20.「ラ・スクムーン」のジャン・ポール・ベルモントが重なるラストショットでの男気漂う中村錦之助に鳥肌。この人特有の目力と台詞回しはこれぞ千両役者。 |
19.《ネタバレ》 錦之助の股旅もの。今見ると、古い。でも、錦之助のセリフ回しは一聴の価値あり。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 6点(2019-01-26 21:53:38) |
★18.《ネタバレ》 「瞼の母」や「沓掛時次郎 遊侠一匹」と同じく長谷川伸の原作を錦之助主演で映画化した股旅もの。以前見た加藤泰監督による二作も良かったが、山下耕作監督である本作はとにかく泣ける。冒頭の川に落ちたお小夜を弥太郎(中村錦之助)が救いだすシーンから既にヤバかったし、殺されて帰ってくるはずのない父親をきっと帰ってくると信じて待ち続けるお小夜の姿も切なくて泣けてくる。はっきり言って序盤でこんなに泣けてこの先は大丈夫なのかと心配になってしまうほどだが、後半は10年後、成長したお小夜(十朱幸代)が名も知らぬ恩人に会いたがっているという話から、新たな展開を見せる。山下監督は、花を使った演出がうまいと定評のある監督だが、クライマックスのムクゲの花を挟んだ弥太郎とお小夜の再会シーン、弥太郎が子供時代のお小夜に言った言葉がきっかけで、お小夜に恩人だと分かるシーンも泣けるのだが、このシーンでは、二人をはさんだムクゲの花もすべてを知っているかのようにそこに咲いていて、まさしく立派に「演技」している。これはもう名シーンとしかいいようがない素晴らしさだ。ラストカットの彼岸花の使い方も、弥太郎の運命を暗示しているようで印象的だった。山下監督の映画はこれまでも何本か見ているが、間違いなく本作は山下監督の代表作であるとともに、日本映画としても屈指の名作と言っていい作品だと思う。もちろん、主演の錦之助もよく、最近見た出演作が脇役での出演が多かっただけに、やっぱり主役のほうが光る俳優なのだと再認識できた。とくにこういう股旅ものの人情時代劇の主役はハマリ役だ。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-02-07 14:59:20) |
17.《ネタバレ》 彌太郎、かっこいいですね。でもかっこよすぎて、現実と思えない。木村功の森介も、落ちぶれたとはいえ十年後の豹変ぶりは解せません。ああいう性格なら、五十両もの大金を手にしたなら猫ばばして然るべきでは。ご都合主義に思えます。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-07 22:35:26) |
16.映画前半はもう、エエ話のオンパレード、まさに5分に一度は炸裂する美談また美談。「いやぁエエ話だったな~」と、ここで「終」の文字が現れるんじゃないかと何度思ったことか。で、後半は突然、話は十年後へ。少々血なまぐさい展開の中、一度途切れた物語が、一度断絶した人間関係が、逆廻しのように繋がっていく、しかし決して元通りには戻れない(何しろエントロピー増大則があるからな。何のこっちゃ)。花はあの時と同じように咲き、同じようにお小夜は新しい着物を着せられている。そして、あの日と同じ、運命の森。しかし人間は、かつての自分たちには戻れないのです。ラストシーン、低い位置のカメラが捉える道端の彼岸花の赤さが、突き刺さります。・・・それにしても十朱幸代の表情、一体どう受け止めればいいのやら(そもそもこの演技でよいのやら)。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-12-15 23:19:09) (良:1票) |
15.これこそ日本人の美徳。かっこいいな~。一方で、日本に寄付文化が根付かないのは、名前を出したがらないせいだという意見もありますから、なかなか難しいものです。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-23 20:31:10) |
14.《ネタバレ》 長谷川伸の名作のうち本作は、時を置いて主人公が「すさむ」パターンが「一本刀土俵入」と共通しており、その「すさみ」のために思い出してもらえないほど人相が変わっているという話のツボも一緒。長谷川伸の一番お得意の展開なのだろう。本映画の場合、ちょうど錦ちゃん自身が、前期の明朗な役柄から後期のニヒルな役柄に移る時期と重なったことで、すさむ前とすさむ後と、どちらも無理なく演じられた。基調にあるのは、どうせヤクザもの、という「かたぎ」に対する疚しさ。それは甘えの裏返しかもしれないが、その「すさみ」のなかに「真情」を光らせる。彼の目に映るかたぎのなごやかな家庭は、いつも額縁に入ったように垣根の向こうに見えてくる。曇天の墓参りの場や暮れ六つの鐘が鳴り渡るラストシーンなどロケも美しい(あれ七つ鳴っているのを今回発見した、最後のひとつは弔鐘なのか)。あるいは妹について知らされている岩崎加根子との場で、ゆっくりゆっくり近寄っていくカメラ。それと本作で大事なのは木村功で、気のいい小悪党の悲しみを演じて非の打ちどころがない。前半の屈託のなさが、後半の自分の恋情に突き動かされる弱さに自然につながっている。結婚してかたぎになろうとしている。そのために亭主には頭を下げ、ならぬとなれば一度は引き下がろうと旅支度までしている。やくざものとかたぎとの敷居の高さに阻まれた絶望が荒れさせたのだ(この作品で敷居を越境できたのは、けっきょく悪党の娘からかたぎの娘となったお小夜だけで、弥太郎は、悪の川にさらわれてそのまま苦海へと越境できずに流れ去った妹の代理として、自ら川から救い上げたお小夜の越境だけはなんとしても守ろうとしたのだ)。木村功の最期は「いっそ尊敬するアニイにどうにかしてほしい」と願ったゆえのものなのか。かたぎでない者はみな自死のように、それぞれの死に場所へ向かっていく。この「すさむ」ことの美意識は現実世界では危険なものでもあるが、それをスクリーンという額縁の中でぎりぎりまで磨き尽くした本作の成果には、ただただうっとりさせられる。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-05-21 09:58:15) (良:3票) |
13.《ネタバレ》 彌太郎の顔は少しやりすぎじゃないかと思ったが、邦画ならではの義の精神が強調されたストーリーで、古い時代劇だけどなかなか粋なカットもあって良作でした。木村功のあの憎々しい役がはまってる。何気なくカッコいい台詞で正体が判ってしまうっていうのがこれまた憎いですねえ。 【さわき】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-05-13 02:12:19) |
12.《ネタバレ》 錦之助が演じた股旅物三部作(と私が勝手に呼んでいる)「瞼の母」「沓掛時次郎~」と比べるとどうしてもこの作品はちょっと落ちるかなという気がしている。それは「一宿一飯の恩義とはいえ人を斬る・博奕をする事で生きて行かねばならない渡世人の厳しさ・寂しさ」を伝える演出が他の二本に比べ希薄なので、大坂志郎や木村功の犯した罪が「根は善人なのだが渡世に生きる事に疲れ『普通の幸せ』を求めての単なる出来心から来るものだった」という複雑な心情・事情があるのにそれが伝わりきれず、単に悪としか見えないもどかしさを感じるから。あと月形が「『美しく』成長した...」と述べていて次のカットが幸代かよ!という点も(笑)ある。でも点数を高めに付けているのは、ラストシーンへ至る話の納め方が上記二本に比べて抜群に上手い為。木槿の花を挟んで語り合う錦之助と十朱のカットの素晴らしさとそれに引き続く「忘れて日がくれりゃあ、明日になる~」のつぶやき、そして確実に「死」が待ち構えている果たし合いに向かう錦之助の表情と、鐘の音をバックにスクリーンに背を向けて遠ざかり笠を放り上げるラストショットでプラス点数をあげたい。 【2013年追記:当初お小夜役は藤(富司)純子が当たる予定で進めていたものの、学業との兼ね合いが付かなかった為十朱にキャストが変更された事を最近知りました。富司さん自身「素晴らしい映画になることはわかっていたので出演したかった」と後年述べており、スクリーンで見た時のキャスティングの違和感、腑に落ちたと同時に十朱さんに対してお詫びいたします。すみませんでした】 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-02-08 23:33:35) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 中村錦之助は男の中の男を演じている。 川で溺れる少女を助け、お金まで払って安全な家へと引き渡す。 そして10年後。 ヤクザとの果し合いに、死を覚悟で臨む。 死ぬやもしれないその前に、ひと目あの娘を見ておきたいと、10年前預けた家へと向かう。 そこには、めっきり美しくなっていた、一人の女性がいた。 男なら、ここで女性を引き取り、恩を着せて自分のものにしてしまおうという邪念が働いて当然だ。 そして喧嘩はとんずらこいて、その美しい女性と楽しく過ごす。 しかし、こんな誘惑をいとも簡単に振り払った中村錦之助の男粋。 これはすごい! すばらしい!! よっ!男の中の男! 「・・・・・。」 ん?! 待てよ? どうもしっくりこないぞ? そんなんあり得るんか?? 宮本武蔵にしてもそうだが、どうして時代劇のヒーローにはストイック、それも性的なストイックさが要求されるのか? そんなん要求されるなら、ボクは時代劇ヒーローになんてなりたくない。 たとえカッコ良くてもなりたくない。 そんな強い思い(?)を胸に、「終」の文字を観た。 ボクなら、十朱幸代を手篭めにして・・・(以下、自主規制) 【にじばぶ】さん [映画館(邦画)] 6点(2008-11-12 13:41:17) |
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10.《ネタバレ》 画面一杯の雄大な空とその下に小さく人間を配置した、開巻と終幕のローアングルが強烈に印象に残る。旅し、変貌し、裏切り、ひたすら移ろう人間と、その一方で移ろわぬ永続的で広大な自然の対比か。全編にわたって視覚化される「風」と「花」が主題として浮かび上がってくる。娘が恩人に気付く契機となるのも、旅人の語る台詞と同等以上に、10年経ても移ろわず旅人の面影と共に視覚化された白いむくげの花のイメージであろう。それだけに、ロケーションにも全く劣らないセット美術による草木の風物描写は傑出した仕事となっている。むくげの白との対比か、ラストの「一本道」の道端に咲く彼岸花の赤が切ない。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 10点(2008-04-05 13:29:48) |
9.《ネタバレ》 スジといい、花などの舞台もあわせて日本的な美しさがあふれる映画ですね。10年前の偶然の出会いと別れ、妹の死を盛り込んだ第一部分は満点に近い。あの50両盗みながらも娘を預けてしまう父役はかなり難しい役だと思ったが大坂志郎が巧く演じてくれたと思う。10年後のシーンはちょっと腑に落ちないところがいくつかあって、10年前に50両をネコババせずに返すほどの(小心ながら)善人であった木村功が、ああも変わってしまうのだろうか?十朱幸代にああも惚れて可笑しくなってしまうのか(ごめんなさい)という疑問がどうしても残ってしまいつつ、クライマックスでは泣いてしまった。 ムクゲの花を間に置き、十朱幸代を思い出させたあの名台詞はやはり素晴らしいし、ラストも素晴らしいです。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-04-01 16:52:54) |
8.《ネタバレ》 お小夜が彌太郎だと気づく言葉もラストシーンも素晴らしいけれど、やっぱり彌太ッぺでしょう!まさに男の中の男だ。知り合ったばかりなのに、妹には身寄りがあるからと孤児となったお小夜に五十両もの大金をポンと置いてく気風の良さ。恩があるからと助けてしまう義理人情の厚さ。自身の立場をわきまえ自ら十年前の旅人だと現れず、森介とかたをつけ再び迷惑がかかるからと名も名乗らずにお小夜のもとを後にする切ない思いやりと強さ。彌太郎には男のルールがあり、それを頑なに守っている。真のヒーローは哀しみを一身に背負って素性を明かさずに去っていくのだっ! 【ミスター・グレイ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-05-03 15:10:24) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 参った!参った!わたくし、この手の作品には本当に弱いです!これも原作は同じ中村錦之助主演の「瞼の母」の長谷川伸で、監督こそ違うものの、もう始まって10分もしない辺りから涙が出てきて、泣けて、泣けて困った。父親を殺されたのも知らずに父の帰りを待つ娘、お小夜の後姿だけで泣けてくる。そして、そんなお小夜の事を預かって欲しいとばかりに頼みに上がる中村錦之助の何とも言えない表情、本当にこういう役と演技をやらせると中村錦之助は上手いし、中村錦之助を観ているだけでも感情移入せずにはいられなかった。勿論、単なるお涙頂戴ものでない、きちんとした決闘場面も用意し、これまた素晴らしい作品でもある訳で、この際、リメイクだろうがそんなことはどうでも良い。とにかくこれは中村錦之助をはじめとする役者達の素晴らしい演技とそれを見事に引き出した山下耕作監督の手腕にも拍手!最後にもう一つだけ言わせて欲しい!お願いだから東映さんよう!中村錦之助主演の時代劇、全部とは言わないまでも少なくともこの作品と「瞼の母」、そして、マキノ雅弘監督の次郎長ものに「弥太郎傘」に「一心太助」シリーズぐらいはDVD化してくれーーーー! 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-02 13:01:23) |
6.木村功の豹変(娘への執念)するあたりが、もっと自然に描かれていれば完璧ですね。 |
5.何度もリメイクされてる名作だけあって、錦之助の股旅人情もので一番面白かった。お小夜さんとの再会場面に対決場所に向かうラストシーン…かなり名シーンです。前半と後半の錦之助の変貌ぶりも驚かされる。マイナスはお小夜役の十朱幸代が噂の美人にはとても見えないなぁと。 【バカ王子】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-10-31 23:31:42) |
4.箱田の森介に扮した木村功のこすっからさには見る見る内にストレスが溜まる溜まるw。或る意味凄い演技力だ。こうして憎まれ役がキッチリとイイ仕事を果たしているからこそ主役(勿論ココでは錦之助)は一層映える。お小夜に”旅人さん”であるコトを気づかれるキッカケとなる弥太の台詞も実に味わい深い。山下耕作監督のベストワークに敬意を表して8点。くぅ~、男だねぇ…!! 【へちょちょ】さん 8点(2003-10-19 05:07:43) |
3.《ネタバレ》 なんか、映画というより大衆演劇(TVドラマの劇中劇みたいなのしか観たことはないのですが)の雰囲気ですね。失われつつある日本の匂い、というか・・・。僕としては台詞が説明的過ぎるのと音楽があまりにベタベタだったのがチトマイナス要因でした。でも、あのラストシーンはカッコいいなあ。(5点)<2005.10.28追記>…←コレ書いた頃って、多分古い邦画(特に人情ものとか時代劇)をちょっと下に見てたんだよなあ…ああ恥ずかしい。若い頃の「若気の至り」は良いけど30過ぎじゃ「若気」とは言えないもんなあ…と、反省モードはここまで。先日BSで放映されたのを観直したのですが、良い映画でした。錦之助演じる弥太っぺのストイックなヒロイズム、ヒロインお小夜が口ずさむ、哀愁を帯びたメロディ、どれも味がある。そして木村功演じる箱田の森介も、悪役というよりは「人間の弱さ」を具現化したキャラという感じ。んで、やっぱあのラスト。ゴーン、ゴ-ン、と鐘が鳴り響く中、静かに歩んでいく弥太っぱが笠をサッと脱ぎ捨てる・・・かっちょ良過ぎ。 【ぐるぐる】さん [映画館(字幕)] 8点(2003-07-30 19:26:56) |
2.あ、こんな映画にもコメントが付けられるのですか。うれしいなあ。ほんと、素晴らしい映画ですもの。この頃の中村錦之助は、何と言うかオーラが全身から発散されていましたよね! そして、義理人情の日本的情念の世界を、花に託して語る極上のロマンチシズムときたら…。まだおぼこ娘の十朱幸代が、「旅人さん」と主人公に呼び掛けるシーンは、何回見てもウルウルしてしまいます。必見! 【やましんの巻】さん 10点(2003-05-27 12:56:57) |
【松下怜之佑】さん 7点(2001-11-08 11:14:52) |