9.《ネタバレ》 先に『河内カルメン』から観てしまったのですが、製作年とはテレコ!てなモンでアッチはモノクロなのにコッチは極彩色!だモンですから、コントラスト的に(観るのが後になった)今作の方が更に一層眩い…みたいな感覚では居りましたすね。尤も、お目当ての野川由美子自体は逆に、モノクロの方が(物理的に美的だったかどーかで言えば)より美しかったとも思いますケドも。とは言え、お話と、それを織りなすキャラクターの「凄み」みたいなモノに関して、ソコはどーしよーもなくコッチが上回るとは思うので一応評価の上下は明確に付けておこうかと。何つーか身も蓋も無く、ココからロマンポルノに繋がっていったんだなァ…とは(やはり)思われてしまいます、が、その意味では中盤以降の緊縛シーン×2のクオリティとゆーのは、ワリとロマンポルノ結構観たゾ!て自負のある私の感覚からしても、正に原点にして至高!みたいなド級の出来だったとしか思われませんですね。実にこう~~~上手いコト諸々を「隠してる」とゆーか、一方でそれでも尚このレベルまでに(随所に渡って)画的な美しさに(勿論の)妖艶さも兼備して…とゆーのは、やはり唯々「凄腕」だとしか言い様がねーな…と思ってしまいます。『殺しの烙印』以前の作品を正直追っかけれてない(⇒否、避けていた)のですケド、ゆるゆる全部観てゆこうかと思いました。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 7点(2024-09-07 01:37:30) |
8.戦後流行した「リンゴの唄」や「星の流れに」が流れるが、特に「星の流れに」は彼女たちの運命を物語っていて涙を誘う。戦後の混乱期、焼け落ちたビルにバラック小屋や闇市が並ぶ街、駐留軍兵士やMP、帰還兵、浮浪者やパンパンなどがあふれていた。そういう時代を象徴するような映画、戦争の傷跡が生々しい。原作の浅田せんではなく、ボルネオマヤに扮した野川由美子の好演が光る。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-04-10 15:03:08) |
7.肉体の門、正にその名の通り、自分たちの肉体を武器に生活する女達のドラマが展開されて行く。不況の中、男社会で女が生き抜くためには自分たちの身体を犠牲にまでしなきゃならないという厳しさを描きながら必死になって頑張る女達、作品全体のテーマが重いだけにどの俳優も見ていて痛さを感じる凄まじさを痛感させられた。好みという意味では「河内カルメン」のような作品のが好きだが、作品全体のエネルギーではこちらの方が上かもしれない。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-01-26 18:59:14) |
6.いやあ迫力のある映像ですねえ。今となっては記録映画としての価値もあるのではないかと思えてしまいます(脚色があることは百も承知で)。 どうでもいい話ですが、アニメのキャッツアイって、この映画にヒントを得ているってことは...ないか... 【くろゆり】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-01-09 15:38:33) |
5.生きるためなら何でもするオンナ達が衣装同様生き生きと描かれる。戦後街は荒廃しきり、男は敗戦を引きずりただ生きている中、女たちは落ち込む暇など無く、ただ今日を生き明日を生きる。生はどれほどパワーがいることなのか。不況、デフレ、リストラ等、負の時代でありながらも生活保護でも生きていけるおかしな世の中、少子化という大問題もある事だしもう一度女性のパワフルな生にすがるべきなのかもしれない。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-22 23:01:28) |
4.オープニングとエンディングにはためく星条旗が敗戦を象徴する。目的を失った人たちは、ただ生きぬくことだけを考え、己の肉体をも生きぬくための道具にする。人間の強さとしぶとさ、ずるさとしたたかさがこれでもかと露わにされる。そんな人間の本能ともいえる野蛮な世界で、人を愛するという純粋な気持ちだけが人生の勝利者となりうるという、言いかえれば負け犬としてではなく、人間として生きることの条件として「愛」があるということのようだ。しかし鈴木清順にとってはそんなことはこの野蛮な世界をどう料理し、どう表現するかという具材にしかすぎないかのように様々な方法で敗戦後の日本の背景と心情を映像化してゆく。身体を売る女たちはそれぞれのイメージカラーを身にまとい昭和初期の日本の風景に飛び出してゆく。舞台のような女たちの住処のセットとともに独特の虚構の世界を作り上げている。女にスポットライトを堂々と当てるシーンはたまげた。既存の映画作りをひっくりかえすようなことを簡単にやっちゃう。そういうところが清順の凄いところだと思う。斬新さが目をひくが、リンチのシーンのそれぞれの立ち位置とか構図とか、野蛮な世界の中で見せる女の可愛さを象徴するパイナップル缶などの小道具の使い方とかという正攻法がきっちりときまっているからまた凄い。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-21 14:04:04) |
3.実に映画的な映画ですなあ。生きるということの何とダイナミックなことか。したたかさと情欲と、パンパンたちの凛とした姿よ。牛の肉を掻っ捌くシーン、何と躍動的。映画の醍醐味ですなあ。 |
2.鈴木清順て、不思議な「濃さ」と「パワー」のある人で、美意識も独特。たいていの邦画の監督の描いているものが日本画だとすれば、最初から油絵を描いてた人、って感じです。あまり顧みられてないのが残念ですね。ところで本作が登録されてレビューしてる人がいなかった時期に、「一番乗りしよう!」と思っていたんですが、ころっと忘れてるうちに、宝月はんに先を越されてしまいました。ウーぐやじい。でもTVの前で「腰を抜かしそう」になったり「画面に釘付け」になったりしてた宝月、ちょっとかわいい(なんで呼び捨てかって? フフ内緒)。でもわかるわー。私もほぼそんな感じでした。五社英雄版の「肉体の門」のほうもチラッとだけ見たことありますが、もうぜーんぜん違うシロモノでした。だけど鈴木監督ってかなり長いあいだホサレたんですよね・・気の毒。出てくる時代が早すぎたのかもしれません。今もまたこういうタイプの監督ってあまりいないと思うから、映画作りを志す人は見といたほうがいいと思いますなあ。 【おばちゃん】さん 8点(2004-03-09 10:37:19) |
★1.《ネタバレ》 中学か高校の時、昼間にTVで放映されていたのを見た。鈴木清順氏といえば、その頃よくTVに出演されていたのであぁあの監督さんの作品か…とぼんやり見ていたけど、戦後赤線地帯の娼婦達が主人公で、過激なリンチあり濡れ場ありで腰を抜かしそうになった。娼婦達5人の色分けされたドレスと背景の鮮やかなコントラスト、同じシーンなのに背景や場所までいきなり変わってしまう展開で画面に釘付けだった。たしか主人公の野川由美子演じるマヤの魂を救おうとする黒人の牧師がいた。切なく印象的だった。映画は役者や原作で選ぶ単純タイプなので、監督で映画を選ぶことは今でもほとんどないが、私にとって名前と顔と作品が結びついた監督は、黒澤明氏に次いで鈴木清順氏が2番目となった強烈な作品。 【宝月】さん 8点(2004-02-16 00:40:39) |