2.《ネタバレ》 ゲバラが死を迎えるときですら何も感じられず、「つまらない」以外の一切の感情が沸かなかった。
ソダーバーグはいったい何を伝えたかったのかが全く分からない。
「一人の英雄がジャングルで死んだ」という15文字程度の出来事を4時間も掛けて見せられたら、怒りたくもなる。“英雄”を描いてくれればいいが、“英雄”すら描いていないのも問題だ。ゲバラの生き様を描くというよりも、ゲリラ活動のドキュメンタリーかHOWTOモノでも見させられている感じだ。
ボリビアのゲリラ活動を描くとしても「なぜゲバラはボリビアでの革命に失敗したのか」というポイントに絞っているわけでもなく、前編に引き続きストーリーは何に等しく、山中行進や逃避行や脱走などが繰り広げられているだけだ。肝心の緊迫感・緊張感・追い込まれ感といった観点からみても何かが足りない。
ゲバラについてはほとんど知識がないので、何も知らずにこんなことを書くのは恥ずかしいことだが、素人考えではゲバラの「ボリビアのゲリラ活動」はゲバラを語る上ではそれほど重要ではないと思っている。
本当に重要なことは「別れの手紙」を書くに至るまでではないのか。
キューバでの革命に成功させたゲバラが理想の追求により、キューバ政府内において孤立していき、カストロとの距離が徐々に大きくなり、国際会議での演説によりカストロとの亀裂が決定的になったことが重要ではないのか。
カストロ個人宛に書いた別れの手紙を、自分の意思には反してキューバ国民に公表されてしまい、アルゼンチン人の外国人であるゲバラがキューバに居場所をなくして、アフリカのコンゴ・南米のボリビアへと新たな居場所もしくは死に場所を求めたことが重要ではないかと思っている。
ゲバラを描く上で必要不可欠な“カストロとの関係”という肝心なことをすっ飛ばして、どうでもいいことを描いたと感じれば、点数は低くせざるを得ない。自分が思い描いた作品ではないという理由ではなく、ポイントがズレていると感じるので評価を下げたい。
本作を見る前に「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見直してみたが、あれこそまさに“革命”への想いが感じられる熱い映画だった。本2部作とは何かが決定的に異なる作品だ。ソダーバーグ作品には「スゲぇ面白い」という作品もあるが、多くは「何が言いたいの」としか感じられない。本作をもって彼の作品には別れを告げることになりそうだ。