3.《ネタバレ》 シドニー・ルメット版のアルバート・フィニーよりも、より紳士的なケネス・ブラナーのポワロである。
列車内で通路を譲るなどの、女性への対し方がスマートだ。
彼がキャサリンと呼ぶ美しい女性の写真を見るシーンが幾度かあるが、彼の愛した女性か、あるいは娘か、彼女に関する説明は明確には為されない。
が、このさりげないシーンの積み重ねが彼に関するささやかな人物描写となってラストでの彼の決断に納得性を与える。
大筋も謎解きも一緒であるから、このリメイクの見どころは新旧キャストの比較でもあり、時代に即したマイナーチェンジの数々でもある。
車外シーンは実景主体だがほぼ列車内を舞台にしたルメット版に対して、CG感満載だが、スペクタクルとアクションを加味した本作。
クライマックスの舞台も、トンネル内の長テーブルと声の反響、白と黒を活用して12対1を巧く演出している。
スター映画らしく顔のアップ主体だが、ジュディ・デンチをはじめとして表情が大変美しく撮られているのがいい。