさんの方がいいと思った。 【こねこねこ】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-11-22 18:45:42) |
88.《ネタバレ》 妻夫木聡と深津絵里といえば、昔ぱっとしない「月9」でも共演してたが、そんなテレビドラマ的キャスティングという制約はありつつも、主演の2人、樹木希林から柄本明まで、見事な演技で吉田修一のイケテナイ世界を再現してました。原作既読でしたが、ほとんど違和感を感じることなく、その世界観に浸ることができました。なかでも、満島ひかりが演じる佳乃の二面性(「性悪女」と「愛される娘」)に代表される主要登場人物の多面性を、2時間少しの制約のなかでちゃんと描いたのは偉い(岡田君の享楽的な生き方も繰り返し見せられると虚しさのほうが伝わってくる)。一方で難点は音楽と演出。音楽はとにかくうるさい上にシーンにあってない。『おくりびと』もそうでしたが、久石譲のしつこいメロディは実写ドラマに向いていないように思います。演出といえば、何と言ってもクライマックスのスローモーション。これまで細かく丁寧に描いてきたものが一気に崩れ去るようでした。そして、イカの目玉は、この映画最大のホラーでした。今思い出しても恐ろしい。 【ころりさん】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-11-21 12:52:52) |
87.《ネタバレ》 この路線はあまり見ないんだけど、ネームバリューでつい見てしまった。キャスティングが最高だね。モロ師岡、松尾スズキは抜群。あと九州弁。これ標準語でやられたら2時間ドラマレベルに落ちちゃうかも。モントリオール映画祭で評価した人達にはこの方言のニュアンスはもちろん伝わっていないんだろうね。 一見、殺人を犯した男が主役にも思えるけれど、地味に生きてきた地味な女性が一生に一度(たぶん)数日間だけ女として輝いた・・・そこを描いた作品なんだよね。彼女の側から考えれば、いい出会いだった訳だ。 よく作られた映画なんでしょう。でもやっぱり好きなジャンルではないのでこの点数で。 【フラミンゴ】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-11-21 07:49:09) |
86.TV(民放)で見たんですが、エンドロールで海外の映画際で深津絵里が受賞したシーンが映されていましたが映画館で上映した時もこの編集だったんでしょうか?これだけでもマイナス10点ですが…映画は原作を読んでいたので良くも悪くも原作通りです。予想外によかったのは老けたな~と思わせるほどのリアリティを見せた深津絵里と、売り出し中なのに「嫌な奴」役を演じた岡田将生です。逆にうんざりしたのは、いい加減やめたらと言いたくなるラスト部分でのスローモーション。感動的な場面の余韻を作ろうとするスローモーションほど興ざめはありません。 【仏向】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2011-11-18 01:29:14) |
85.《ネタバレ》 あの「告白」(観てないけど)を抑えて日本アカデミー賞を一人勝ちした「悪人」。 まぁ、良くも悪くも日本アカデミー賞審査員が好きそうな映画だな、という印象。 登場人物は、映画の世界を取っ払ってリアルで、わりと人殺しなんてのは、何かのタイミングだったり、ほんのちょっとのことで身近に起こったりすんのかもしれない。 満島ひかりは、フォルダー5で踊ってる頃は、こんな良い女優さんになるとは、思わなかったな。悪人、モテキ、それでも生きていくを観て、今、間違いなく上手い女優さんになったなと思う。気取っておかしな方向へ行かないことを願いたいが、女優って言う奴は箔がつくと、感性を失うというか、感性が狂うというか迷走しだすよね。 なんか満島ひかりの話しかしてないな。しょせん、その程度の映画です。 【バニーボーイ】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-11-17 23:40:22) |
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84.《ネタバレ》 深津絵里が賞をとったためにクローズアップされているようですが、妻夫木君が田舎の金髪のおにいちゃんのなんとも寂しいイタイ感じが出てて、断然良かった。社会の片隅でひっそりと生きているそんな感じが出ていないとこの映画は成り立たない気がする。自分の先入観もあるかもしれないけど、なんか深津絵里はいつも深津絵里にしか見えない。 悪人というタイトルから悪とは何かという映画かと思いましたが、親兄弟とか同じ学校とか関係なく、真に人とつながることにしか救われない・・・それが出会い系であってもセックスがきっかけであっても・・・と感じました。「大切なものが無いからそれが自由だと思って、大切なものがある人を笑う」的な柄本明のセリフ迫真でしたが、悪役がやけにステレオタイプだったからかセリフに頼り過ぎな感じも受けました。全体に無駄の無いカメラワークで良かったのですこし残念でした。 【ETNA】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-11-12 12:09:48) (良:2票) |
83. 深津絵里演じる光代は世間から見れば、バカな男に入れあげたバカな女ということになるのでしょうが、この映画の中ではそう見えません。脇を固めた樹木希林や満島ひかりはもちろん、バスの運転手役のモロ師岡まで全く隙のないキャスティングでした。映画館に行かなかったことを後悔しています。 【海牛大夫】さん [地上波(邦画)] 8点(2011-11-10 21:32:24) |
82.《ネタバレ》 先日「罪と罰」を観賞したせいか、なんとなく下敷きにしているような作品に思えてなりませんでした。 私は俳優さんについてよく知らないせいか、始めに殺された女性は最後まで演じきるのかと思いました。 妻夫木聡は今までのイメージから全く変わっていて「ああ、これが俳優さんなんだな」って勝手に高評価してしましまた。 しかし、気になるのは、男女の出会いが、出会い系サイトとナンパ。あまりにもチープすぎる。 モントリオール映画祭で深津絵里が賞を取ったそうですが、主役が妻夫木から深津へ変わっているのも気になります。 深津演じる女性が寂しさからセックスをきっかけに男を守っていく過程も、こういう作品があるから、一般の男性は勘違いして、違う方向でロマンティストになるのだと思います。 少々批判的な言葉が並んでしまいましたが、う~ん…、でもやっぱり来年には忘れてしまいそうな映画です。 6点はおまけです。 【クロエ】さん [地上波(邦画)] 6点(2011-11-10 04:30:50) |
81.《ネタバレ》 ラストで女の首を絞め、彼女を「悪人に連れまわされた可哀想な被害者」としてくれた男の優しさ。実母についても「悪人(息子)に金をせびられる可哀想な母」としてあげるために、わざと金を無心していたのだろう。家庭環境や岡田君の置き去りなどを考慮して、刑が軽くなり出所後は幸せに暮らして欲しいな・・・。捨てキャラひとりもナシの完成度の高い作品でしたが、NO.1は樹林さんかな。 【Bebe】さん [地上波(邦画)] 9点(2011-11-08 12:11:09) (良:1票) |
80.いい作品でした。丁寧で、テーマの選び方、表現しかた、などなど、とってもよかったです。いろんな風に解釈できるところもよかった。が、その分、若干観客に投げちゃった感もあります。・・・・え?え?これ、あの超駄作「フラガール」の監督と同じ人が撮ったの??信じられません。 【コウモリ】さん [地上波(邦画)] 8点(2011-11-08 01:11:28) |
79.人間というもののリアリティーは感じましたが、それを取り巻く環境や背景がも一つ伝わらなかったです。一見すると重厚なように見えてフタを開けるとからっぽ。そんな印象です。映画で足らない部分は原作で補完できるだろうし、原作を読みます。おそらく原作越えはしてないだろうからこれぐらい。 【アフロ】さん [地上波(邦画)] 7点(2011-11-07 18:09:06) |
78.《ネタバレ》 メッセージ性を強く感じる良い映画でした。見終わった後にあらためて「悪人って一体何だろう」と考えさせられました。登場人物それぞれの感情の動きが細部まで丁寧に描かれていて、思わず涙が出る場面も多くありました。父親が現場で娘の幻と出会うシーンは何とも言えない気持ちになりました。 【civi】さん [地上波(邦画)] 8点(2011-11-07 14:59:08) |
77.《ネタバレ》 で、結局何なの?って感じ。メッセージがさっぱりわからない。これで何かの賞をとったみたいだけど選考した人のセンスもさっぱりわかんない。まあ、柄本っちゃんは岡田の頭をかち割ってほしかったね。つまんない映画でした。 【イサオマン】さん [地上波(邦画)] 3点(2011-11-07 00:47:50) |
76.《ネタバレ》 意外にも超号泣!原作が本当にすばらしいんだけども、映画への落とし込み方としてこれは自分は好きです。改めて思うに、もちろんすべてではないけど、悪人って生き方が不器用な人っていうだけなのかもしれないですね(ぶっきーだけにwww) 一番感心したのはイカが本当にさばきたての新鮮なものだったことです。「おくりびと」の川を遡上する鮭が偽物(たぶん)だったのに比べて、映画作りの真摯な姿勢にも感動しました。 【HAMEO】さん [地上波(邦画)] 8点(2011-11-07 00:27:38) (笑:1票) |
★75.《ネタバレ》 予想と違ってメッセージ性を感じるなかなかいい映画でした。殆ど観ないけどここ最近観た邦画の中ではダントツだと私は感じました。 殺人事件をきっかけにそれに関係する人々の人間性、関係性を描いている群像劇だと思います。出てくる人たちの誰かひとりを悪人にしているわけではないし、美化もしてない。 殺された子はかなりムカツクキャラになってるけど「それでも殺人はいけません」という誰でも知ってることを言いたかったわけではないだろうし、逆に殺されても仕方ないと思わせるわけでもないでしょう、描きたいこと、伝えたいメッセージのためには殺された子が同情されてしまってはそれが伝わらなくなるからじゃないかな?まあ、あえて言うなら悪質健食業者が悪人でした。どういう意図があって悪質業者を絡ませたのかな?
ラストの祐一のとった行動なんですが、あれをすることで光代は逃亡を手伝った共犯者にならなかったわけですね、理解しにくい行動ですが彼のやり方で光代を守ったんだと解釈しました。 俳優たちの演技は文句なしだし、カメラワークもよかったです。 文句と疑問があるなら、床屋のああいうタイプの両親に育てられた娘はああはならないと思うし、あと唯一のファンタジックなシーン、あれで被害者の善悪のバランスをとったのかもしれないけど、他に方法はなかったのかなあ。全編ヒリヒリとした緊張感が凄く良かったのに、なんかスコンと拍子抜け、甘すぎると感じました。 そして音楽がね、なんかメロドラマにありがちでイライラしました。あれならいっそナシでいい。文句はあるけど稀にみる邦画の傑作、完成度の高い秀作だと思います。ああ、びっくりした、良かった。 【envy】さん [地上波(邦画)] 9点(2011-11-07 00:09:55) |