★1.トーキー第一作として、うがいや水洗トイレなどの水をめぐる音響を まず採り入れるあたりがルノワールらしいが、 何よりも全編ひっきりなしの対話の応酬が耳を引く。
連音(リエゾン)を巡ってのやりとりや、大仰な感嘆詞の連発など、 フランス語の発音自体の面白味をトーキーに活かしている。
主要な登場人物は5人、舞台は主に4つの屋内空間という簡素さ。
カメラはフィックスのフルショット主体で、登場人物の芝居も演劇調だが、 ドアからの出入りの活用と、複数のカメラでのアクション繋ぎによって 画面にアクセントを付けている。
印象的な効果音は、おまるの破砕音と水洗トイレの水流音。
少々物足りない感もあるが、あれもこれもと欲張らない分、 その即物的な音響はストーリーと絡んだ形で響き、 SEだけを浮き上がらせてはいない。そこが賢明なところだ。
お話自体は他愛ないが、スピーディなダイアログが映画を満たしている。 【ユーカラ】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-06-24 08:46:55) |