8.《ネタバレ》 アタシはこの映画、ストレス溜まって楽しめなかったのよね。何故ならリチャード・ジュエルって人がおバカさんだから。
弁護士からFBIに対して何もしゃべるなって釘を刺されてるのにもうペラペラ喋っちゃう。自分に有利不利であることよりもちっぽけな名誉、と言うより意地に拘っちゃったりするの。
その上、ハンティングマニアで銃器大量に所持してたり、権力を微妙に乱用してたり、そんなんじゃ疑われたって仕方ないでしょうよ、ってちょっと投げやりな気分になっちゃうのね。
そして、多分この映画の狙いどころは、そこ。イメージ、先入観で人を決めつけてしまうことの恐ろしさ。イーストウッドは観客に「この人がもしかしたら有罪なんじゃないかって思ってたりする部分がありはしない?」って意地悪く(最近のイーストウッドはちょっと意地悪ね)問いかけてくるのね。そしてアタシは人間が出来てないのでこの映画を見てイラつく、と。人が人を裁くっていうのは大きな責任が伴うこと。それをあまりに軽視してない?って、簡単に人を誹謗中傷しちゃう現代のネット社会にも通じるテーマね。
ただ、新聞記者のあの単純な造形(いかにもな悪なんだけどお母さんの会見1つでコロリと改心しちゃう)とか、FBIの単細胞っぷりとか、全体的にペラペラとした印象があって、イーストウッドにしてはなんだか物足りなさが残ったのも事実ね。
何はともあれ、人は権力に対して強く賢くあれ、って事ね。