6.《ネタバレ》 ハリウッドが創る人種差別をテーマにした作品は重過ぎて鑑賞後精神的にに引きずるか、軽すぎて肩透かしを喰らうかどちらかだったが、本作はその中間と言うか、上手くバランスさせた構成になっている。
それにしてもタラジ・P・ヘンソンは素晴らしい女優さんだ。
「ハッスル&フロウ」や「ベンジャミン・バトン」等々毎回良い演技を見せてくれるが、本作は常に分厚いレンズの眼鏡を掛けていたので、眼の演技がいまいち判り辛いシーンが多く、そこがマイナスポイント。
また、「マン・オブ・スティール」と同様にケビン・コスナーも素晴らしい。
彼は絶頂期に見られた「どう、俺ってカッコいいっしょ?」的な軽い雰囲気が消えて本当に良い俳優になった。
それにしても、あのマーキュリー計画の陰にこの様なドラマがあったとは!
「ライト・スタッフ」に10点満点献上し、トム・ウルフの原作も読破した私は、映画で描かれた才女達の事を全く知らなかった。
本作は彼女達の功績を広く世に知らしめたという点で素晴らしい価値がある作品といえる。
また、恐らくアメリカ近代史に於いて、世に知られている事柄の陰には、本作同様に「埋もれた事実=Hidden Figures」が他にも沢山有るはずだ。
その様な知られざる歴史に光を当てる作品をハリウッドはもっと沢山創るべき。
そうする事で人種差別主義が公然と語られる様になってしまった今の哀しいアメリカに、少しでも明るい光が当る様にして欲しい。