5.《ネタバレ》 美しい自然やのどかな人々が醸し出すフィンランドの雰囲気と中国テイストとのマッチングが、最後までかみ合っていないように感じました。音楽等でうまく混ぜ合わせようという工夫が、いまひとつ機能しなかった・・・というか、逆効果だったように思えます。
問題を抱えた中国人親子が異国の地で、シルカや地元の人たちに囲まれて徐々に心を開いていく様子がこの映画の基本軸。しかしその軸への肉付け方があまりにも雑。特に、母親を亡くしてこじれてしまった父と子の関係の描き方・掘り下げ方が甘いため、関係が修復していく様子にも感情移入できませんでした。
また、この映画の重要なキーパーツのように登場させたフォントロンも、「えっ、これが答え?」というあっけなさ。思わせぶりな冒頭のフリが全然活かされていませんでしたね。
心地いいフィンランドの空気感や美味しそうな中国料理など、映像や雰囲気はチェンが作る料理レベルなのに、脚本や演出はシルカのマッシュポテト程度といったところ。こういう雰囲気の映画は好きですが、これはちょっと自分には合わなかったようです。