607.マイケルベイは嫌いな監督であり、感動するところもほとんどないとは思うが、娯楽映画と割り切れば、映画自体はそれほど悪いものではない。
荒唐無稽の設定である掘削屋のおっさん達が宇宙に行くというあり得ない設定が意外と悪くない気がする。
天才科学者でもヒーローでもないただのおっさんが地球を救う。
このおっさん達は、ただのおっさんではない。どいつもこいつも奥さんに逃げられたり、あるいはクズに近いどうしようもないおっさん達である。
そんなおっさん達が、クズでなくなり、輝きをもち、誇りをもてるようになるというのはある意味面白い設定かなと思わせる。
天才でもないなんでもないおっさんの手に地球の運命が委ねられ、意外と地味な方法で地球を救うのは多少評価してもよいポイントではないだろうか。
しかしもっと面白くなりそうな点がいくつか見当たる。
まずブルースウィルス扮するハリーが意外と薄っぺらなキャラクターのような気がする。
ハリーとグレース親子にはもっと親子の対立をアピールした方がラストがより感動させられるような気がする。「戻ると約束して・・」と宇宙に行く前にグレースが言ってしまうと、グレースがハリーのことを愛しているという結論が出てしまっている。
むしろ仲違いさせたまま、宇宙に送って、ラストにグレースが父のことを心から愛しているということに気づかさせる方がより親子のストーリーとしては際立つのではないだろうか。
また、ハリーのリーダーとしての資質を問われるような出番を掘削時にいくつか用意しても良いだろう。AJとの対立ももう少し描いておかないとラストの「オマエに任せる」という言葉も上手く活きてこない。
序盤・中盤には訳の分からんほどトラブルを仕掛けているのに、掘削時には地味なトラブルばかりで、意外と派手さがない(もっともアルマジロが一台吹っ飛んだりしているが)。せっかくのハリーの出番である掘削時が一番地味になってはいないか。
さらにトルーマンの存在ももったいないと感じる。
出番としては核を地表で爆発させるかどうかのやりとりに彼の大きな存在があると思うのだが、尻すぼりしている感を受ける。遠く離れてもハリーとトルーマンには何故か訳のわからん信頼関係が結ばれているという設定がもっと色々あっても良い気がする。
マイケルベイの映画はなかなか評価が難しい。