28.《ネタバレ》 昔々TVで鑑賞してぶっ飛んだ記憶あり。どうしてももう一度観たくなって「勅使河原宏の世界DVD6枚セット」を購入。前衛、不条理、妖艶。よくある前衛のための前衛ではなく、理解できる前衛、だけど不条理、でもよくわかる、というのがすごいすごい。原作脚本がすごいのか、映像化した監督が偉いのかはわからないが、とにかく観て損なし。この映画はあえてモノクロで撮っているのだろうか。モノクロが、御陣乗太鼓のねじ式的な強烈な不安感をうまく表現しているし、岸田今日子の艶っぽさもカラーだったらどうだったか?満点。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 10点(2013-01-02 13:53:26) |
27.《ネタバレ》 <原作既読>何たる不条理。昆虫採集に訪れた地で監禁され労働を強いられる男。どうにかして逃げ出そうとするが、砂がそれを許さない。女とのちょいエロな関係(岸田今日子が絶妙)、不気味な村人との闘い、スリリングだ。しかし人間とはなんと面白い生き物か。こんな事態にも適応し始める。働かなければ水も貰えないが、逆に働きさえすれば酒、タバコといった嗜好品も配給され、気がつけば同じく配給された雑誌のちょっとしたイラストに大笑いしていたりする。偶然の発明である貯水装置に至ってはもはや生きがいのようでもあった。貯水装置の事を村の人々に話したいという欲望にも共感できる。ココで認められたいと…。現状に何となく満足して、変化に億劫になる。若干耳が痛いが、これも人間の本質か。「逃げる手立ては翌日にでも考えればいい」その結果は…。大変面白うございました。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-04 17:46:30) |
26.《ネタバレ》 「映画化」というものの貴重な成功例である。原作に夢中になり、映画館(リバイバル上映だった)でも映像世界に入り込んだ。岸田今日子の鰻のような(?)存在感がいいし、岡田英次も観客の代行をそつなくこなしてくれる。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-03-13 14:35:25) |
25.あの原作をよくここまで映像化できたなあと。作られた時代とか考えると充分な出来だと思います。不満としては砂にまみれた女体のエロスをもっと表現してほしかった(原作読んで砂フェチになった男)。妖怪大戦争で多くの太ももフェチを生み出した三池監督にその部分だけリメイクして欲しい。 【回転】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-02-22 17:59:40) |
24.《ネタバレ》 怖い。何とも恐ろしい映画であると共に話としても本当に怖い。まるで砂そのものが人間のように生命というもの、魂とでも言うべき方が良いかもしれない?生きているようにさえ思えるほどのあの砂の恐ろしいことといったらない。昆虫採集が趣味で偶々鳥取の砂丘へとやって来た男が体験する地獄のような日々、蟻地獄のような世界から何とかして脱出しようとするが、出来ない。いや、一旦は成功したものの、村人に騙され再び地獄のような生活へと戻される。人間は一人では生きていけない。何とかして自分だけでも助かろうとしても砂がそれを許さない。自分の前へと大きく立ちはだかる凄まじいほどの砂、そして、そんな砂同様に自分の前に立ちはだかる一人の女の存在がそれを許そうとしない。この映画は何とも不条理極まりない世界を描くと同時に自分だけは自由であると思ってる人への物凄い強烈なまでの問いかけ、自由だと思ってる人にも自由なんてものはちょっとした事で失ってしまう。どこでどうなるか人間の運命なんてものは解らないと言ってるように思えてならない。岡田英二演じる男が何故、一度は成功した脱走なのにまたあの地獄の生活へと戻ってしまったのだろうか?それは岸田今日子演じる女の存在があればこそであり、その存在の大きさと生きる為に砂をかいてはかいては生き延べようとする姿こそ人間本来の姿を知ったからこそ最後は自分も砂の女(岸田今日子)と同じく砂の男であろうとする。それは何も人生の諦めなんかではなく愛した女の為に自らも砂の男へとなる決心とも言える決断であり、全てを受け入れた瞬間だったのではないだろうか? 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2009-02-14 12:10:57) |
23.俳優陣といい作品の持つ雰囲気といいとてもよかったです。 【frhun】さん [インターネット(字幕)] 9点(2008-03-07 17:22:14) |
22.よくぞ安部公房をここまで映像化したし、それ以上のものではあるのだけど、原作と比較すると、どうしても割り引いて見てしまう。映画→原作の順で鑑賞したら、どうだったか分からないのだが。 【みんな嫌い】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2008-01-21 19:46:58) |
21.《ネタバレ》 安部公房の原作もすごいですが、この映画も負けていませんね。 現実社会の風刺と見るのが一般的なようですが、私にはカルト教団の内部ってこんな感じなんだろうなあと思えてしまいました。臨場感たっぷりの洗脳プロセスを見させてもらった気分です。前半なんか偉そうな主人公が次第に弱ってきて、最後は井戸で部落に貢献しようとまで思ってしまう。怖いですね。 岸田今日子って不気味なおばあさん役がはまる女優さんだなあと思っていたんですが、大昔にもこんな役をやっていたんですね。 【くろゆり】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-01-09 15:56:51) |
20.《ネタバレ》 とてもシュールでよかった。 現実と隔離されている感じがよかった。 現実と切り離されて空間に男と女を置くと、そこに強烈なエロティシズムが発生するのだと勉強になった。 砂が一つの生命を持ったように生き生きと描かれているのが怖かった。 ビンに閉じ込められた虫とかアップで写されているのが印象に残った。 水をとても美味しそうに飲む作品ですね。 砂と水のギャップもあり、水がとても奇麗に澄み切って見えました。 邦画を全く知らなかったので衝撃的でした。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-12-31 00:40:35) |
19.安部公房という作家が原作・脚本を担当、そこにあの『切腹』でも音楽を担当した武満徹が効果的な音楽を提供している。 岡田英次はアラン・レネ監督の『二十四時間の情事(ヒロシマモナムール)(1959)』を観た時に初めて知った俳優だが、アラン・レネの作品自体が趣味に合わなかったということも手伝って、あまり良い印象は持っていなかった。 しかし、本作『砂の女』においてはかなりの個性を発揮しており、その印象は“なかなか味のある俳優だなぁ”というものへと変わった。 そこに対するのは、私の年代の人達にとっても比較的著名な岸田今日子である。 もちろん、私が知っている彼女は“おばあちゃん”な岸田今日子。 こんなに若くて妖艶な彼女に出会ったのは、今回が初めてである。 まずオープニング・タイトル(キャストとスタッフ等の表示)からしてインパクト大。 この時点で、本作に対しただならぬものを感じてしまった。 それは、強いて言葉で表現するならば、 “オープニングでキャスティング等が表示される度に、ハンコ(印鑑)がガツンガツンと表示され、そこに独特の効果音が重なる・・・” というものなのだが、なかなか言葉では伝えにくい類いの演出なので、興味を持たれた方は一見して頂きたい。 かなりサスペンス的要素が強い作品であり、その点だけでも十分楽しめるのだが、最終的には人生哲学的なテーマにまで話が及んでいくという、広範な守備範囲を持つバランスのとれた逸品である。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-09-01 21:45:42) |
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18.タルコフスキーの描く水に匹敵する砂の美しさ。すばらしい。原作・脚本・演出・演技・音楽……すべての要素ががっぷりと四つに組んだかのようにしっかりと相乗効果を生んでいる。前衛的といえば前衛的だけど、例えばゴダールのように、映像の文法を完全に解体したりはしない。あくまでリニアーな物語り展開は崩壊していない。だけれども、描き出された世界のシュールさときたら。永遠に色あせない戦後日本映画の代表作の一つだと思う。高校のとき、現代文の先生がこの作品をなぜか取り上げた。当然、大半の生徒はついていけなかったみたいだけれど、私はとっても面白かった。みんな睡眠に落ちてたけど、私にとっては黄金の午後でした。その直後にNHKで映画が放映された。高校生の未熟な頭脳でも、この映像は衝撃だった。そして、いまだにこの映像は私にとって衝撃的でありつづけている。たぶん、何十年かしてまた見なおしても、この衝撃は色あせないだろうな。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2007-03-02 22:05:23) (良:1票) |
17.安部公房恐るべし。因習の暗喩(管理社会の比喩というよりも、私はこちらを感じた) 。砂そのものの中に住む、いや、住まわて因習を受け入れている女だった。こうなると、使命ともいえる。そして、アリ地獄のごとく因習に縛られる男。少し間違えれば、私の嫌いなアングラ的表現になってしまうのだが、これは表現が写実的なのだ。こんな地方があるわけないのに、砂の世界が、やけにリアル。おどろおどろしい役の岸田今日子が何故か可愛らしい。「ミザリー」の原型では?。「ミザリー」は暴力で押すが、今作品の女性は、ひたむきなのです・・。 【チューン】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-02-23 17:00:19) |
16.《ネタバレ》 砂が少し、また少しと崩れていく光景に異様な美しさを感じる。昆虫採集をしに砂丘へとやって来た一人の教師が、どういう訳か砂の穴の中に閉じ込められてしまう。そこにいた女の正体も謎だし、男を閉じ込めた張本人の人々がやけに親身というところも不気味。最終的に脱出することに成功した主人公も、結局はまた自ら穴の中に舞い戻ってしまう。穴を掘るという行為から、都会では見つけることの出来なかった自分の居場所を砂の中で見出してしまうというオチ。何か妙に”現実的”な感じのする話、順応するって怖い・・・。 【かんたーた】さん 8点(2004-07-07 22:42:55) |
★15.一見ありえない不条理な状況を設定していますが、見ていると 色々な問いを投げかけてきます。 「日々の仕事など意味の無い砂掻きと同じなのでは?」 「帰りたいと思う家など幻想では?」 「生活に不満が多いけど本当は好きでそうしているのでは?」。 怖い映画です。 【amicky】さん 8点(2004-04-18 00:18:37) |
14.これぞ! ! 前衛芸術…とでも言えばいいのだろうか、まあとにかくインパクトのある映画だった。岸田今日子の独特な艶かしさを放つ怪演もさることながら、武満徹の不安を煽る音楽がこの作品の位置付けを決定的にしている。安部公房の同名小説を映像化したものらしいですが、この映画は作り話ではなく実話かも知れませんよ。世間一般の常識では推し量れない村社会が存在し、日本のどこかで今なお行われている事実なのかも知れません。作り手は何が言いたかったのかは分かりかねますが、日本映画史上、記録されるべき傑作には間違いない。 【光りやまねこ】さん 8点(2004-03-22 15:00:59) |
13.蟻地獄のなかで生きるために掘るのか、掘るために生きるのか、無間地獄のなかで無常を悟るような不思議な感覚。そんな蟻地獄の中で生甲斐を見つけ、新しい命まで生まれる。本当に自分を必要としている場所は社会ではなく蟻地獄の中であるという、なんとも不条理極まりなく最高な映画でした。 【亜流派 十五郎】さん 10点(2004-02-23 22:29:07) |
12.ハンコ vs 砂!という映画ですね(違うか)。映像的には『他人の顔』の方がぶっ飛んじゃうんだけど、まだこのサイトに登録されてなかった…とにかく、原作者の脚本だけあって原作に忠実なところがポイント高いです。意外に襲いくる砂の迫力も凄いし、緊張感漂いまくりの構図は(疲れるけど)いい体験。砂丘の奥底で砂の女とセックスしちゃうあたりの不条理感を、お面のインパクトを利用して無理なくスルッと描いちゃったのはお見事でした。 【エスねこ】さん 7点(2004-02-13 00:55:17) |
11.岸田今日子がキレイでびっくりした。なので原作の女とはかなり自分の中ではギャップありました。でも、この映画は、原作の雰囲気が安くならずに出ていて、すごいと思います。ただやっぱり原作の方が好きなので、この点数で。 【コーラL】さん 7点(2004-02-08 18:19:25) |
10.原作が大好きだったのですが、なかなか巧く映画化してくれた気がします。 設定は不条理なのに、描写は生々しく現実的・・・このギャップが素晴らしいのです。 【もえたん】さん 8点(2003-12-17 22:35:08) |
9.久しぶりに強烈な映画を見た。一旦はまったら逃げられない「蟻地獄」、不気味すぎる岸田今日子。暫く頭から離れない。ただ、もし岸田今日子ではなく、当時のアイドル「吉永小百合」だったらと想像すると、ストーリーは全く変わってしまっただろう。また、映画を見た者の中には、期待を胸に砂丘を彷徨う輩も出たことだろう。 【STYX21】さん 9点(2003-11-24 19:59:37) (笑:1票) |