25.《ネタバレ》 良く出来た映画だと思う。最初から最後までスクリーンから目を離させない力がある。感情移入できる方は、映画が終わった後しばらく立ち上がれないのではないだろうか。いつもは少しざわついている映画館も、この作品では最初から最後まで見事に「シーーーーーーン」という感じで、エンドロールが終わるまで誰も席を立とうとさえしなかった。 人間として社会生活を送っている以上、立場と理想と現実と真実と嘘が交錯し、それにきりきり舞いさせられることは受け入れるしかないが、その無常感のようなものまで映画のなかに空気としてとりこんでいて、いろんな意味で身につまされる。基本的に登場人物はみなある意味「いい人」なのに。 ひとつ気になったのは、後半の裁判官は被害者の姿を見てないはずなのに、なぜあの「○リコンオヤジがいたいけな少女に肩入れ」的な発言になったのか。 裁判官(前半)から裁判官(後半)への申し送りドキュメントにそこまで書いてあったのかな?。最初は被害者の女の子が、冤罪に気づいていながら押し通そうとするストーリーだと想像してたけど、どうも悪気は無い設定なのかな。あれは。「それでも私は触られた」的な視点、「実は俺(左のデブ)が触ってた」的な視点が見てみたいと思った。しょーもないスピンアウト映画を量産するよりも。ね、亀山さん。 【ジェフゆないてっど】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-02-03 00:46:23) |
24.《ネタバレ》 物凄く良く出来てた。正直このタイトルと日本の裁判制度に疑問を投げかけてるって聞いた時点で裁判の結論は分かってたけど、それにしても歯がゆかった!なんだこの判決!!って思った。この映画が本当だとしたら、有罪を受けるその過程と言ったら酷いもの。この映画によって少しでも多くの人が‘裁判=なんか難しいもの’に目を向けてくれれば本当にいいんじゃないかな。見てる間自分も次の尋問を考えてみたり、傍聴席にいる気分になったり、最後は主人公と同じ、証言台に立たされてる気分にもなって、物凄くのめりこんで見られる映画だった。名言も多かったと思う。とにかく良く出来た映画。面白かった!・・にしても、裁判物の映画ってなんか大概面白いね。 【ネフェルタリ】さん [映画館(字幕)] 10点(2007-02-01 04:50:26) |
23.《ネタバレ》 10年待たせた割には、真面目に作り過ぎですよ~周防監督! テレビでは、社会問題を告発するドキュメンタリー特集などが深夜によく放送されていますよね。結構、共感したり涙ぐんだり、憤ったりするのですが、この映画もその延長線上です。ドキュメンタリーとしては秀逸ですが、シネマの大画面で観る意味はないような気がします。 登場人物すべての感情表現が薄く(あえてそういう演技指導なのでしょうが)、感情移入できず、色彩・音楽とも心に残るものがありません。ここまで淡々と作られては・・・映画の面白みが・・・ 瀬戸朝香を主人公にして、痴漢憎悪の彼女の生い立ち・感情変化・被告との心の触れ合いを通じて司法の壁を描き、最後に「じつはボクはやっていた」というのはいかが? 【つむじ風】さん [映画館(邦画)] 4点(2007-02-01 02:04:04) (良:1票) |
22.《ネタバレ》 電車内での痴漢事件という目線の低いところから始まり、最後は国家的な地平での司法の欠陥について暗たんとさせられる骨太な社会派作品。 裁判員制度導入を前に、決して他人事ではない厳しい現実を前に、軽いウツになることは間違いありません。 テーマは重いですが、観れば一気に引き込まれる演出脚本が見事です。 チカンの映画だと敬遠される方もいると思いますが、時間を作って観るだけの価値は充分にあり、法制度が現実的にどのように運営されるのかもよく分かります。 小日向文世さんの裁判長が本当に怖いですが、彼は悪役ではなく、彼の書いた判決は、目線を違えれば納得のいく内容だと思います。 問題は、警察、検察の証拠収集が万全とは言えないまま、起訴になったことです。 【迷子亭】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-01-31 14:34:48) (良:1票) |
21.《ネタバレ》 一人でも多くの日本人に観て欲しい作品。明日は我が身とはよく言ったもんですが、それだけではなく、近い将来始まる裁判員制度の為にも観るべき映画。裁判官によって判断が変わることや、無罪判決の持つ意味や裁判所の内情もわかり易く描いてます。そしてこの映画を一方的な角度からではなく、冷静に判断して欲しいと思います。この映画は主人公が「やってない」という前提で語られています。何故ならば、わたしたちは所謂「神様」の立場で主人公の内面が語られているのを見てるから。しかし本当に裁判員に選ばれたとしたら、わたしたちは客観的に判断しなくてはなりません。どちらが勘違いや嘘を言っているのかを見極め、どこまで情に流されず真摯に受け止められるのか、そして最初の裁判官のように、冷静に疑問点や矛盾点などを突くことができるのか?裁判官ですら間違いを犯すというのに、果たして本当に間違いない判断を下せるのか?本当に考えさせられます。キャストも皆はまり役ですが、中でも正名僕蔵さん演じる裁判官は本物にしか思えない、素晴らしい演技。他にも細やかな描写も違和感なく描かれており、監督が時間を掛けて調べたというだけのことはあります。例えば、裁判を少しでも有利にするために友人がたくさん人を連れてきたところで、主人公が違和感を持たないでスルーなどしていたら台無しでした。この立場ならこう思うだろう、ということをきちんとやってくれました。時間の長さは気になりませんでした。完成度の高い映画です。 【チャコ】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-31 11:43:41) |
20.《ネタバレ》 面白かった、とはとても言えない。なんたってこの後味の悪さは何?やってもいない犯罪で罰を受けなきゃいけないなんて・・・日本の裁判には問題があると、何となく知っていたとしても、それなりのショックを受けるでしょう。もし自分がこの主人公の立場ならこのように戦えるかなぁ・・・その前に耐えられるか?誰か助けてくれるんか?ココにはかけないようなメチャメチャな行動に出ちゃうかも。いや、そんな勇気も無いか・・・。最初に書いたがこの映画、ぼくはとても面白い作品とは言えない。でも見る価値、語る価値は十分ある映画だと思う。今はとにかく出来るだけ多くの方がこの映画を観て、いろいろ考えていただくことを願うばかりである。 【カズゥー柔術】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-30 01:21:39) |
19.《ネタバレ》 【裁判は真実を明らかにする場所ではない。裁判は被告人が有罪であるか、無罪であるかを集められた証拠で取り敢えず判断する場所に過ぎないのだ。】怖いですね。疑わしきは罰せずではなく、疑わしきは有罪ってのが前提になってる現状は変えていかないと冤罪は無くなりませんね。まぁでもやってる人には今以上の罰則を設けないと舐められてますよ、今の日本は。法を制定した時には想定出来ない事件だらけでしょ。特に少年法。ちょっと脱線。 【ロカホリ】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-29 23:03:56) |
18.主演男優より有名な周防正行の久しぶりの作品。 見終わってこれからも周防監督には1本1本丁寧に 作品を作り続けてもらいたいと思いました。そう思わせるいい作品です。 エンドロールが流れると、普通バラバラと客が席を立つところが、この映画の後では 私を含め他のお客さんも暫く席に座ったまま余韻に浸っていたようでした。 痴漢冤罪をテーマに拘留所、警察、検察官、裁判官、裁判マニア、 被害者、被告とその家族・友人をリズミカルに映し出しています。 言い方は悪いかもしれませんが、映画を見ているだけで いろんな角度から裁判にまつわる情報が入ってくる優れた教育映画のようでした。 後半の裁判シーンでの各役者の演技はよかったです。 感情的になる場面や、相手の嫌がるところを突いていく裁判のやりとりは 他の映画でもありますが、例えば被害者の中学生の問いかけに対する答えまでの微妙な間。普通の人なら一生に一回あるかないかの 裁判で答弁するという緊張感がリアルに伝わってきました。 減点ポイントは小太りのおせっかいな目撃者のキャラクター。 本田博太郎のオカマ役も竹中直人の変な管理人も前半はまだ笑えてよかったのですが、 リアルな裁判シーンが続く後半では、あざとく狙ったような 役作りは余計な演出に感じました。でもこのような映画は邦画の良心です。ぜひヒットして欲しいと思います。これからもがんばれ!周防監督。 【仏向】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-01-29 19:26:44) |
17.《ネタバレ》 ミラーマンも無実かもしれないと思わせる映画です。つい先だっても富山で婦女暴行の冤罪事件が発生し、警察から検察、裁判へと向かう制度そのものの欠点が見えてきた時期に、タイムリーですね。さて、この映画でもっとも感じた事は、登場人物全てが自分が一番正しいと感じ行動している。そんな環境で裁判官は有罪か無罪かを決めなければならず、もしも私が裁くとすれば、まずは容疑者が嘘をついていると疑ってしまう気がします。それ以上にこの映画を見て考えた事、それは裁判官になる上で経験したであろう国語の試験での「作者の主張するところ書け」という試験問題。よくよく考えればあれは「作者」ではなく、「問題作成者」の主張を探さなければならない。だって漱石や鴎外、芥川に答えを聞くことなどできないのですから。そのような試験を一般人以上に多く行ってきた裁判官が本来は「被告の主張を聞くべき裁判の場」において、設問に答えるかのごとく「問題作成者」たる検察の主張を無意識に汲み取ろうとしているのではないか?それがもしも正しければ、案外、裁判官自身は有罪判決を出す事を「自己保身」ではなく「本能」でしているのかもしれない。結局のところ、冤罪が裁判官の「本能」だとすれば司法制度を根本から変えない限り「疑わしきは罰せ」られていくのかもしれません。問題を提起する上でも、映画としても非常によいと思います。 【クルイベル】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-01-29 09:13:15) |
16.《ネタバレ》 そういうふうに作ってある映画だとは解っていても、観ていてイライラしっぱなし。憤りを何かにぶつけたくなり、ひじょ~にストレスが溜まりますね。娯楽になっておらず全く面白くなかったので、そういう意味では1点くらいなのですが、また別の役目を負った作品としては傑作だと思うのでこの点数で。 ところで、私は女ですが、常日頃「女性専用車両」だけではなく「男性専用車両」も作るべきだと思っています。この映画の影響で電車の乗車数が減ったら面白いですね(ある意味)。 【えむぁっ。】さん [映画館(邦画)] 6点(2007-01-29 00:16:10) |
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15.これが現実ならひどい話。一方的に犯人と決め付けて、人を人として扱わない警察のモノの言い方には本当に腹が立った。自分の身にふりかからないように電車乗るときは気を付けます。 【アーリー】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-27 22:28:56) |
14.これはひどい・・・とてもひどい話です。こんなことが本当に起こってるなら日本は早急に裁判制度を見直すべきです。最後の山本耕史の台詞に激しく同意。 【ヴィン】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-27 02:48:24) |
13.《ネタバレ》 日本の司法・裁判制度の問題点、なかなか世間の注目を浴びることの無い部分をこの映画が世間に多少なりとも知らしめた事は評価します。しかし、何ででしょう?妻子ある中年サラリーマンが主役の方が現実感があってよかったと思うのだが・・・それにこの主人公は本当に”やっていない”のか???”やっていない”という彼の証言を信じすぎるのもたいへん危険なことじゃないでしょうか?私は彼が本当は”やっていた”という目線でずっと見ていたんですが。。。彼の行動に疑われるような不審は動きがあまりにも多すぎる以上、疑われるのは当然、クロ判決を受けても致し方ない。少なくとも私は電車通勤時代、満員電車に乗る時は極力疑いを持たれる事がないように心掛けていたし、疑われたくなければそれぐらい注意深く行動すべき。またこの映画を観た一部の悪意を持った人間による”痴漢恐喝”が増えやしないか、とても気がかりです。 【亜流派 十五郎】さん [映画館(邦画)] 6点(2007-01-26 21:13:58) |
12.《ネタバレ》 非常に面白かったです。日本の裁判制度に不信感を通り越して怒りを抱きました。見た人にこのような気持ちを抱かせることができれば、この映画は成功だと思います。以前、NHKで水俣病の裁判で国の責任を認め、被害者救済の道を開いた裁判官が、その後、地方ばかりを回され不遇であったという内容のドキュメンタリーを放送していました。裁判官も人間です。このような事実があると公正な裁判も出来なくなるのではないでしょうか?最初の裁判官が言っていましたが無実の人が有罪になることが無いような裁判制度になることを期待します。 【ポテト】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-01-26 14:04:06) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 やはり周防監督は只者では無い。正直、ずっとコメディを待っていたはずが、まったく違う分野でまざまざと力量を見せつけられた。目撃者の存在とその女性が見つかる過程に安直さを感じさせたが、でもそれをわざと利用しないところを逆に評価したい。設定に手抜きが無く、丹念に調べ尽くされ、近い将来に始まる陪審員制度に対してもある意味影響を与えるだろう。蛇足ながらあの最初の裁判長は俳優なのだろうか、妙な話、彼を見いだした時点で、法廷物としての完成度が揺るぎないこととなった。 |
10.去年の年末、名古屋高裁で名張毒ぶどう酒事件の再審開始決定が取り消された。再審請求人は最高裁で死刑が確定してから35年も獄中から無実を訴え続け、齢80を越えている。ようやく開かれた重い扉が、再び閉ざされてしまった。再審開始を勝ち取るため、弁護団は科学的な実験も行い、今は消えてしまった証拠を新たな見地から導き出したという。「最高裁が下した判決に間違いはありえない」という強い意志が感じられる再審の取消決定。 裁判所は法の下において人を裁く場所ではない。法廷は、官僚である裁判官が主役の「舞台」なのである。裁判官は裁判官として自らを立派に演じ切れば、その後の立身出世も思いのままだ。この映画はドラマではない。いやむしろ実際の法廷の方がもっと馬鹿げたドラマを生み出すこともある。ほとんどの人が裁判の実態など知らないだろうから、映画を観ても作り話にしか思わないかもしれない。しかしこれが日本の裁判制度の現実だ。 だからこそ思う、周防監督の偉大さを。 今は悲惨な事件が多く、被害者救済の声が大きくなっている。それはもちろん大切なことだが、そのために無実の人が裁かれてはいけない。心の叫びをかき消すような時代の渦となってはならないのだ。 【denny-jo】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-01-26 00:07:59) |
★9.映画館からの帰りの電車に両手を上げて乗りたくなる一本です。裁判制度が一定のシナリオに従って、人を個人として扱わず進行していく様に憤りを覚えます。痴漢事件では被害者は犯罪が行われたことを証明する必要は無く、加害者とされる側が犯罪を行っていないことを証明(反証)しない限り有罪となります。加害者とされる側は時間とお金を浪費し、社会的信用を失墜させた挙句、やっと無罪を勝ち取っても、そのいずれも手元に戻っては来ないのです。訴えた者勝ちの現在の裁判制度に一石を投じた奇態の名作です。 【郭嘉】さん [映画館(字幕)] 10点(2007-01-25 15:33:08) (良:3票) |
8.満員電車は 右手は上げて摑まって 左手は鞄を持って 乗りましょうってことですな…コワイコワイ 蛇足:某元大学教授が保釈されたのもタイムリーでした(認めりゃいいのに) 【栗頭豆蔵】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-01-23 13:40:56) |
7.《ネタバレ》 映画には伝えたいことがあるから撮る映画がある。ホテル・ルワンダの時も感じたが、この映画もまさしく伝えたいことがあるために、監督が撮ったものだとわかった。そして、その類の映画でも群を抜いてよい映画だと思う。僕には、監督が問うているのは、痴漢に関して有罪か無罪かの話ではない。日本の民主主義の話をしていると思う。そう、日本の民主主義が変だと言っているのだ。僕も同感である。3権分立の1つが司法である。その裁判所で、無罪の人が一番大変な思いをする。日本もフランス革命などのように血を流して民主主義を勝ち取ってきた歴史を持っていればいいのだが、そうではない。どちらかというと与えられてきた民主主義なのだ。選挙の時に、最高裁判官の信認投票をしたことがあると思う。誰が何をした人かさっぱりわからない。また、○も×もかかずに出すと○となる。詐欺のような話だ。しかも、ほとんどの国民は政権党がその裁判官をも左右していることをしらない。この国は、民主主義のようだが、ちょっと違うのではないか?と警告されているように感じた。こんな映画にはなかなか出会えない。たぶん、今年中の映画でもないだろう。確かこの映画も2年以上かけていると聞いている。昔、黒沢監督の「生きる」の中で住民が役所(俳優ではない)でたらい回しされるのを思い出した。 【matan】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-01-23 01:53:04) (良:1票) |
6.話としては面白かったですが、特に見せ場もなく、あっと驚くような意外な展開もなく、淡々と終わったという感想です。実際の上映時間ほどの長さは感じませんでしたが、この程度の話なら、わざわざ映画館まで足を運ばなくともDVDが出たら家でのんびり鑑賞しても良かったなと思います。主演の彼、他に何をしている人か私は全然知りませんが、演技はなかなか良かったと思います。 |