7.《ネタバレ》 教訓シリーズ3作目の主人公「私」が出会った、対照的な二人の女性。まず、離婚歴のあるモードの家に泊まることになった時は、宗教や哲学などの小難しい会話に自分のポリシーや主義を重ね合わせ、結局据え膳は食わずに終わります。
成り行きとはいえ、裸の女性が隣で寝ている。でも彼女を抱くのは自分の主義に反するから抱かないのだ・・・と思ったら、向こうが迫ってきた! そりゃもう手が出るよ・・・いや待て、ここは本能で行動すべきではない・・・という心の声が聞こえてきそうなグダグダな様子。結局モードに「ハッキリしない男は嫌い!」と罵られますが、そりゃ当然です(笑)
その後、意中の女性フランソワーズと出会い、最終的に結婚に至ります。
5年後に家族で海水浴に行くと偶然モードに出会い、フランソワーズはダンナとモードの過去ではなく、「自分の過去の秘密」に不安を覚えますが、それを察した彼は、モードとの一夜を「最後の火遊び」という嘘で、お互い昔のことはもういいじゃんみたいなノリで丸くおさめます。
モードともフランソワーズとも同じようなシチュエーションなのに、モードが相手では自分のポリシーを曲げることはできなかったけど、妻になったフランソワーズの揺れる感情に気付いた瞬間、やさしい嘘がついポロッと・・・。
自分の主義・信仰というカチカチの石頭に人間らしいあたたかさが生まれた、地味だけど良いラストシーンでした。
ちなみに、第3作目の制作年が、4作目の「コレクションする女」よりも遅いのは、制作に取り掛かったものの、いろいろな大人の事情で制作が遅れ、後から作り始めた4作目の方が先に完成してしまった・・・ということらしいです。まあ、どちらを先に見ても問題ないと思いますが。