46.《ネタバレ》 得意の口八丁で、クズどもとバカにしている客相手にクズ株を売ってボロ儲け、ドラッグでぶっ飛びながらの乱痴気騒ぎ。
すがすがしいくらいの拝金主義者の下衆っぷり。
既婚者なのにセクシーな美女に積極アプローチして、妻とはあっさり離婚。
自らの欲望にひたすら忠実な俗物の超成金セレブ生活。
それはもちろん、詐欺まがいの口車に乗せられて株で大損した犠牲者の上に成り立っている。
ウォール街の風雲児が社員をその気にさせる術は、新興カルト宗教の教祖、自己啓発セミナーのトレーナー、マルチ商法のカリスマ社長に通じるものが。
以前、マルチ商法で成り上がった社長のスピーチを生で聞く機会があったが、雰囲気や盛り上げ方がそっくり。
大っ嫌いなタイプの人種だが、偽善者のいやらしさはないせいか、映画の主人公としてはおもしろい。
調子に乗ってバカをやるところも含めて、ある意味純粋な印象さえある。
結局仲間を売って自分の刑期を大幅に短縮させた主人公。
自分が張本人のクセにとんでもないヤツだが、ここまで徹底できるなら人生としては楽しそう。
それに比べて、職務に忠実にロイを追い続けた捜査官が、暗い顔でうらぶれた人たちと地下鉄に揺られている姿が印象的でせつない。
ロイが恨みを買った誰かに刺されでもしたほうが、因果応報でスッキリとはするのだけれど。
それにしても、司法取引っていうのはいつもおかしな制度だと違和感を感じる。
犯罪や裁判の多い社会ならそうしないと回っていかないのか。
世間では狂気に見えることが、ウォール街の常識だったりする。
当然フィクションもあるだろうけど、同僚の金魚を食べたり、豊胸手術のために丸刈りしたり、数々の実話がエピソードとして使われているようだ。
ジョーダンとドニーが薬の過剰摂取でヘロヘロになってるいがみ合っているシーンは笑える。
深刻な事態もあくまで明るくカラッとテンポもいい。
人物的には日本のホリエモンをちょっと連想させるが、デカプリオとでは顔面偏差値が違いすぎて。
もうちょっとイケメンだったら、事件後も人気者でいられたのだろうか。
スコセッシ映画の中では一番おもしろかった。
齢70に届いたおじいちゃんが作ったとは思えないほど尖っている。