72.伝記があまり得意でない自分にとっては物語りは軽快で見易さとしてはまあまあです。 ただエニグマ解読という難解なミッションとチューリングの秘密という2つのストーリーが混在しすぎてバランスが悪い。 また本作はビューティフルマインドみたいに数学の天才ということを披露する場面が弱かったように思う。 数学者というより機械いじりが好きなエンジニアみたい。 そういった意味ではやや消化不良である。 人よりも長けている部分があれば欠けている分部もある、それを人との出会いによってカバーしていくというのは嫌いじゃない。 |
★71.《ネタバレ》 ベネディクト・カンバーバッチ出演以外の知識無く、prime videoで適当に選んだ何の期待も無く観た作品が大当たり。 天才数学者に纏わる物語が見事に交通整理された三つの時系列でもって描かれた奥行きの深い作品。 第二次大戦時ドイツ軍の暗号解読に成功した勲章ものの功労者に対するヒトラー総統と大して違いのない国の仕打ちが余りにも酷い。チャーチルは何をやっとったんじゃ(怒) 収監よりホルモン治療を選び衰えてしまったチューリングがクリストファーと別れたくないと泣く姿に胸を衝かれる。非業の最期をテロップのみで示してくれた演出により、悔し涙が止まらない事態は避けられた。半世紀の時を経ての謝罪やら恩赦に、国としての取り返しのつかない損失を思い知ればいい。 主役はベネディクト・カンバーバッチ以外考えられず、一世一代の名演技に拍手喝采。 |
70.《ネタバレ》 エニグマの解読機、ついに成功! でも物語の焦点はここからでした。 解読して、すぐに対応策を実行に移すと、敵に暗号を解読していることがバレてしまうため、助ける命と見捨てる命を選別。その結果、戦争を早く終結させることができ、多くの人の命を救いました。現代に生きる私たちからすると、その判断の良し悪しよりも「戦争を起こしたこと自体が悪」という結論を下すかもしれません。ですが、その当時の人々にとっては、命を選別することも、この事実を機密事項としたことも、同性愛を犯罪として扱ったことも、すべて「正しい判断」だったのだと思います。 過去の選択を「過ち」と判断するのは、現代という時代性。その価値基準や行為も、数十年後・数百年後から振り返ると「とんでもない過ち」なのかもしれません。正しい判断というのは「時代に合っている」ということなんでしょう。 いつの世も、必要なのは、天才よりも天才を上手に活かすことのできる人なのかもしれませんね。アランのような天才的頭脳を、この時代は「暗号解読」にしか使えなかったバカバカしさ、同性愛者ということで心身をボロボロにされて、果ては自殺させてしまう愚かさ。 いろいろなメッセージを、興味深くしっかりと感じさせてくれる本作品は、映画として非常に優れていると思いますが、個人的には、彼の功績が後の社会に大きな影響を与えていることの救いよりも、時代の巡り合わせが悪かったとしか言いようのない彼の人生の哀しさがズッシリと胸に残り、重苦しい気持ちにさせられました。 【ramo】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-03-05 18:39:11) (良:2票) |
69.《ネタバレ》 エニグマ解読の成功を何年も隠しながら味方の犠牲に目を瞑り続ける、是即ち戦争終結を2年以上早めて1400万人の命が救われたという歴史家の論理。この辺は日本への原爆投下同様、勝者が歴史を作るのが世の常なんだろうけど、もうちょっと検証してほしいですね。このような作品を見ていると論理的冷徹さが勝者への必要条件だということを思い知らされます。生まれてくる時代がちょっと早かったために悲運に見舞われたLGBTの主人公、冷徹な見方をすればこれも社会環境の進化の一過程なんですか。映画の方は登場人物等かなり脚色されているように見受けられましたが、同時進行の3時代の映像や構成のバランスが素晴らしいのであっという間に引き込まれました。 【ProPace】さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2018-01-30 22:05:53) |
68.エニグマ解読の裏に、こんなドラマがあったとは・・・すごい。 【へまち】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-01-20 10:07:22) |
67.《ネタバレ》 カンバーバッチの芝居が「いかにも奇人の天才感」満載で素晴らしいですし、映画の中で「決まり切った言葉をもとに解析すりゃいいんじゃん!」とひらめいてからのシーンは観てるこっちもテンション上がるし、全体に真摯な内容で「名画ならではのオーラ」が漂っている素晴らしい映画だと思います。 とても素晴らしい映画だとは思いますが、この手の映画は個人的には「なるほどね」以上の想いを抱けない、つまり心が動かない映画なので、(あくまで個人的には)高い点数にはなりえません。 客観的には9点級の映画だと思いますが、個人的に点数をつければよくて7点といったところです。もうしわけないです。 同性愛に関しては1960年代まではイギリスもあんなんだったんですね。てか「同性愛で男性が捕まった」とあったんですがってことは女性は捕まらないわけですね。 それ自体が性差別なんですけど…と思ってしまう2010年代に暮らしてる我々にはなかなか信じがたい事が割と最近まで普通にあったんだなという事に驚きです。 あと、昔の戦争映画では望んでも不可能だった事が今はCGで簡単に表現できるんだなぁ、という事を感じました。 映画中出てくるドイツの飛行機はユンカースだしハインケルだし、戦車は3号戦車だし。 昔の戦争映画であれば「アメリカやイギリスの練習機あたりを改装してそれっぽくしてる」程度のひどい代物が使われているのが普通で、観ている側としては「明らかに本物と違うじゃん」と言う事でテンションダダ下がりだったわけですが、昨今の映画はCG技術で簡単にそれを実現できてしまうわけです。 20年後、30年後の映画ってどうなってるのかなぁ、と思っちゃいます。 【あばれて万歳】さん [インターネット(字幕)] 7点(2018-01-06 12:19:00) |
66.実在した人物と実話を元にした映画です。天才の業績と悲劇に、心打たれます。映画としてどうか、というところでは、主演のベネディクト・カンバーバッチの存在感によるところが大だと感じました。声に深みがあり、知的な雰囲気が魅力的です。 偉業を成し遂げた人に正当な評価をしてこなかった社会に対し、この映画が担っている役割は大きいのではないでしょうか。 【あきさん】さん [映画館(字幕)] 7点(2017-03-20 08:04:28) |
65.「誰も想像しない人物が、想像しない偉業を成し遂げる」に始まり、「ドイツは愛で戦争に負けた」とか、「運が良ければ2度と会うことはない」とか、「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにすばらしい」とか、そしてラストの「今、我々はそれをコンピュータと呼ぶ」まで、セリフの1つ1つが実に洗練されていてグサグサ来ます。派手なドンパチのシーンより、言葉の選び方が強い印象を残すこともある。文句なく秀作。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 9点(2017-03-04 03:10:29) (良:1票) |
64.《ネタバレ》 面白かった。 はじめはビューティフルマインド的な映画かと思ったが、こちらの方がリアリティがあり面白いと思った。 暗号を解き明かしても、相手に気づかれない程度に利用するというところが、なんとも悲しいところである。 全てのゲームなどにおいてもそうなのだろう。 スポーツやゲームで相手の癖やサインを見抜いても、それを完全に利用してはすぐに相手にバレる。 相手にバレない程度に利用するということが重要で、そのためには非道になるくらいの精神力が必要だということを痛感させられる映画である。 【シネマファン55号】さん [インターネット(吹替)] 8点(2017-02-18 02:31:39) |
63.天才の一言でかたづけるには重い、 戦争を解決した英雄と賞賛するには悲しい、 哀しいと表するには偉大である。 クロスワードパズルを解くという、好奇心に溢れた思いが、 どこで同僚の兄以上に戦争に解読を活かすという狡さに変わったのだろう。 あるいは、パズルとはそういうものだろうか。 並び替え、普通ではないような途中経過(人生)の後に、 自身の答えがある。 チューリングマシン、その先に私は今、文を打っている。 【元祖】さん [インターネット(字幕)] 10点(2017-02-13 22:16:24) |
|
62.《ネタバレ》 長年隠され続けた真実、あまりに悲しい物語。 アラン・チューリングのキャスト(幼少期と大人になったとき)が抜群にこの映画にふさわしい。陰のある雰囲気かつ頭が切れる存在はどこか魅力的。 彼を突き動かした幼少期の友人こそが、結果的にはのちの戦時下での暗号解読成功に導いたのだから、人生どこで転機があるかわかりませんね。 暗号解読に用いた機械の作成方法などの些末なところは飛ばして、暗号解読に至る苦悩や逮捕後のアランを見せてくれたのがよかった。 戦争終結に尽力した数学者の最期はあまりに不遇で孤独。 【カジノ愛】さん [インターネット(字幕)] 6点(2017-02-08 19:05:09) |
61.《ネタバレ》 まさに佳作。面白かった。見所はやはりエニグマ解読後の葛藤。非情な決断の背景にある、自分の計算でより多くの人を救えるという天才ならではの自信と、少しずつ人間味を増しつつあった主人公のエモーションのあいだの揺らぎをしっかりと演じたカンバーバッチに拍手。3つの時間軸が交差する展開を混乱なく見せる脚本と演出も、派手さはないけどとてもよかったと思います。ラストシーンで資料を燃やす暗号解読チームの姿をバックに、チューリングは「自殺した」との字幕が流れますが、その前のホルモン剤投与によって、身体的・精神的な安定だけでなく、天才的な頭脳のひらめきも失っていたこともしっかりと描かれていて、「国家」によって彼は「抹殺」されたと言ってもいい。それはナチスの同性愛者への迫害に等しい、国家の罪であるという怒りとメッセージも明確に伝わりました。ただ、難点は解読までのプロセス。やはり暗号解読の「ロジック」、なぜクロスワード・パズル名人が暗号解読に向いているのか、といった部分の論理的な裏付けや説明が端折られていて、何が困難で、チューリングのチームの発見の何が凄かったのか、がわかりにくかったところでしょうか。そういう論理的な面白さを期待して見たら、セクシュアリティ描写も含めて、思ったよりもエモーショナルな映画であった、という感じです。 【ころりさん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-05 17:44:57) |
60.号泣した。 タイトルのおかげで、全くノー・マークの状態で観たのが良かった。 こういう良質な映画を観ると、日本映画はまだまだ青いなと感じてしまう。 【プラネット】さん [DVD(字幕)] 9点(2017-02-01 21:39:36) |
59.暗号解読に関しての映画だが、別の軸として「人の多様性」つまり同性愛も絡んでいる。ただし、上手く処理しきれていない印象があり多少残念。 雰囲気も含め、よく出来ているが大人しめの作品になった印象は拭えない。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-21 21:52:55) |
58.《ネタバレ》 第二次世界大戦中 史上最高の暗号装置「エニグマ」の解読のため集まった6人の専門家 その中でも一際いびつな天才チューリングの物語 エニグマの解読・解読してからの情報の選択・戦争が終わってからの孤独と物語が進んでいく 115分の作品にしては得に無駄と思えるシーンもなく(結局ソ連スパイとはなんだったのか 戦争中偉大な功績を残した天才も極秘任務のためと称えられるわけでもなく 同性愛者が受け入れられなかった時代だったため、最後は自殺してしまう。 不遇な人生だったでしょうが、死後は評価されたみたいで少しは報われたのでしょうか? コンピュータの生みの親ということを最後に知って、より思うところが多くなりました。 天才には変人が多いと聞きますが、チューリングも例によって協調性がなく、強迫性障害みたいな物を持っていたご様子 どこかの天才が天才とは1%のひらめきと99%の努力という名言を残してましたが、この映画もそういうところまでしっかり再現してて それを見事に演じてるベネディクトさんがすごい 【メメント66】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-01-15 22:08:16) |
57.《ネタバレ》 暗号が難しすぎてどこがどのように難しいのか、 全く意味がわからんのは残念。 難しすぎてちゃんと説明するのは時間のこともあるし無理なんでしょうね。 とにかくものすごい難しい問題が コンピューターのおかげで解けた、と。 でもそれは言えない、と。 死後長い間、その功績も称えられずだった、と。 脚色無しなんだろうか?これが全部実話だったら本当にすごい。 【虎王】さん [DVD(吹替)] 6点(2016-12-14 14:44:42) |
56.《ネタバレ》 エニグマを解読してめでたしめでたし、と思いきやそうではなくて、今度はその先に進んで、対策を立てれば解読に気づかれて、もっと大きな壁ができてしまう。また、解読した情報をどう扱うかによって、人の生死まで左右してしまう。その本質の問題に明確に踏み込んだところに、この作品の価値があります。また、戦後は不遇な扱いだった主人公の行く末まで、簡潔に凝縮しながらもきちんと押さえており、しかもそこで3本の時系列が収束する構成が、作品に立体性を与えています。●ベネディクトの演技は、興味対象以外には何の興味も持たないオタクぶりを的確に表現しており、充実しています。キーラ・ナイトレイは、お姫様系の顔立ちが災いして雰囲気から浮いており、ややミスキャスト気味。もっと地味な人にした方がよかったと思う。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-11-04 00:51:37) |
55.《ネタバレ》 発明するというのは、仲良しチームでのんびりと・・とはいかないようです。 天才の才能の凄さ、ひらめき、独断と偏見。 素晴らしさと同時に許せないほどの傲慢さもあり、やっかみも相まって騒動を起こして行きます。 しかし、天才アランはそんな位ではへこみません。 やりたい気持ちに正直に、誰が何と言っても貫いて行きます。 最初はなんだこの人・・と冷めた目で見ていましたが、その情熱に感心し、人間関係の下手くそ具合にハラハラし、成し遂げられるのか現実は厳しいのかなと思ってみたり。 いつの間にか私は、物語と一体となってアランの心配をしていました。 その立ち位置はあたかもジョーンのようでいた(笑 私もけっこうな変わり者なので、天才の鋭さや実力それと共にぎくしゃくした生きづらさも、自分の体験に重ね合わせて見ていました。 それから、このレビューもコンピューターで打ってこちらに送っています。 アランの功績に敬意を表し、感謝したいと思っています。 【たんぽぽ】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-10-11 16:04:01) |
54.《ネタバレ》 エニグマ解読の功労者、アラン・チューリングが主人公の映画。エニグマを秘密裏に解読し、戦争を早期勝利に導いたり、コンピュータの礎を築いたりと、フィクションみたいな内容が実は実話に基づいているというところはまさに「事実は小説より奇なり」といったところと思います。同性愛の関係の罪で罰を受け最後には自殺してしまったようですが、2000年に入ってから名誉回復がされたんですね。純粋に映画として面白かっただけでなく、第二次大戦の史実を知ることもできたのは良かったです。 【まいった】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-10-08 23:17:55) |
53.《ネタバレ》 実話に基づいた映画ということで、大戦下での暗号解読をめぐる闘いやコンピュータの父チューリングの実像を知ることができて面白かった。 前半はアスペ体質の主人公にイライラさせられて嫌悪感が募る。とにかく嫌な野郎で一緒に働きたくないタイプだが、良き理解者との出会いから同僚とのつながりもできたよう。人格的には好きになれないものの、その情熱と才能には敬意を覚える。 天才には変人が少なくないけど、映画以外の変人エピソードもなかなかのもの。同性愛が罪になる時代に生まれたせいで、41歳の若さで自殺してしまった悲運の天才。機密保持のためとはいえ自分の業績を世間にまったく認めてもらえないことは、何ともやるせないことだったに違いない。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 6点(2016-10-05 23:02:24) |