【東京ロッキー】さん [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-31 21:04:02) |
60.『神は、わたしたちが偉いから使ってくださるのではないのだよ。 聖書にあるとおり、吾々は土から作られた土の器にすぎない。 この土の器をも、神が用いようとし給う時は、必ず用いてくださる。 自分が土の器であることを、今後決して忘れないように...』 三隅が重森に「なんですか?器って?」と聞き返す、 その言葉に僅かに首を振り身を引く重森、そこに穏やかな表情で残る三隅。 次のシーンでクロスロード(十字路)に立ち、長々と天を仰ぐ三隅のブラック・アウトで終わる本編。 なるほど「裁き」にピンとくるもののない我々には判りにくいだろう。 良作であることは間違いない。 【crushersyu】さん [インターネット(邦画)] 7点(2023-10-29 09:58:57) |
59.《ネタバレ》 結論どうなるの??って思いながら楽しみましたがそういう終わり方なんですね。私的には白黒つけてもらえたら+1点でした。 【珈琲時間】さん [インターネット(邦画)] 6点(2023-10-24 15:26:05) |
58.《ネタバレ》 「怪物」のプロトタイプ、または姉妹品? この作品でやりたかったけどできなかったことを「怪物」でようやく実現したのか? 食品偽装は本当らしいが、それ以外は被告が語ることも、弁護士が語ることも信用できないし、咲江のレイプも事実かどうか分からない。 それに弁護士の戦術らしいが、無関係かもしれない(警察にそのことで疑われていない、事情聴取されていない)被害者の妻を主犯として被告の弁護をするところに違和感。 面会室で境のガラスに重盛と三隅の両者の顔が映り、重なり、そして離れる。それがセリフと絶妙にリンクして心情を表す点は良かったと思う。でも話は面白くない、というか面白くなりきれなかった。 【リニア】さん [インターネット(邦画)] 4点(2023-07-22 17:10:50) |
57.《ネタバレ》 咲江(広瀬すず)が事件に関与していると認知された後、主人公および観客の間で共有されてきた『事件の真相』は、一般的に“腑に落ちるもの”でした。裁判途中で三隅が突然翻意した件も、この仮説を裏付けます。ですから裁判終了後、三隅の元を訪ね真意を質した重盛に対して、彼が黙って“頷いてさえくれれば”何の問題もなかったのです。ところが三隅は『それはいい話ですね』と嘯きます。例えば鉄棒の演技。後は着地だけのところで床が消えてしまったような。宙ぶらりんなこの感情をどうしてくれるの。 重盛や観客が想定していた『ストーリー』は、多分に性善説に基づくものでした。しかし元裁判官である重盛の父は『殺す奴と殺さない奴の間には深い溝がある。どちらかは初めから決まっている』と口にしています。そう三隅は『人を殺せる』側の人間でした。先の事件で彼が2人殺している事実は消えませんし、仮に誰かを助けるためだったとしても、普通は人殺しなどしません。 三隅を表す象徴的な言葉『器』。先の事件の関係者は、彼の本質が何かわからないと言いました。しかし、これは三隅に限った話ではありません。他人を理解することなど、土台無理な話。評価する側の価値観、経験測、信念等を頼りに想像するのみ。自分のキャパシティの範囲内で“分かった気になる”だけで精一杯。そういう意味では、重盛も、咲江も、それぞれの人間観で三隅の器に『納得できる人殺しの理由』を入れたに過ぎません。 おそらくこれは司法制度も同じ。真実を見極めることは至難の業。結局は、被害者や加害者、そして何より第三者(社会)が、それなりに納得できる“落としどころ”を見つけるのが本来の司法制度の趣旨という気がします。 【目隠シスト】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-06-07 17:56:30) |
56.「三度目」ってどこ? あたま悪いのでよくわかりませんでした (後に解説を読んでようやく把握) 役所広司がスゴかった 福山雅治との掛け合いも面白かった そういう意味では面白い映画でした シリアスでミステリアスで考えさせられる映画 是枝監督にしては珍しい感じの作品かな(たぶん) 最後までよく分かってなかったですけどね 【愛野弾丸】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-01-13 18:50:27) |
55.《ネタバレ》 真実を明らかにする事はよい事なのか?そもそも真実を明らかにする事は可能なのか?弁護士は真実なんてどうでもいいと思っている。大事なのは法廷戦術であり、裁判に勝てばいい。つまり儲かればいい。裁判はビジネスである。被告も真実なんてどうでもいいと思っている。被告にとっての正義が達成されるならそれで構わない。被告は裁きを下す器でしかない。30年前の殺人も同じである。つまり正義による殺人という私刑で裁きを下す。よって、真実なんてどうでもいいという点においては両者は似た考えを持っている。そこに真実を明らかにしようとする少女が現れ2人は翻弄される。ここがクライマックス。2人は少女に証言させるのは反対である。共に娘の父であるというのが影響したのか。そして両者は結託し、訴訟経済の観点から裁判はやり直しとはならず結審する(ここには死刑制度に対する批判も込められているのだろう)。若い弁護士・検事は真実の究明に向けてのやり直しを求めるが、真実よりもカネと時間と出世の方が大事なのが大人である。本作は真実を巡る世代間格差がテーマだろう。だから本作においては事件の真相がどうかなんてのはどうでもいい話である。にもかかわらず、謎解き法廷ミステリー風に製作してしまったため、ストーリーに気をとられてテーマの本質を見失ってしまいがちになるのが難点か。もうちょっとテーマがわかりやすいように製作すればよいと思うのだが、それをせずに暗示に留めてしまう(象の例え話は過剰説明にも思えたが)傾向にあるのがこの監督の手法なので仕方ないのかもしれない。が、あまりにも解釈を視聴者に委ねてしまうのは、主張が伝わらないどころか問題提起にすらならないというデメリットもあると思うのだが。 |
54.《ネタバレ》 三度目の殺人、って何がどう三度目なんでしょうか。Ⅾ・フィンチャーの『セブン』みたいなシステムですかね、これは。 顔のアップが多い、顔面映画です。表情だけで画面の緊張感を持続させなきゃいけない、ってのは、俳優さんにとっても大変だったんじゃないかと思われる、のですが、こういう時に役所広司というヒトは妙にノリノリな感じに見えてきて、ホントにこれでいいのかな、とも。それに比べると、広瀬すずは、時に表情を揺らがせつつも、相手に内心へ入り込ませない意志を表情に漂わせて、強い印象を残します。 実際、人間の表情から内面を完全に読み取ることなどできないワケで、「演技」というものはしばしばその読めないはずの内面を読み取らせんがために誇張気味に行われたりもするのですが、この映画の場合は逆に、事件の当事者たちの表情は様々な形で、内面を読み取られることを拒絶しています。だから事件の真相も、モヤモヤしたものになっています。一応は、「役所広司と広瀬すずは実は知り合い」であり、「父親に虐待されていた彼女を守ろうとした」のが一連の事件の真相、であろうという体裁にはなっていますが、では彼女の母親である斉藤由貴の、存在なり、役所広司との関係なりは、どう考えたらよいのか。役所広司と広瀬すずとは、(設定上の矛盾があろうがなかろうが)「雪のケーキ」のエピソードによる繋がりが示すように、実の父と娘の関係なのではないのか。とか・・・。雪合戦の幻想シーンや、役所広司との写真の中で示される、彼女の笑顔。 物語に登場する殺人シーンもまた、本当にそこにいたのは誰だったのか、描写が揺らいで、真相をはっきりとは示しません。ただ、血の付いた「頬を拭う」という動作が、犯罪への加担の有無にとどまらない広義の共犯関係のようなものも示していて。 ラスト近くで、福山雅治の顔と役所広司の顔とが、両者を隔てていたはずの仕切りへの映り込みによって重なるのですが、ここも、両者が重なっているようでもあれば、福山雅治が重ねようと顔を近づけるたびに役所広司の顔が離れていき「重なること」を拒絶しているようもであり。 役所広司の内面に繋がっているのであろう「十字架」のモチーフが、福山雅治の頭上でクロスする電線として示され、しかしそれを見上げる彼もまた「十字路」のど真ん中に立っている・・・。 【鱗歌】さん [地上波(邦画)] 7点(2019-12-17 21:42:06) |
53.《ネタバレ》 事件の真相が意図的にぼかされているが、実質的には2つのうちの1つと考えている。1つは三隅が咲江に忖度して行った単独犯で、もう一つは咲江の意向を受けて三隅が実行した共犯である。そのどちらであっても、三隅と咲江は何らかの形で加担しているため、心情的には大差はない。咲江は法で裁かれることがなかったため、罪の十字架をこの後も背負って生きて行かねばならない。 会社を解雇された三隅に、山中社長が人気のない河川敷について行くことは考えにくい。冒頭の犯行シーンでは、河川敷に向かう山中社長を三隅が追うシーンがあるが、社長の行く先は映像がカットされているため、明らかにされていない。重盛弁護士は徹夜の事務所で夢うつつになりながら、実際はこうだったかもしれないと憶測する。それは、河川敷に向かう咲江を、父である社長が追い、最後に三隅と咲江の二人で殴打するシーンである。これは現実ではなく、重盛の妄想である。社長を河川敷に誘ったのは、三隅ではなく咲江だろう。法律論的には、咲江が殺意を抱いて人気のない場所に誘い殺させたか、それとも三隅が二人に知られないよう尾行したかが重要だろうが、心情的には重要ではない。二人とも殺したかったのだから。真実はともあれ、心情的には殺害を遂行した二人は、ともに頬の返り血を拭う。そのとき重盛も、殺害現場にいるかのような錯覚に陥る。彼は真相の一部を知りながら、隠蔽に加担しているからである。そのとき血のつながりのない3人が、家族であるかのような絆を感じる。 ずっと前のシーンで、三隅と咲江と重盛が家族のように雪合戦する描写があり、三隅と咲江は殺人の十字架を負うかのように十字に寝るが、重盛にはまだその意識はなく、大の字になっている。しかし最後のシーンでは、十字路に立って思わず立ち止まる。自分も殺人の十字架を背負って生きていくことを自覚したからだろう。 「三度目の殺人」とは、三隅が情状酌量の余地がありながら死刑になっていくことだろう。彼はイエスのように、全ての罪を背負って死ぬことで咲江を救おうとした。死刑回避の方法はあるのに、重盛は結局回避できない。裁判所を出た重盛は、顔を夕日に照らされ、思わず頬を拭う。彼もまた、殺人の返り血を浴びたのだ。 重盛は、裁判をただの勝ち負けのゲームとしか考えていなかった。仕事にかまけて、自身の家庭を顧みなかった。娘のゆかは、ときどき万引きをやらかす。万引き犯の父が弁護士とわかると、被害者は穏便に済ませてくれる。「父さんはこんなことでしか役に立たないでしょう」という当てこすりだ。だが事件関係者の心情に寄り添い、被告人の望みどおりの死刑を受け容れた彼は、きっと自分の娘の心情と向き合い、真の家族になっていけるのではないかと予感させる。 【高橋幸二】さん [地上波(邦画)] 7点(2019-11-15 12:17:27) |
52.《ネタバレ》 是枝監督らしからぬ法廷ミステリで且つ、オリジナル脚本で勝負しているのは評価できるし、完成度は決して低くない。明確な答えのないモヤモヤ感のまま、日本の司法制度に問題提議を掲げているという意味では理にかなっているとも言える。だがやはり、複数のキーワードの表面を触れただけで終わり、登場人物が深く掘り下げられていない気がする。被害者の社長による実娘への性的虐待を見かねた前科者が再度殺人を犯し、それが公になることを恐れ、彼女を守るために自ら死刑になることを選んだというのが一般の解釈だ。メディアでは一方的に悪のレッテルを貼り、世間はそれに追従する。しかし、真実なんて掴みどころがなくて、たとえ偏ったものでも提示された情報でしか判断できないところに、人間の脆さとリンクする。殺人犯の真意など100%誰も分からない。それは理解している。ショッキングな描写や過剰演出に頼らない作風の限界かもしれないが、もっと深みを描けなければ「それで?」で終わってしまうのだ。 |
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★51.《ネタバレ》 十字架とか、カナリアとか、淫行とか、殺人教唆とか、いろいろモヤモヤさせたままで終わったのは、真相究明より事務手続きとしての裁判の結審を優先するという、世の中の世知辛さのようなものを見せたかったのかなと拝察します。こういう事例は司法に限らず、社会全般に無数にあるわけで。そんな妥協の産物として死刑が宣告されることを、「殺人」と称したのかなと。 それはそれとして、ただし最後のセリフに出てくる「器」の意味がわからない。何かの比喩なんでしょうが、ラストシーンでのモヤモヤはキツいです。もっと腑に落ちる言葉があるような気がします。 ついでに言うと、つかこうへいの「熱海殺人事件」を思い出しました。まったく対象的な作品ですが、目指した方向は同じかもしれません。
【眉山】さん [地上波(邦画)] 7点(2019-11-04 01:47:38) |
50.有無を言わせず 監督の考えを押し通すタイプの映画もあれば、解釈を観客に委ねる映画も有る。是枝監督は後者を目指していると思う。(前者が悪いという訳ではなく、面白いと感じられるものも多い。) 特にこの映画は 濁している部分が多いので、煮え切らない・潔くないと感じる人も多いかも知れない。でも、テーマによってはそれが効果的になる場合もあると思う。殺人者の心中なんて、やっぱり当人にしか分からないと思うし、類推しか出来ない。それを考えさせるには、こういう手法になるということかなあと思う。 【くろゆり】さん [地上波(邦画)] 7点(2019-11-02 23:09:08) |
49.《ネタバレ》 てっきり犯人捜しのミステリかと思いきや、全然違うっていう。 強力なエンパシー(あるいは弱いテレパシー)能力を持つ犯人が、他人の想いを受ける器となって3度の殺人を犯す(3度目は自分の希望もかなって自分を裁くっていう)まぁそういう内容なのは観ててわかったんですが(てかその理解であってますよね?)、ぶっちゃけ、「それで??」っていう思いが抜けず。 ミステリだと思ってずっと見てたもんだから、ゴールが見えないまま映画終わってしまって、えー…って感じでございました。 てかこの映画のテーマって何なの?司法制度の問題についてなの?人が人を裁く事の是非についてなの?それすらわかりません、わかりませんよ、えぇ。 【あばれて万歳】さん [地上波(邦画)] 6点(2019-10-31 23:06:15) |
48.《ネタバレ》 2度目の鑑賞ですが、好きですこの感じ。他の方はもやっとという表現をされていますが、役所広司の演技力プラスもやっとってすばらしい奥行きになっている気がします。よ〜く観ればこの映画、犯人も動機もはっきりしているんじゃないでしょうか。こんな主人公を死刑にすることが殺人なんだと思います。 【jetter3】さん [地上波(邦画)] 8点(2019-10-27 23:55:16) |
47.《ネタバレ》 是枝監督らしく、言葉の一つ一つや細かい表情に拘って 丁寧に作り上げたのが良く分かります。特に劇中では重盛 と三隅が面会室のアクリル板を真ん中にして話し合うシーン が何度も繰り返されたのに対して、最後の面会ではアクリル 板に反射させて二人をダブらせたショットは中々考えたなと 感心しました。 殺人の動機が娘に性的暴行を繰り返したというのは、 月並みで、もう少し他の理由を考えて欲しかったとは 思いましたが、致し方なかったのでしょうか。 土壇場で三隅が殺人を否認したのは咲江の証言をやめさせる 為というのがみそなのでしょうが、あくまで三隅を救いた い咲江が、証言で「殺したのは自分です」と叫んでしまう リスクがあったのではないかと思います。 色々な問題がこの映画にこめられていると思いますが、その 一つが現状司法制度への問題提起だったのではないでしょうか。 被告の自白以外にさしたる物証がない場合は、自白の信憑性を 幾重にも固めるのが昨今の裁判ではなかったかと思っていました。 もしこれで三隅が死刑になってしまうのであれば、被告自身 が最初から極刑を望んで無実の罪をかぶって自白することで、 被告自身が容易に自ら判決を操作できてしまうことになり、 司法制度自体が無意味になってしまうのではないかと思うの ですが。 【キムリン】さん [地上波(邦画)] 7点(2019-10-27 12:51:19) |
46.この手の作品を面白いと言っていいのか悩ましいけど、真相を知りたいと思わせる巧みな構成。 それなのに真相をはっきりと描かないので、なんだかモヤモヤしちゃいます。 一方で、最初は冷酷だった主人公の言動は明確に変化していく。 気が滅入る事件ではあったけど、それだけがせめてもの救いだったような気がする。 【もとや】さん [地上波(邦画)] 7点(2019-10-07 15:27:28) |
45.《ネタバレ》 生まれてこなければいい人はいるのかどうか、忖度殺人か、、、重く・後味はよくないですが役者さんたちみんな存在感がありました。市川実日子さんもぴったりですね。 【HRM36】さん [インターネット(邦画)] 5点(2019-07-06 22:37:46) |
44.《ネタバレ》 いきなり「実は殺してねぇ」…そんな事を急に言われても信じらんねぇ。もやっとしてるけれど、日本アカデミー作品賞受賞作。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 6点(2019-03-17 03:15:56) |
43.時間をおいて二度見ました。一度目の採点が3点とするなら その数ヶ月後テレビ放送をしているのを再度見て評価が6点上がりました。 思わせぶりでハッキリしない話は基本好きでは無いのだが、 予めそういう映画と解って再見すると一度目では味わえなかった所が見えてくる所もあり。 ただ、見る側の脳内補完に頼る雰囲気映画が許容出来る精神状態で見るのかどうかで 評価は変わって来そうだね。 【デミトリ】さん [DVD(邦画)] 6点(2019-02-03 08:52:34) (良:1票) |
42.《ネタバレ》 犯罪ものなのに、ヒューマンドラマっっぽい。結局、実際にどのように犯行が行われたのか良くわかりませんでした。主役の人はいつも顔ツルツルしていてなんか変。 【紫電】さん [ブルーレイ(邦画)] 3点(2019-01-21 21:42:41) |