6.「20世紀少年」映画化。その第一報を聞いた時、まったく手放しで期待感に溢れた原作ファンの割合は一体どれほどだろうか。
たぶん、原作を深く読んでいる人であればあるほど、まず頭に浮かんだのは、「日本映画では無理だ」ということだったと思う。
要するに、端から期待すべき映画では無かったとは思う。
ただ、それでも、原作のキャラクターのビジュアルを大いに意識したキャスティングが揃っていくにつれ、どうしたって期待感は膨らんでいくというもの。
そういう意味では、このキャスティングについては、きちんと「見事だ」と言いたい。
この辺りで、はっきりと結論を言わせてもらうと、十中八九「駄作」である。
結局のところ、もう幾度も失望した部分ではあるが、大作になればなるほど、監督の人選は最重要点であり、相変わらず日本人は巨費を使うことがへたくそ過ぎるということを、再確認した。
ここで一々、監督の落ち度をあれこれと言う気はないが、日本映画なりに巨額の制作費を投じたというのなら、せめてそれももう少し上手に使ってほしいと思った。
もっと重要に見せるべきシーンはあったろうし、映像化するからこそ意味のあるシーンもあったと思う。
いくら元が面白いものでも、面白く見せようとする工夫をせず、ただ上辺をなぞるだけでは、面白くなるわけがなく、意味がない。
ある部分において、映画以上に漫画が好きなので、いつも思うことなのだが。
日本の優れた漫画家の創造性は、日本の優れた映画監督の創造性を遥かに凌ぐと思う。
それは、世界に通用する日本のポップカルチャーの最先鋒が「漫画」であり、日本国内の浸透性においても、「映画」より「漫画」の方が高いことからも明らかだ。
“畑”が違うことが重々承知ではあるが、こういう結果を目の当たりにすると、
「もう、浦沢直樹にそのまま監督させれば良かったんじゃねーの」
とか、
「アニメ映画にすれば良かったのに……」
と、思わざるを得ない。