★58.《ネタバレ》 「どんな人よ?」「叔母さんはゲーリー・クーパーに似てるって云うんだけど…」「じゃ凄いじゃないの。あんた昔っからクーパー好きじゃないの」「でもあたしはうちにくる電気屋さんに似てると思うの」「その電気屋さんクーパーに似てる?」「うん、とてもよく似てるわ」「じゃその人クーパーと似てんじゃないの!何よ!ぶつよ!」 なんだろう、この会話。小津監督はこういうセンスが素晴らしい。本作は小津映画のスタイルが確立された作品という事で、あらすじを読む限りじゃカラーが白黒に、岩下志麻が原節子に置き換わった「秋刀魚の味」みたいな感じだろうと思っていたが、紀子の父に対する想いが強すぎて、なにやら怪しい方向に行きそうでちょっと驚いた。壷をめぐる論争は後で知ったけど、確かに意味深ではある。嫁に行かなきゃ行かないで心配だし、行けば行ったで寂しいし…。でも娘に「結婚」とは何ぞや、「幸せ」とは何ぞやを説く場面は感動した。時々怖い感じもした原節子だが花嫁姿はとても綺麗でした。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-06-16 21:30:43) |
57.《ネタバレ》 (僕のブログより部分コピペ)照明のあたり具合や、まるで壷から聞こえてくるようないびきの音といったところから、{父∽壷}は明らかだ。そこで僕はDVDを巻き戻して調べた。他のシーンでも壷が写っていないかどうか、そしてそのシーンはどんなシーンなのか。これがあると、もしかしたら壷の真意の手がかりがつかめるのではないか。僕は見つけた。あと1カ所だけ、壷が映り込んでいるシーンがあった。それは、京都の宿屋の初日の朝(つまりあの夜の前)、京都観光の準備をしている父と娘、そこに訪れた父の友人、3人の室内。友人に「なんでまた急に京都旅行にきたの?」と尋ねられたときの父の発言の際。 「ああ、娘が急に嫁ぐことになってね、最後に二人で旅行に来たんだ」みたいなことを語る。カメラは父を正面から捉え、いつものようにカメラ目線でこれを言う。そのとき、父の奥に、こっそりと壷が映っていた。ピントは父にあっているので、奥にある壷はぼやけているものの、それが壷であることはよくわかる。そしてそれしか壷は登場せず、次に登場するのは例の夜。 この時の壷が、意図せず偶然映り込んでしまったものだと言えば、それまでなんだけど、意味を見いだすことも意外と容易だ。つまり、壷は、父をうしろから“覗き見”していたのだ。なにを覗いたかというと、「娘が突然嫁に行くことになったことへの気持ち」である。台詞が台詞だからそうに決まっている。このとき、壷は父の本音を知った。壷は父を反映した。カメレオンが環境に体色を馴染ませる感じに、壷は父に擬態した。そして夜、壷が2度“反映した父として”現れる。 (その他いろいろブログにて) |
56.《ネタバレ》 お見合い相手の鼻から下はゲーリークーパーね。杉村春子は財布届けなさい!小津の映画は心にしみるなあ。 【東京ロッキー】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-09-24 19:17:39) |
55.最初は6点くらいかなあ、などと生意気にも考えていましたが、後半にいくにつれて欽ちゃんの仮装大賞よろしく、ポポポーンとポイントが上がりこの点数です。なんか凄いモンみちゃったなあ・・・と呆然としてしまいます。原節子がとにかく凄い。理解できそうで、まったく理解できないほど底なしのキャラクターだったように思う。ずっとニコニコしていた彼女の違う一面、また違う一面が次々現れ翻弄されちゃいました。バカみたいな感想しか出てこないけど、凄い映画だと思う。 【ゆうろう】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-05-22 02:51:15) |
54.《ネタバレ》 切り取られた日常の会話の面白さ、特に紀子とアヤのやり取りはすごく面白いです。小津を語る時反復という言葉がよく使われますが、反復する当たり前の日常が、娘が嫁に行った後の寂しさを浮かび上げます。最後のシーンは、京都の床の間にあった月明かりに照らされた壷のように孤独で、しかし美しい姿に映ります。 |
53.小津の最高傑作。シナリオ、キャスティング、演出のバランスが良く、 特にシナリオの完成度と構成の巧みさには、ただただ溜め息をつくばかり。 難を挙げれば、原節子の演技を含めた娘のシーンが多少オーバーぎみに感じることだが、 父親の真情を中心に描いた内容なので、それほど気にはならない。コメディーパートでは、 叔母役の杉村春子が素晴らしいバイプレイヤーぶりを発揮、大いに笑わせてくれた。 余計なセリフを排したラストのカットは秀逸で、心にグッと染み入る余韻とともに、 製作者側の非凡なセンスを感ぜずにはいられない。お薦めの名画。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-03-18 05:11:18) (良:1票) |
52.原節子主演の小津映画の最初の作品であるが、私が見るのは一番後になってしまった。 父親となかなか嫁ごうとしない娘の細やかな感情を描いた良い映画だったことはよく覚えているが、いまいち他の映画(東京物語など)と比べると印象が薄い。その少ない記憶の中で、笑顔を絶やさなかった原節子が急に真顔になったのを覚えている。そして嫁ぐことになったのだが、花婿さんがどんな人か、誰が演じるのだろうかと思っているうちに終わってしまったことも・・・。 今思えば、せめてカラーの「秋日和」より先に見るべき映画だったのだろうということ。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-10-01 09:42:52) |
51.《ネタバレ》 大学時代、図書館の視聴覚室にて何度かこの作品にトライしたが、そのたんびに途中で眠ってしまった。能楽堂のシーンあたりまではちゃんと覚えてるんだが。その後観た「東京物語」(9点)や、同じテーマを扱った「麦秋」(9点)カラー作品の「彼岸花」(10点)「秋刀魚の味」(6点)なんかはちっとも眠くならず集中できたのに。この作品は長い間私にとっての「鬼門」でした。さてさて、あれから20年余年。こわごわながらDVDパッケージを手に取り再鑑賞に望みました。・・・今回は眠くならず最後までなんとか(笑)おそらく当時やたら眠かったのは、演出の呼吸テンポの緩さと、題材がシンプル過ぎ若かった自分には、退屈きわまりなかったせいなんじゃないかと。その後の、バリエーション作品を先に観てしまったせいか、この「晩春」が基本形だということはわかるんですよ。でも私は、それなりに手を変え品を変え、ユーモアや枝葉エピソードを増やした後年の作品のほうが好きですね。こと、小津作品に限っては私にとって「シンプル・イズ・ベスト」にはならなかっただけという事でこの点数止まりで。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-13 10:56:08) |
50.またも出ました、原節子の「私、結婚しないワ」攻撃。って、時系列で言うと、コレが初めてなんですかね。じゃあしょうがないですね。本作、登場人物たちそれぞれの人生を多層的に描くというよりは、「娘の結婚を心配する父」と「父を心配して(ほんとに?)結婚しない娘」との姿に、比較的絞って描いた作品で、その代わり、冒頭の茶道のシーンから始まって、“ちょっと寄り道”的な、物語に直接関係の無い光景に、時間を割いているのが目につきます⇒とは言っても、“意外に時間を割いてる”というだけで、実は物語に関係ないどころか、大いに関係あったりするんですね。父の再婚相手(?)と初めて遭遇する、この茶道のシーン。電車で東京に向かうシーンも妙に長く妙に楽しげだけど、これは父との外出。父との仲の良さ。はたまたサイクリングのシーンの、これまた妙に楽しげな印象(やはり年頃の娘さんなのであって、男性とお付き合いすること自体が嫌いな訳じゃない)。白眉は、能のシーン。これでもかと長い。長いけど、そのシーンにはドラマがある。サスペンス。原節子の表情がコワい。⇒⇒⇒ってか、そもそも、この映画の原節子の視線と表情、全体的にとってもコワいです。ちょっと苦手です、ハイ。で、そんな彼女が、最後に見せる花嫁姿。去りゆく娘は、ひたすら美しく描かれる。黒の着物を見事に着こなしたその姿、まさに印象的な、名シーンだと思います。ところで、娘の結婚相手の“熊五郎”とはどんな男だったのか。まあ“寅次郎”じゃなくてよかったよね、御前様。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2011-08-06 10:02:44) (笑:1票) |
49.《ネタバレ》 前半はいまいちの出来で、「あれっ、たいしたことない作品かな」と思うのだけど、後半からどんどん盛り上がっていって、京都の夜のシーン、笠智衆が嘘をばらすシーン、林檎のシーン、波のシーンと、終盤は怒涛のごとく名シーンがつづく。 【ashigara】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-07-06 22:41:59) |
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48.《ネタバレ》 潔癖症の乙女の映画かと思いきや、実はハードボイルドな父親の深い愛の映画だった。会話が実に練れてて楽しい。熊太郎には笑った。また結婚した人たちの鈍感なところを実に杉村春子が嫌味なく演じている。最期の説教の場面を観てたら、少子化で娘がお嫁に行かない家の親御さんはこの映画を見せたらいいのでは、などと思った。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2011-05-07 19:47:40) |
47.《ネタバレ》 揺れる立木のショットが意味ありげに入っている。ゆったりとした、自然と人生という感じが溢れている。描き込みの多い『麦秋』に比べて簡素な構成により、小津の最高の作品となっている。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-03-21 10:50:28) |
46.父でもなく娘もおらず映画評論家でもない私に全てが理解できたとは思えません。 それでも伝わってくるものがありました。 10年後、20年後と何度も観返してみようと思います。 【棘棘棘棘棘棘棘】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-01-23 22:41:46) |
45.《ネタバレ》 明るい笑顔としおらしいい原節子を見慣れていると、この作品の原節子は少し衝撃的に写った。無言と目つきが示す不機嫌さと父への執着心は異常に感じる。原が演じる紀子がどう見ても積極的な気持ちで結婚を決意していないところが気になる。そこは「麦秋」と似ているようで全く違うところで、後味はかなり異なる。「東大出でゲイリー・クーパー似」の見合い相手は、いったい誰が演じるのか非常に興味深かったのだが・・・笠智衆演じる父にはまんまと一杯食わされた。 【きーとん】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-09-28 19:45:16) |
44.《ネタバレ》 小津作品初鑑賞ですが、たいへん素晴らしかった。父と娘の愛憎をあますところなく描き、見ごたえがありました。特に感心したのは、原節子の撮り方。さんざん嫁に行けと言われ、さらに父が再婚するのではという疑念にとらわれた紀子は、それまでよりも数年老けたかのような印象を受けます。まるで魔女のような。心理状態を表情というか、顔全体で表すみごとな演出でした。途中、能の場面まで来て、長い映画だなと思ったら、まだ半分程度。短い時間のうちに、さまざまなドラマを豊かに物語る、密度の濃い作品。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2009-10-27 19:36:52) |
43.《ネタバレ》 お父さんだって、娘が嫁ぐのは嫌に決まってます。でも娘のことを想い、そんな仕草を一切見せず、常に笑顔で娘に接するお父さん。こんな素敵なお父さんなら、離れたくなくなる紀子の気持ちも分かります。そんな父娘の物語を、小津監督の優しい目線で描かれています。小津監督の作品に共通することかもしれませんが、登場する男性は皆紳士的で、女性はおちゃめで愛くるしく、それが見てて心地良いんです。そしてシュールで淡々としている分、引き算の効果で想像力を掻き立てられるので、少しの言動で笑えたり、また自分自身どこに反応したのか分からないうちに突然泣けてきたりします。やはり小津作品は最高です。 【VNTS】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-06-19 20:47:40) |
42.《ネタバレ》 この娘の父に対する強烈すぎる気持ちを理解しかねる私が言っても説得力に欠けますが、父と娘を題材とした映画の中で本作は最高傑作の一つだと思います。能を見物するシーンであるとか、旅館での娘の告白シーンであるとか、父親が再婚すると一世一代の嘘をついたと告白するシーンから寂しげなラストカットであるとか…父と娘の別れの寂寥が胸にジーンと響きます。 〝そうかね、そうかね〟等々、確認するかのように繰り返し繰り返し言う台詞が何とも奇妙でもあるのですが、そのリズムがどこか心地良く、さらに登場人物の簡単な説明さえしておけばサイレントでも十分に伝わってしまうであろうほど一場面一場面も完璧です。 しかし何と言っても圧巻なのは原節子さんの表情から笑顔が消える瞬間であり、それはそれは震えるほどに素晴らしいです。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2009-03-09 18:30:19) |
41.おばちゃん(杉村春子)の軽妙な会話は楽しいが、後は間とか雰囲気モノなのでまったりしすぎてて眠い。こぢんまりとしたリアリティがあります。現代には無い世界観ですな。小津映画は評価するのがなんだか恐れ多い。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-07-15 17:58:20) |
40.親父の感情のないセリフと娘のファザコン発言に引いてしまった。 【Yoshi】さん [DVD(邦画)] 4点(2008-05-10 00:56:29) |
39.《ネタバレ》 初めて見た小津監督の作品がこれでした。 もうなんというか…切ない…。味があるってこういうことですか。 京都旅行の夜からラストシーンまで涙涙でした。 【norainu】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-03-27 18:50:13) |