1.《ネタバレ》 掛け値なし、満点。一般人には船便しかない時代のホームシック、姉の死により故郷に一旦戻ったときにあふれ出てしまう里心。最後の決断はカトリックゆえの葛藤の結果。なによりも画面にあふれる色彩の素晴らしさ。最初の航海での出来事が、ニューヨークに帰って行くとき経験者としてくり返される、このエピソードは原作にはないんだけど、ここがとりわけ素晴らしい。サーシャ・ローナン(たぶん発音どおりだとこう、もしくはショーシャかな)を愛でる作品としても秀逸でした。それから、同時代のアイルランドやカトリックを知る意味で「あなたを抱きしめる日まで」は必見。ほぼおなじ時のアイルランドでの状況を知ることができるし。また、「キャロル」は同時期のアメリカの状況を教えてくれるうえに、川向こうマンハッタンのデパート物語でもあるし。そして逆側のニュージャージーのイタリア系移民の実情を知ることのできる「ジャージャー・ボーイズ」もあわせてご覧になれば、この作品を立体的に捉えることができるでしょう。ついでに「雨に唄えば」もお忘れなく。そうそう、イーストウッドの「ミリオンダラー・ベイビー」にもつながる話なのだよね、この物語は。