106.《ネタバレ》 人生の交差点ともいえるタクシー内での一期一会。 【ロサンゼルス】 全く異なる世界の住人である女性同士の出会いがもたらす運命の行く先は…微かに残るアメリカンドリームだが、それを断るタクシー運転手の誇りに現代性をみる。 【ニューヨーク】 黒人と移民の出会いを通じて彼らに暖かな視線を送る。黒人のお節介なアメリカ人気質が良い雰囲気で、犯罪志向に走らない描写が良い。 【パリ】 アフリカ人同士の差別意識や、アフリカ移民と盲人というマイノリティ同士の出会いを描く。立場の違いで「ああ言えばこう言う」やり取りが秀逸。意見は違っても大きなトラブルに発展せず、敵意は見せないコミュニケーションが心地よい。盲人といえど対等な立場で皮肉も交える自然な会話が印象的。 【ローマ】 イタリア艶笑喜劇の悪い面を見せられているようで面白くない、マシンガントークも上滑り気味で全然乗れない、乗客の神父のように具合悪い気分で笑えない・・・・・以上の“ない”3連発。 【ヘルシンキ】 市井に生きる人々の不幸自慢(?)を赤裸々に描く。人生の悲哀を感じさせるがもうひと捻りほしかった。さりげなく”夜明けもある”ということが示されたのは好ましい。 総じて人生賛歌である。が、登場人物の喫煙シーン見せ過ぎには辟易。意図はわからなくもないが、(製作年を考慮しても)過剰なタバコ演出には違和感が残る。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-03-05 14:36:29) |
105.特に大事件が起きるわけではなく(1人を除いて)、市井の人々の些細な日常を切り取っただけですが、妙に共感するばかり。たしかに世の中にトム・クルーズやディカプリオのような人生を歩む人はごくごく少数で、圧倒的多数は小さなことで笑ったり怒ったりしているわけで。そんなことをしみじみ感じさせてくれました。 全編に共通するのはタバコ。あの狭い空間であれだけ吸われると、さぞかし煙たかろうと。しかしそれによって、車内の一体感というか、運命共同体的な印象を強めているのかもしれません。 個人的に好きなのはニューヨーク編かな。かのドライバー氏、後のドラマ「ブレイキング・バッド」における麻薬王氏だったんですね。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-02-20 23:32:06) |
104.《ネタバレ》 コンセプトはなかなか魅力的なんですけど、肝心の会話の中身があまり面白くないのですよね。いろんなパターンの登場人物を世界各地で取りそろえて、そこで終わってしまったというか、形ありきで作ってしまったというか。例えばわーわー怒鳴るロージー・ペレスにしても、すぐ突っかかるベアトリス・ダルにしても、人の話を聞いてないヘルシンキの酔っ払いにしても、何か一つ一つが作為的なのです。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-01-31 01:41:37) |
103.《ネタバレ》 正直、ハタチ過ぎに一生の仕事を選ぶとなったとして、私の場合にタクシー運転手とゆーのはまず選択肢には入ってこなかっただろうなぁ…と思うのですね。見ず知らずの人間と密室に押し込まれて、で間を持たせる為には気まずくも喋るか、でなければ更に気まずい沈黙を耐え忍ぶか…ソコは(今でも)耐えられなくはないまでもシンプルに気乗りはしないだろうなぁ…とは思うのです。でも、昔の私よりも多少人生経験を積んだ今になって思うのは、仕事だろうが余暇だろうがとにかくやはり「人と繋がれる」とゆーのは実に非常に魅力的なコトであって、その意味では特に大都会のタクシー運転手なんて、ソレこそあらゆる分野・人種のあらゆる人々と毎日一期一会の出会いを重ねてゆける(+でその気になれば彼らと話すコトも出来るかも知れない)て、考えてみればスゴい仕事だと思うのですよ。私も実はもしかしたら、今の職種で通用しなくなったら20年後とかにはやってるかも知れない…と思います(でも私、殆ど運転経験ないので二種免許って取れるのかな?てな気もしてますケド)。 非常に純粋な会話劇の部類だと思いますが、また深夜のタクシー内てのも会話劇のシチュエーションとしてはこれまた非常に面白いとゆーか、何とゆーかこのジャンルにおける何かエッセンシャルなモノも感じられるなぁ…とゆーか。多くの場合で1対1、密室で動きもなし、かつ互いに面識が有るワケでもなし、そしてそもそも会話に乗るかどーかも完全に気分次第……なので結局、そーいう目的も必要性も本来は存在しないハズの会話を映画として面白いモノにする為には、本当に純粋な「会話としての面白さ」とゆーのが求められるのかなぁ…とでも言いますでしょーか(→端的に、それが最も際立っていたのがラスト、ヘルシンキのエピソードだったかなぁ…とも思いますかね)。 重ねて今作、会話劇でかつ全体としてはコメディタッチ、というジャンル分けになる作品だと思いますが、個々の状況設定・登場人物のキャラ自体は比較的シンプルで、少なくとも奇を衒ったというレベルでもないオーソドックスなモノだったと思います。が、だからこそ前述どおりの「会話としての(普遍的とも言える)面白さ」は逆に際立っていたかなぁ…と。そしてそれは取りも直さず、五つの話にそれぞれ出て来る役者さん達の仕事が総じて実に行き届いて素晴らしかった…というコトだ、とも。率直に、ウィノナ・ライダーって、ベアトリス・ダルって、ロベルト・ベニーニって(否、ベニーニはちょっと完全に超・ワールドクラスかも知れない)そしてマッティ・ペロンパーってこんなにまで凄い役者だったんだ!とつい感動してしまいましたね(これも否、ソレらを引き出した監督ジャームッシュをこそ、まずはとにかく褒めない訳にはいかないか…とも)。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 9点(2022-04-16 22:45:01) |
102.雰囲気は好きです。 夜のタクシーって人気が少なくて異人種との出会いがあって特別な時間と空間だと思うんです。 そんな場所で交差する人間ドラマの縮図。味があってロードムービーの醍醐味が味わえる作品。 |
101.人間てのは日々他愛のない時を過ごしているもので、誰にでも覚えのある‶さして意味のない”でも”確かに生きてた”瞬間を刻むのがジャームッシュ。ツボるかツボらないかはほんと人によりけり。そんな彼の映画がこんなに高得点とはちょっと驚きです。 わたしが好きなのはロスとニューヨークかな。ドライバーさんたちの中では一番ウィノナがキュートでよかったな。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 6点(2022-02-02 16:58:05) |
100.《ネタバレ》 《第2話:ニューヨーク》運転手と客が入れ替わり運転席助手席と並んだその構図がいと可笑しい。そして帽子が一緒と喜び絡むヘルムート。しかし、一緒じゃないと否定に必死な乗客ヨーヨー君。でもその前にもヘルメットだとかランプシェードだとかウケるツボはあったが、しかし、それより何より車をまともに走らせる事が出来ないドライバー、これはやばいでしょうや、だからその結果である乗り替わり。コメディと受け取りましたよ だってありえない話だ ナイスほがらかコメディだ。 《第4話:ローマ》一度目の鑑賞時にはこの人ウザったいな はよ終われ思うてましたよホント。しかし、も一度見直してみたいかなと思えてしまい、見直してみたのが正解だったのでしょうや、二度目の鑑賞にしてあの怒涛のキチガイトークにハマる。一方通行を逆走かますその破天荒っぷりにハマる。サングラスかけていたその理由にハマる。そして何より、一方的に始まり終わりを見せなかった懺悔話にハマる。彼はその件において、野菜も肉も断ってしまって一体何を食って生きているのか まさかクイズのように考えさせられるんだな いや、ホント馬鹿だな ハマる。カボチャと羊と義アネキ、神父さん大変お気の毒。 《第3話:パリ》だがしかし、盲人女性とコートジボワールの黒人ドライバー。このエピソードが一番好きです。盲人女性がベティ・ブルーのベティだったなんて事は後で知り、爆感動。 最後に、このオムニバス5話のドラマにおいて、まさか死などとは無縁だろと高を括っておりました。ところがどうして死者が数名発生。 ますば、神父さんがお亡くなりになりましたね 笑って申し訳ないです《合掌》 生まれたばかりのお子さんがお亡くなりになられましたね《真面目に合掌》 キュートな羊さんがお亡くなりになられたようですね 虐待ごめんなさいね《合掌》 ついでに、カボチャさんに対してもごめんなさいね《なぜか合掌》 とまあ、いろいろありましたが、全話全般に渡って流れる軽やかなリズムミュージック。これかなり耳に残りますね。話の雰囲気を邪魔しないバックミュージック、人少ない深夜感と胸の鼓動を存分に感じさせてくれる静かなBGM。音楽素敵です 実はホントあれが耳から離れない。カボチャと羊の話も頭から離れない。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2021-09-17 23:05:48) |
★99.ジム・ジャームッシュ監督作と言うことで鑑賞。敬愛するジーナ・ローランズ出演というのにガッツポーズ。アクの無い役柄であっても存在感は格別で見惚れてしまう。期待が膨れ上がったところでおしまい。「何で?」オムニバスだったのか。ストーリーではパリ編がベスト。台詞では「お金は必要だが重要ではない」が心に残る。 |
98.《ネタバレ》 5つの都市でのタクシーを舞台にしたオムニバス。 ①「ロサンゼルス」ウィノナ・ライダー扮する蓮っ葉なドライバー。 そのタレント性を見出した業界関係の女性客がオファーしても、生き方がブレずに素っ気なく断るのがカッコいい。 ②「ニューヨーク」黒人客が拾ったのは、運転もろくにできない東独からきたばかりのドライバー。 業を煮やした黒人客が代わりに運転席に。 ③「パリ」コートジボワール移民の黒人がドライバー。 黒人酔客二人の態度に我慢できずに途中で降ろし、次は盲目の女性を乗せることに。 ラストは事故って、盲目に引っ掛けたちょっとしたオチもついている。 ④「ローマ」客の状況を考えずにやたらしゃべりまくるドライバー。 薬を落としてそのまま逝ってしまった老神父にやっと気づいてオタオタする、たいして面白くもないコメディ。 ⑤「ヘルシンキ」不幸なことのあった客より、もっと不幸な身の上だったドライバー。 なんだか不幸自慢対決のようで。 5編通じてウィットが効いてちょっとオシャレな感じ。 でも、それだけといえばそれだけで心に残りそうなものはない。 夜のタクシーでの会話と雰囲気は独特のものが感じられるが、おもしろいとは思わない。 オムニバスを傑作にするには難しい。 この作品でもやっぱりそう感じてしまった。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 3点(2015-01-30 21:49:42) |
97.とっても好き。 たぶん映画の内容以上に、その雰囲気に呑まれて 高評価をつけずにはいられなくなっている部分もかなりある。 |
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96.《ネタバレ》 人物とタクシー、真夜中の街の風景。ジム・ジャームッシュの映画って、さすが構図がとても洗練されていて、どこを切り取っても完璧に絵 (写真) になります。そこだけでまず楽しめる。その映像だけなら本作はシャープな印象ですが、でも人間そのものはとても可笑しくて温かみがあって、映画全体としては体温が宿っている感じ。地球上のどこか、真夜中のタクシーに偶然乗り合わせた二人。さて、二人はどこから流れ着いて、どこへ向かうのか? たった数分のエピソードでありながら、人物の描写にはそれを想像させるだけの奥行きを感じます。(ローマ編に約1名、これからの人生がない人がおりますが・・) それぞれ、車中の話題は他愛もなさそうにみえて、実は互いの本心や素性を探り合うような会話をしていて、最後にタクシーから降車した後にドラマが大きく動き出す、、という点もほぼ共通していて面白い。真夜中に観始めて、ウィスキーをちびちびやりながら楽しんで、映画が終わる頃に始まる夜明け、っていうのもいいかも。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-11-28 23:01:11) |
95.《ネタバレ》 1話目。ウィノナ・ライダー扮するタクシー運転手は若いながらも自分の考え方、価値観、プランがしっかりしていて、共感できるものがあります。なによりかっこいい。最も万人向けなのは1話目かもです。 2話目。まぁ、うるさいです。ニューヨークのあのアングルでの町並みは素敵ですが・・・。ストーリーはあってないようなもの。もっともドラマ性の低い話。(まぁぼくの理解力が低いだけで、もしかすると深遠なるストーリーが隠されているのかもしれませんが) 3話目。ベアトリス・ダルです!「ベティブルー」にひきつづき、すさまじい「目」の演技。あれどうやってんでしょ。ただ肝心のストーリーは平淡の一言。ドライバーもイマイチだし。ただメッセージ性が強いのはこの話かと思います。 4話目。「そこに羊があらわれた。」「彼女の名はローラ」あはははははははははははははは、お腹いたい。この瞬間だけ爆笑。終わり方は非日常的で、他の話に比べるとやや異色です。かなり苦手ですね。 5話目。不幸比べも苦手です。 ★☆★総評★☆★ 映画としては非常に良いものかもしれませんが、かなり退屈でした。 平淡な映画も、映画の世界に入りこめると面白いんですけどね。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 3点(2012-05-26 04:24:35) |
94.《ネタバレ》 夜のタクシーって、何となく怖いし寂しい。運転手もやたら煙草ばかり吸う運転手もいれば運転手なのに全くの方向音痴もいる。盲目の人よりも見えない運転手、やたら構わず喋りまくる運転手もいる。乗ってくる人もいろいろ、最後は不幸な乗客と運転手。要するに様々ということだろうが、盲目の美人ベアトリス・ダルが凄いなと思っただけであとはたいくつだった。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 4点(2011-08-02 12:27:28) |
93.最初の話から引き込まれるものがない。 もっと工夫できなかったのか。 単にそれぞれの場所での話。 少なからず何か繋がりがないと。。。。 マグノリアのポールトーマス・アンダーソンが撮れば全然違ったものになっていたはず。 もったいない。 【ナラタージュ】さん [DVD(字幕)] 4点(2011-05-03 15:55:32) |
92.《ネタバレ》 オープニングテーマから何やら個性派の匂いがプンプン。 人生の教訓がどうのこうのとか小難しくないので、肩の力を抜いて楽しめると思います。 4番目のローマドライバーが前に出すぎな印象で、最後の話がやや地味だったため、後ろにいくほど満足度が下がってしまったのが残念。 ただ、それぞれの登場人物の個性を考えると、これで終わったのがもったいないくらい。 特に最初のロスの話は、このまま1本の作品として続きの展開が見たいと思いました。 実は、最後に5つの話が繋がる何かしらの工夫があるのかと思って、その点を期待してしまっていました。 そのため、何も起こらずエンディングになったときは、ある意味驚いてしまいました。 ホントに一つ一つ独立した話だったんですね(^^; それでも各ストーリーの人間模様が面白かったので満足です。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-01-29 20:11:45) |
91.夜の街、そしてタクシーという縛りが素敵。 イタリア編で不意打ちを食らったのは私だけではないはず。 【棘棘棘棘棘棘棘】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-01-23 20:09:44) |
90.オムニバスではひとつでも肌に合わないストーリーがあると評価が下がってしまう、、全体はよかったのですが、道化師のところがはまらなかった。。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-12-20 07:06:09) |
89.ウィノナライダーかわいい!フィアットのタクシー欲しい! |
88.地球を巡りながら夜明けを迎えるとは、なんて気の利いた構成だろう。何気ない日常を切り取っているようにみえて、ジム・ジャームッシュの構図は実に技巧的である。LA編でのウィノナが颯爽と車を飛ばす後ろで旅客機が轟然と横切る。そして空港のシーンへ移る素晴らしい演出。ニューヨーク編ほどユーモアに満ち溢れた空間はないし、パリ編は人種的な問題がちらりと覗きながらもあくまで人間を描いている。ローマ編はベニーニの一人芝居に近い、圧倒的な芸(といって良いと思う)を見せつけられる。ロータリーをいったりきたりしてなかなか客を乗せなかったり、「一方通行は最高♪」とか言いつつ逆走するシーンは大のお気に入りである。一転してヘルシンキ編では底なしの悲しみが場を覆う。ミカとアキというネーミングはくすっとするが、ラストのアキの表情は笑えないほど絶望的である。しかしそれでも地球には朝がくる。タクシーの車内という偶然に満ちた空間を通じて、人々の機微を鮮やかに映し、夜は明けていく。ラストシーンの「おはよう」は全ての人に向けられた挨拶である。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-09-08 00:47:41) |
87.自分自身もすっかり大人になってしまい、深夜のタクシーに乗る機会も度々あるようになった。 大概の場合酔っ払っていて、繁華街から自宅までのせいぜい20分間程度の道のりなので、特に何があるということはないけれど、タクシーの中というものには独特の雰囲気があると思う。 その雰囲気は、全く見ず知らずの運転手と客との間に生じるその場限りの「空気感」によるものだと思う。 地球という惑星のあちこちで、全く同時刻にひっそりと織りなされたタクシー運転手と客らによる5つのショートストーリー。 ジム・ジャームッシュらしい淡々とした語り口で繰り広げられるこのオムニバス作品には、本当に何気ない人間同士の関わり合いにおける素晴らしさが溢れている。 それぞれのストーリーの登場人物たちが、その束の間の出会いによって、何かが変わったということは決してない。 ただそれでも、その一つ一つの出会いが、次の瞬間の人生を築いていくということを、この映画は、深夜の静寂の中でしっとりと伝えてくる。 とても良い映画だと思った。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-13 13:02:33) |