119.《ネタバレ》 人事だと思って観るようにもできない不思議に同感できる映画。
主人公の設定が共感はできないものの、
夢を見る動物に産まれてきたから同感してしまいます。
この暗さや疎外感や閉鎖感、そして解放されても続くメビウスの輪・・
好きなんだなぁこういうの。
この作品最大の謎は観ている最中よりも、
観終わったあとに訪れます。
数々のサスペンスの前例の記憶からして、
とてもわかりやすく私は最初のほうで(女性がふたり)もうわかってしまいました。
これは・・ビル・プルマン主演デヴィッド・リンチの「ロスト・ハイウェイ」そっくりだ。
しかも公開年が同じ・・(あとで結末が違うことはわかるんですが)
大いなる勘違い。
それまでが自分の予想どおりで楽しくて、
じょじょにそれが間違っていたことがわかりまた楽しい。
(やはりね)(ん?)(んん??)(そうか夢オチか)(えっ違うかも・??)
他に組み立ての面白さでは「ユージュアル・サスペクツ」
「ゲーム」などがあるし、
「パルプ・フィクション」のように途中でシャッフルさせる映画も思い出した。
ここらの作品を例にあげているように、
私は根本的にサスペンスやミステリーには恋愛を前面に出さない映画が好き。
恋愛中心に描かれるとありえない設定から始まるので感情移入しずらいのです。
ところがこの作品はあくまでも恋愛というテーマが主人公の価値観を描く下地になる。
感情移入はできないが同感ができてしまったのは、
この映画の脚本は中半でいじられています。
最後に種明かしされた本当の夢と作られた夢の境界線は、
雨で濡れた路上で酔いつぶれて倒れ寝る主人公が鍵ですが、
それよりも公園のシーンはどうでしょうか。
まったく関係のないシーンを入れて観客を混乱させています。
そこさえ外せばつながりますよ。
あと、夢の中での登場人物は全て自分です。
形は記憶から借りた他人ですが、
それを操作できるのは自分だと思うのです。
自分自身というキーワードが私の見解では、
精神科医だと思うのです。
もしかしたら亡くなった父親の姿を借りているかもしれないし、
白衣を着ていないとか質問攻めにするとか、
これは夢の中でのもうひとつの自分自身の真相なのではと。