251.《ネタバレ》 山田洋次監督の「運が良けりゃ」以来の時代劇で、この後の「隠し剣 鬼の爪」、「武士の一分」に続く藤沢周平原作三部作の一作目となる。以前にも何度か見ているが、久しぶりに改めて再見。冒頭からリアリズムを感じさせる映像で引き込まれるし、前半で描かれる主人公一家の慎ましい暮らしぶりも実際こうだったのではと感じさせるものがあり、ほぼ初めて手掛けた本格的な時代劇としては完成度も高く良く出来た映画だと思うし、清兵衛(真田広之)が朋江(宮沢りえ)に抱く秘めた想いや葛藤といったものもよく描かれているところは山田監督らしさも感じられるが、山田監督が慣れないジャンルに緊張したのか、余裕がない感じもして、純粋に山田監督の映画として見てしまうと違和感というか、異色作に感じてしまうのも事実。(初めて見た当時はテレビで連続放送していた「男はつらいよ」シリーズをずっと見ていた頃で、何か分からない違和感を感じていたが、それが何なのか今回ようやく分かったような気がする。)また、主演の真田広之と宮沢りえは好演していて素晴らしいと思うものの、山田監督の映画の主演が真田広之というのに何か違和感を感じてしまう。(この点は初めて見たときにそのひとつ前に見た山田作品が「男はつらいよ 幸福の青い鳥」で、マドンナ役だった志穂美悦子に少し似合わなさを感じていたので、山田監督の映画にJAC出身俳優は似合わないと自分が感じてるだけかもしれないが。ちなみに宮沢りえに関してはそういう違和感は全く感じなかった。)これが俳優デビューという田中泯の存在感は初めて見た時も印象に残ったが、今見ても少ない出番ながらやはりクライマックスの清兵衛との対峙シーンの異様な存在感が印象に残る。ただ、やはり、ラストの清兵衛が帰ってきてからあとのくだりは次女のナレーションに無理やりまとめた感があり、居心地の悪さを感じてしまった。(善右衛門を打ち取りに行く直前の清兵衛と朋江の会話の中で出てきた朋江が新しい縁談を受けたという話は何だったんだろう?)とくに年老いた次女(岸恵子)が姿を見せるエピローグ部分は語り過ぎで完全に不要だった気がする。エンドロールのバックに流れる主題歌が井上陽水というのも時代劇には不釣り合い。(曲自体は良いんだけど。)さっきも書いたが、このあたりにも山田監督の緊張と余裕の無さのようなものが感じられる。(このあたりは後の2本では改善されている。)さて、評価であるが、山田監督の映画としてはさっきも書いたように異色作に感じるものの、時代劇映画としては完成度が高く、ドラマとしても見ごたえのあるものになっているので悩ましい。でも、嫌いな映画というわけでもないので後者をとって8点。名作と言われている映画だが、ひょっとしたら山田監督の映画を見慣れていない人のほうが純粋に楽しめる映画かもしれない。(2021年8月14日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2005-03-14 23:23:06) |
250.この映画にノーベル賞なんかを掛けて、騒いだ現代の日本人は、この主人公に何を思ったのだろう。質素堅実な暮らし振りか、清く貧しく美しくの精神か、能ある鷹はツメを隠す謙虚さか。まして小さな幸せに生きるなどと思うのは傲慢この上ない。この映画に象徴されているのは、日本人の古い考え方かもしれないが、人の幸せのあり方だと思う。「子供の成長を見るのは、草木の成長を見るのにも似て、なかなか楽しいものです」そう語った清兵衛は貧しくはあったが、彼の生活は最初から最後まで決して不幸で退屈ではない。周囲に哀れに思われようが見下されようが、自分なりの生活、自分なりの幸せを強くしっかりと心に築いている。「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものも こころなりけり」という辞世の句があるが、豊かな生活や感じる幸せの大小には基準などなく、要は本人の心の持ち方次第なんだなということを思った。発展途上の貧しい国の現地人を日本に招き、近代文明の豊かさを見せつけて彼らが驚く様を描いた某TVなんかがある。きっと幸せであろう貧しい国の彼らを、ふと気の毒に思ってしまう自分の偽善が嫌になる。 当時の家屋や貧しい武士の暮らし振りなどの再現が恐ろしく緻密。帰宅した清兵衛が足袋を脱ぐ、その足袋のオンボロ具合など細部に渡ってそのまま博物館行きとなってもいいようなセッティングぶりには感心した。あと、回想として終始語り続けるナレーションは興醒めに思う。 |
249.清兵衛さん、魅力的ですね。子供もかわいいし。上手くまとまりすぎ、きれい過ぎでよくできたテレビドラマみたいでしたが楽しめました。 【るいるい】さん 6点(2004-12-19 19:45:41) |
248.感動の静寂を破るようで、申し分けないでがんすが、、、、、、、、。バラバラで支離滅裂な作品にしか受け止められませんでした。、、、、、幾度か緊張感のある展開になるものの、その緊張感も、すぐに潮が引くようにだらだらしてくるし、、、、、、前半は、いじいじしていて寅さんだし、、、。で、結局、何を描いた映画なのだか??、、編集が悪いのかなぁ??、、、、、レッドカーペットの上で山田監督は、「人を殺すことの怖さを、ほにゃらら」とのたまったらしいですけど、餓死した農民を二体、プカプカ浮かせて、死んだ役人に蠅をたからせ、清兵衛本人から家老に、人を殺すにはほにゃららと語らせた以外に、それに該当する部分はどれだけあるのだろう。それにもしこの映画の真意がそこにあったのなら、朋江は幼なじみの出戻りである必然性はないし、竹光と知っての余五の豹変を無理矢理とってつける必要もないはずで、、、、、。山田監督は、授賞式に向かう飛行機で、オスカーをとった時のスピーチ原稿を一生懸命に準備していったそうですが、「人を殺すことの怖さ」なんて、その時考えたことではないのかしらと思えます。本当に「人を殺すことの怖さ」を描きたかったのなら、時代劇である必要性なんぞ全くないのではないでしょうか。、、、、、では描いたのは平凡な人生??、、、、清兵衛のどこが平凡なのでしょう。十分に劇的な人生を送っていると思います。それに、世間一般の外見的基準からは平凡でも、それぞれの人の人生は、その人にとっては十分に劇的であるはずだと私は思います。春の香りを感じたり、再び桜を見て経過した一年を思ったり、昔の知り合いの近況をきいてびっくりしたり、それだって十分に劇的なことではないでしょうか。、、、、、、、要するに、庶民の心の機微を描いてきたはずの人が、オスカーをほしがるようになったらおしまいでごんす。 【王の七つの森】さん 3点(2004-12-04 13:59:33) (良:4票)(笑:1票) |
247.うーん、ありがちな時代劇・・。悪くは無いんだけどね~。これだけ騒がれてしまうと、期待してしまうよね~。「雨あがる」と点数同じになってしまったw 【かまるひ】さん 7点(2004-11-20 11:12:17) |
246.邦画にはいつも期待を裏切られているのですが、この作品はよかったです。真田広之の演技は安定しているので安心して見ていられます。宮沢りえは嫌いな女優さんですが、見直しました。あと子役の2人がかわいらしく印象にのこりました。 【kenz】さん 8点(2004-11-04 17:53:15) |
245.時代劇に不慣れな者にも解りやすいゆったりとしたつくりは、老若男女人種を問わず、見て汲み取る事の出来る情感を表現していると思う。その点は評価に値すると思うが、アカデミー賞にノミネートされ英語字幕になった時、そのセリフははたして生かされているのだろうかと、そればかりが心配になった。例えば清兵衛が余五善右衛門の家に入る時の「ごめん」は「Excuse me」なのかなぁ?とか…。あぁDVD見ればわかるんですかね。そうします。その後原作も読んでみたいです。 【ちゃか】さん 7点(2004-10-20 13:28:55) |
244.《ネタバレ》 田中泯が刀を構えながらすっと視線を上げて天井の高さを確認するところ、「うおー、芸が細けー」と感動したのに、結局鴨居に刀ぶつけてやられるんですね。とまあ、それはさておきいい映画でした。 【5454】さん [映画館(字幕)] 8点(2004-10-14 01:06:33) |
243.何故、過去形にしてしまったのだろう…という印象で、終始、娘・以登(岸恵子)による“良き父の思い出”として語らせる演出は余計。現在進行形で進む映画のストーリーも、“語り”という手法で過去形によって話を進めれば進ませる程違和感を覚える。大体、娘の知らない所で父が何をしているか…だなんて、実際に見もしないで語っている時点でリアリティに欠け、虚構のストーリーだと浮き彫りにしているだけで興味が薄れる。ただ、日本の良き情景を背景にたった1人の侍の様を淡々と描く演出なり、独特な味わいがこの映画の特徴で良いと思う。 【_】さん 6点(2004-10-10 15:24:25) (良:1票) |
242.非常に丁寧に作ってあるなというのが第一印象。個人的には黒澤明監督の「七人の侍」や「用心棒」のようなダイナミックな時代劇が好きなのだが、今回「たそがれ清兵衛」を見て、静かだが何か訴えかけてくる時代劇もありかなと思った。なかなか泣かせる話だし、真田広之、宮沢りえが好演していた。宮沢りえはあまり好きではなかったが、ちょっと見なおした。二人の娘たちも、早く自分も子供が欲しくなるくらい可愛かった。殺陣はもう少し派手なのを期待したが、思えば実際はああなのかもしれないな、と妙に納得。あとナレーションを使い過ぎているように感じたが、このナレーションのおかげで映画全体が分かりやすくなっているし、最後のシーンにもつながってくると思うので、これはこれで悪くない。映画が分かりやすいというのは、時代劇をあまり見ない若者にも見せやすいという点で重要なのかもしれない。山田洋次監督の作品は今回が初めてだが、他の作品も見てみたくなった。もちろん次回作「隠し剣 鬼の爪」は必ず映画館で見ます。 【zahrky】さん 9点(2004-09-30 02:32:38) (良:1票) |
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241.ラストサムライでかっちょいいけど内容のない時代劇をみせられた後だったので久しぶりにきちっとした時代劇であったように思う。 【おさむ】さん 7点(2004-08-17 16:09:45) |
240.時代劇がテーマの映画、ただそれだけ。もろ時代劇っていう感じも無く、現代版っていう中途半端な感じにも思えた。最近見てなかったので、ちょっと新鮮に思えたけど、可も無く不可も無くってところだな。 【紅】さん 4点(2004-08-07 15:11:24) (良:1票) |
239.朋江『男の価値は金じゃね(そうだ!その通りだ!)貧乏でもいいだ(泣かすねぇ)やっぱ顔でがんす(・・・・・)』 【諸星わたる】さん 3点(2004-07-19 05:06:33) (笑:2票) |
238.幼い頃に母を亡くした女性が語り手ということで「アラバマ物語」を思い出しました。母の優しさを持つ父親が男らしさを発揮するのが「アラバマ物語」では法廷、この作品ではチャンバラ・・・ということで「アラバマ物語」には勝てそうにないですね・・・。アカデミー賞外国語部門を逃しましたが、日本人の私が見てもちょっとテンポが遅すぎて賞をもらえなかったのはしかたないと思います。真田広之の演技は満点+α。でも、個人的にはもっとマッチョでもっと知的な役で真田さんを見たいです。 【かわまり】さん 6点(2004-07-12 03:02:54) |
237.ラストサムライのような派手さはないけど、細かく人間が描かれていていい。また独特のしゃべりの~がんすっていうのも、その世界観に浸れやすくしていてよかった。 【LYLY】さん 6点(2004-07-05 18:41:20) |
236.アカデミー賞の選考委員が、この映画と、「ラストサムライ」を、おんなじ目で見ていたのかと思うと、ちょっとなあ・・・ 【あすぺん】さん 7点(2004-07-04 02:17:50) |
235.山田洋次の脚本は、相変わらずひどい。説明がくどすぎる、そのくせ、必要な情報を欠いています。言葉にセンスがないのも辛い。演出も、同じ。中学生の学校演劇か、幼児向けの童話を映像化しているような雰囲気があります(ただし、それが山田洋次の味でもあります)。貧乏=臭い、などは、発想があまりにも貧困です。だいたい、藩士が同僚から貧乏を馬鹿にされることなど、あり得ません。大太刀がなくてどう戦うと問われるシーンがありますが、屋内での戦闘で小太刀を使うのは、「常識」です。本作ではこういった考証の甘さ、原作の誤解が多く、目立ちます。サラリーマン万歳、家族万歳のテーマを、今の日本で叫ぶあたりも、「古い」(原作の清兵衛は、強いアウトローとして描かれています)。殺陣のあるシーンは悪くはありませんが、良い、というほどのものでもありません(殺陣自体は、たいしたものではありません)。「もともと山田洋次の映画が好き」、「山田洋次の映画があっている」人は、本作をそれなりに楽しめるかもしれません。それ以外の人たちにとっては、退屈。時代劇ファンは頭を抱え込み、時代小説ファンは気分を害することになるだろうと思います。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー山田洋次に限ったことではないのですが、原作の時代背景などについてろくに調べもしない映画監督が増えているように思います。原作の設定やエピソードのみを拝借し、作品を読み解きもしないで、つまらない三流ドラマを勝手に作り上げてしまう。それは、原作からのパクリでしかありません。本来、日本映画の手本となるべき年寄り監督に、その傾向が強いのが、残念です。 原作「たそがれ清兵衛」は、権力に飲み込まれることのない、強く、「非凡な剣士」を描いた、たいへん魅力のある作品です。 【DONGYAOS】さん 1点(2004-07-02 17:01:56) (良:2票) |
【PAD】さん 8点(2004-06-28 18:21:49) |
★233.時代の雰囲気と平侍の現実的な日常がうまく醸し出されている映画。ラストサムライよりもこっちのほうがリアルです。地味だけどね。 【スーシホ】さん 8点(2004-06-25 19:20:20) |
232.最近、奇をてらった時代劇が多い中で、非常に見やすい時代劇だった。東北弁が気持ちよく、心に響いた。 【如月CUBE】さん 8点(2004-06-21 17:43:58) |