58.《ネタバレ》 原作小説は未読です。近未来パラレルワールド。この世界では、本(書籍)が禁止されていて、市民の家に隠された本を探し出して、焼却処分を行う消防士(fireman)という職業が存在するという設定です。華氏451度は本が自然発火する温度とのことです(web調べ)。60年代の映像とは思えないくらい、おしゃれでモダンな映像です。最近のレトロモダン調な作品にありそうな雰囲気です。中でも、モノレールがいいです。橋脚のデザインや、プラットフォームのない設計思想が素敵です。消防士の格好も適度に全身タイツ的で、かっこ悪く良い感じです。メディア統制と愚民政策のメタファー。というかそのもの。途中、主人公は、足掻き、抵抗し、最後に物語は詩的に静かに終わります。この終わり方は、これでいいと思うのですが、続きとして、善良なるメディアによってつくられた善良なる市民達によって、本の代替物がすべて焼却し尽くされてしまうという、起こるべくして起こるであろう、より現実的な終幕を想像してしまいました。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 7点(2024-03-11 17:40:46) |
57.《ネタバレ》 フランソワ・トリュフォー作品の中で唯一未見だった作品で、ようやく見ることができた。 これでフランソワ・トリュフォーをコンプリート。 活字や本が違法とされた近未来を舞台としたSF。 もちろんトリュフォーの作風からすれば異端の内容で、それが原因で今まで見るのをためらってきた。 おそらくつまらないんじゃないか? 地下鉄のザジみたいに気色の悪い内容なんじゃないか? ジャック・タチ作品みたいに奇妙なだけでつまらないんじゃないか? そうした憶測を勝手に自分の中で持っていて、この作品を敬遠してきた。 だけど、かの蓮實重彦氏が推薦している作品だ、見ない訳にはいかない。 というわけで、土曜日の暇な時間に意を決して鑑賞開始。 これが独特の世界観を構築していて、意外と完成度が高い。 奥さんも綺麗。 主人公も存在感抜群。 ところがその主人公、最後は奥さんに逃げられ、上司を火炎放射器で焼き殺してしまう。 なかなかのショッキングな展開だったが、ラストは本大好き人間の桃源郷に逃げ込み、難を逃れた。 奇妙な作品であり、決してトリュフォーの得意分野とは思えないが、そこが逆にこの作品の独創性に貢献しており、飽きずに最後まで見ることができた。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-02-25 11:48:31) (良:2票) |
56.禁書、焚書が描かれており、特定されていないあらゆる書物を見つけ出しては処分する消防士ならぬ焼却士(ですか?)というのに面食らいました。ミイラ取りがミイラになるのは予感通り。緊迫感が無い展開を淡々と眺めていましたが、頭の中は焼かれないとする人々に感じ入るものがありました。 私が暗記するとしたら・・・・「ジャッカルの日」「白い巨塔」ですね。 フランソワ・トリュフォー作品というのに100へぇであります。 |
55.《ネタバレ》 2時間観るのがきつかった。テーマは面白いんだけど、思想弾圧だとオーウェルの1984とかと比べると臨場感、緊張感に欠けるなあ。シーン同士のつなぎ方がとても安っぽい。 よく考えたら数年前に観たことあった。それも忘れていたくらい印象の薄い映画。 【なす】さん [インターネット(字幕)] 5点(2018-05-27 22:31:25) |
54.《ネタバレ》 結局本を愛する人たちは山奥で細々と暮らすというエンディングが少しさみしかったです。 【珈琲時間】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-08-18 08:19:30) |
53.《ネタバレ》 テレビの情報の取捨選択が難しいのは、一つの情報を垂れ流しにすることもそうですが、間違いの情報を一度に沢山の視聴者に見せてしまう恐れがあること。いくらでも編集で視聴者を騙すことが可能。本はその本を読む前から、タイトルやジャンルによって読者による情報の取捨選択があり、読みたい本だけを読めば良いし、テレビと違い長く書物は残るので、作者の思想はなかなか消えない。 この華氏451では本を読むことが禁止され、消防士(ファイアマン)たちはまだ存在する書物を焼却することが仕事。オープニングのクレジットを音声によって示したり、新聞の漫画に文字が一切無かったり、文字表記を徹底して排除しています。違法に本を所持する人間を知らせるためにポストのようなものに手紙を入れるのではなく告発文を入れたり、しっかりと消防士たちがどのように本を探して焼却するのか実習をするシーンがあったり、なかなかリアルで面白い世界観でした。テレビを見ている人間は、テレビがすべてというように単調なテレビ番組でも一喜一憂し、嘘の情報でも簡単に信じてしまったりと現代でもこのようなことは普通にありますよね。約60年前に原作が出版されたことを考えると、原作者であるレイ・ ブラッドベリの先見性は凄いと思いました。 本を暗記して頭の中に保存するという方法も原始的でなんだか素敵でした。本を読むことを禁止して思想を抑制しても、本を愛する人たちが存在するかぎり、どんなに本を焼いても内容は消えることはないし、次の世代に受け継がれていきます。 【ruokala】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-06-06 06:36:22) |
★52.《ネタバレ》 正直な感想を一言で言うならつまらなかった。 どうもフランス映画は苦手です。説明不足でよくわからないまま終わってしまう。
この作品は10年以上前に雑誌のインタビューでどなたかが好きな映画にあげていて、興味があり、最近BSでやっていたのでようやく見れました。 トリュフォー作品はいくつか見たいと思うものがありますが、フランス映画はなかなか手がのびず、今回が初です。
全体的な雰囲気は好きです。あまり未来感のない未来ですが70年代風のオシャレな感じ。 イギリスらしいちょっと暗い街の色味も世界観とあっていると思います。 ただ、好印象がもてるのはそういう映像のイメージだけで、ストーリーは私の読解力ではあまりにも難解・・・。
ラストで本を愛する人々は、本を守るためなら人の命を奪ってまで逃げた主人公をあたたかく歓迎します。そこらへんやってることがテロリスト的で引いてしまった。 また、焚書を避けるため本を暗記して、自ら焼いてしまうというのもなんだか本末転倒というか、それで本を守れていると言えるのだろうか? 本の大切さって挿絵やレタリングなどの装丁を目で見ることや、ページをめくる時のわくわく感も含めてだと思うんですが・・・。
物語が進むほど、本を必死で守ろうとしている側の方が狂気じみて怖く思えてしまいました。 そこらへんもしかして狙って?わざとそうなの?と思ってみなさんのレビューを読ませていただきましたが、そんなことはないようですね。
それと伏線なのかなんなのか、疑問が最後まで疑問のままだったのですが、奥さんが薬の中毒で倒れたとき血を入れ替える描写の意味がわからなかった。 消防署の上り下りするときのパイプが本を読みだすと使えなくなる道理もよくわからなかった。それが原因で署内の人にばれるのかと思っていたら特にそんな様子はなかったし。 同僚にいくつか見られて不都合なシーンを見られている描写があるけど、見られたという事実以外特になにも起こらなかったり。
とにかくラストまで腑に落ちなかったし途中で退屈を感じました。 ちょっと自分には合わない作品でした。 【レゲエラム】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-03-30 19:32:15) (良:1票) |
51.《ネタバレ》 原作は禁書という思想統制のオソロシサをテーマにしていると思うのだけど、映像化されると何よりもう視覚に訴えてくる部分が強力で強力で。監督が未来はこうだろうと考えたテクノロジー発展型家電のスタイリッシュなこと、色鮮やかなこと。赤い消防車とちくりポストにくるくる輝くは真っ青なランプ。するすると空をゆくモノレール。翻って摘発された秘密図書館はアナログでノスタルジー溢れる空間。椅子に積まれた本や机の隅のランプシェードの紺色、美しい雑然。さすがはトリュフォーさんですわー、おフランスですわ。 お話は権力側の追い方がゆるくてあんまり怖さを感じないのだが、奇妙に人工的な未来予想図な映画、として印象的です。 【tottoko】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2015-03-04 00:04:14) |
50.発想に芸術的香りがしないわけでもないですが、あまり心に響かない映画です。古い映画なのでリアル感のない未来映像はやむを得ないにしても、登場人物のもっと生々しいキャラクターを感じたかったです。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-02-10 18:14:10) |
49.年代的に古いというのもあるが、チープな感じの近未来の雰囲気は嫌いじゃない。肝心な本(文字?)の禁止に至るエピソードが弱いのが残念なところ。 【noji】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-12-15 19:18:22) |
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48.《ネタバレ》 残念ながら消防士という職業をそのままに仕事内容だけを極端に変えてしまった設定に納得がいきません。消防士は人の命を救うためにまさに命を懸ける、尊敬すべき数少ない職業です。 【いっちぃ】さん [地上波(字幕)] 0点(2014-11-17 23:15:14) (良:1票) |
47.《ネタバレ》 作品内の社会の雰囲気はむしろ牧歌的ですらあるんだけど、それがかえって、現実的な生々しさを感じさせるのです。公園内での所持品検査が、当たり前のように行われている。検査側も、特に威嚇したり、力を誇示したりすることはない(必ず言うことを聞くと分かっているから)。文字というのは1つの隠喩であって、そこに見る側が何を当てはめるのか、ということなんですね。だから、「頭の中までは奪えない」という回答はきちんと着地点になっているし、そのテーマは現在でも普遍性を持っています。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-09-07 02:52:43) |
46.《ネタバレ》 原作は中学生の時に読みましたが、正直ピンとこなかった。内容もほとんど覚えていないし……。映画の方は再見で、以前はそれほどとも思いませんでしたが、見直したらそう悪くないという印象です。 雰囲気としては、いかにも昔の人が考えていた未来像というイメージがありました。しかし、未来的なのはモノレールと大画面のテレビくらいで、あとは製作当時の世の中とあまり変わらないんじゃないかと思います。つまり、「未来を舞台にしたSF」として作られたのではないという可能性もあります。内容的に言っても、必ずしも近未来である必要性は低いと思いますし。 原作者のブラッドベリとしては、「テレビによる文化の破壊」を描く意図があったようで、最後に登場する“ブックピープル”なんかは、本以前の口承文化までさかのぼってしまいます。テレビという間接的に相手と相対する装置に対し、直接会って話をするという点も対比になっているのでしょう。 しかし、映画全体としては、体制による思想の統制が強く出ているようで、そのあたりのズレが、最後になって「そこに落ち着くのか?」と思ってしまう原因になっているようです。統一感に欠けるのが残念です。また、ファビアンがいろいろと都合よく目撃しすぎでしょう。それと合成(ブルーバック?)が下手すぎ。1966年といえば、テレビで『ウルトラQ』が放送された年ですよ。 しかし、いろいろな暗喩に満ちたところがあり(モンターグがポールを使わなくなる・治療された妻が食欲旺盛になるあたりの描写・自宅でモンターグがまずベッドとテレビに火炎放射器を向ける等)、どういう意味があるのか正直よくわかりませんが、なかなか一筋縄ではいかない作品のようです。また折を見て見直してみたいです。 そういえば、この映画は吹き替えで鑑賞しなければ意味がないという意見があるようです。お説ごもっともですが、最後に堂々と出てくる"THE END"の文字は、問題ないんでしょうか? 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-26 22:27:05) |
45.古い映画の割には古さを感じさせない。洗脳された人たちは滑稽だが、 自分も十分洗脳されているんではないかとおもう。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-08-23 06:52:51) |
44.本で読んで面白かったので、映画を楽しみにしていたが残念。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(字幕)] 5点(2014-02-08 23:51:49) |
43.《ネタバレ》 ナチのような「消防隊」が本を襲いまさにナチの焚書そのものであるが、ヒトラーの本『我が闘争』も焼かれるのはアイロニカルである。双方向の巨大モニターが各家庭にあり、「コンピュートピア」の息苦しさを先取りしているのは、いい。ただし要するに問題は、概念的な思考をするしないであって、現今のコンピューター・ネットワーク社会がべつに概念的な思考を禁じているわけではない(デジタル書籍もあるわけで)。要するに紙媒体が不要にされていくという現今の傾向と重なるだけだ。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-03-03 10:40:00) |
42.《ネタバレ》 「他人の自我にたえず耳を貸さねばならぬこと―それこそまさに読書ということなのだ」 【ニーチェ】 本妻の言い分に耳を貸さずアッサリ捨てて、「読書」に熱中してしまった主人公。ニーチェもさぞ「そりゃねーべよ」とお思いだろう。 そしてラストの【本の人の集落】は、興味深いですね。私もいっちょ暗誦できるくらいに一作品を読んで「彼はマスジ・イブセの【山椒魚】だ」とか紹介されてみたいもんだ。 とりあえず、最近アホウな条例を打ち出したどっかのアホウな都知事に、この作品を是非観てほしいですね。 【aksweet】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-05-10 01:05:39) |
41.《ネタバレ》 妻とそっくりの女性を登場させ、本を排除する側と守る側の両極に立たせているのがおもしろい。歪んだ近未来を描いているし、結末がどうなるのかわくわくして見ていたが、途中から説教くさくなっておもしろくなくなった。 久しぶりにDVDで見て、マーク・レスターを発見。今や映画を見た頃以上の情報化時代、テレビからさらにパソコン、携帯、インターネットと本がいらない?時代になってきている。今一度この映画で再認識する必要があるのかも・・・。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-12-06 22:51:47) |
40.《ネタバレ》 トリュフォーの映画は多分これが初めて。体制側に疑問を抱き、ルールにシャットアウトされた向こう側を覗いてみたい好奇心を応援する監督の姿勢や、男女で抱き合ってるしぐさのイタズラ青年をちょっと映してみたりする子供っぽい遊び心などから、何となく彼が『未知との遭遇』に呼ばれたのにうなづけると思いました。何年制作か知らずに見ましたが、多分かなり古いはずと思いながらも、モノレールや薄型パネルの壁掛けTVやロッカーや電話機などのデザインを見るうち「このセンスだと、思ったほど古くないのかな・・・?」と思い始め、しかしまだ幼いマークレスターが学校の廊下に表れて「こりゃ思ったより古いぞ!」と驚きました。というわけで感心したのはデザインセンス。あと、マッチで焼身するオバチャンの存在感がGOOD! けれど、物語はつかみOKで、それなりに引っ張ってくれたもの、自分としては「それがオチかい」という拍子抜けな話でした。オープニングで印象に焼き付くTVやラジオの存在と、書物の違いがいまいちピンと来ないのも腑に落ちませんでした。アンテナはまるで『ゼイリブ』みたいに洗脳を感じさせるし、視聴者参加型ドラマの寒気がくる演出も良かったけれど、本作の映画自体が映像ものなのだし、こうしたものがテレビで流される事態を考えてしまうと、書物ばかりが全面的に否定される理由が分からないし、TVでも架空の人物の話とかしそうなんだけど・・・。多分、国民に知識を与えずアホにさせとくことが上の狙いという感じなんだろうけど、それによって国民が何を吸い取られているかの部分は描かれてない感じで・・・なーんか納得いかない。「仕事で発生する書類の束とか、どういう扱いになってるんだろう?」とか考えると本全般を目の敵にする社会設定は不便きわまりなく無理があると思う。最後に、DVDの特典は音声も字幕も日本語ナシって、どういう考えで収録したのサ? 【だみお】さん [DVD(吹替)] 4点(2011-08-27 06:44:13) |
39.焚書やテレビの危うさといったテーマがちょっと古臭いが、シックな映像にひきつけられる。「時計仕掛けのオレンジ時計」の5年前だから、相当評価してよいのではないか。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-04-12 22:53:31) |