17.《ネタバレ》 「荒野の七人」が「七人の侍」をリスペクトして作られた映画である様に、この作品も「七人の侍」と「荒野の七人」をしっかりと勉強して、敬って、感化されて作られた事がひしひしと感じられる。
例えが良いか分らないが、「宇宙戦艦ヤマト」を見て育った現在のスタッフが、「宇宙戦艦ヤマト2199」を作り上げた感じと似ている。
現在の視点で描きながら、矛盾点を克服していく手法。「荒野の七人」の農民の裏切りや、緩い悪党の描写はモヤモヤ感があったもんなぁ。
様々な人種が出てくる違和感についても、この映画の描かれている当時は黒人の保安官も、東洋人も、本作には出ていないロシア系も西部には存在していたらしく、人種の坩堝であった事が最近検証されたとの事。なるほど、多少の盛りはあったとしても整合性は取れていると。
あと、次々制作された続編以降の駄作群(ヤマトの「愛の戦士たち」は除く)に対する憤り。本当に観たかったリメイクはこれだ!という心意気。
劇場で鑑賞後、改めて観たくなってブルーレイを購入したのだが、正解。
特典映像、これが良かった。
グッドナイトがエマ・カレンにピアノで弾き語る息抜きのシーンや、熊男のホーンがファラデーと打ち解けているシーン、極めつけがメキシコ系のバスケスがこどもと心を通わせる場面が見られたりと、未公開の映像は宝箱。大収穫であった。
前述の方々が記されている様に、前作であった心に残るシーンが描かれていないのは、そこを見過ごしているわけでは無く、尺の問題と思われ、スタッフは分っていた。苦しんでいたに違いない。志はしっかりとあったんだ!
特典映像で感激したのは珍しい。この未公開シーンを加えたら、西部劇としての完成度、かなり高そう。
いずれにせよ、特典を観なければ物足りなさがあったのは事実。
もちろん痛快なアクションとスピーディーな展開の、久々に観た傑作西部劇として十分楽しめた訳だが、背負ってしまった神的二作品の十字架は、鑑賞しているこちらにも存在しているわけで、当然辛口になってしまう。
最後の音楽でかなりウルウルしてしまったが、それだけでは駄目なんだ。
尺を後30分伸ばしたら、絶対リメイクの傑作になる。
完全版やディレクターズカットが観たい!期待! 崇高なる7点で。