30.《ネタバレ》 新海誠の映画で最もわかりやすく、血が騒ぐ傑作。
誰もが、何かしらの夢を見たことがあるのではないだろうか。まだ大人じゃない人も、大人になった人も。見て、抱いて、憧れて。
え?夢なんてもう見なくなった?抱く夢も憧れる夢も無くなってしまったって?
だったら夢を叶えて現実(本物)にしちまえばいい。ダメで元々、でも本気で叶えたくなったら…とにかく走ってしまえばいい!
この映画の少年少女は、流れ星を見てイチイチ願い事なんてしない。
手をつなぐだの、抱き合うだの、キスするだのそんなまだるっこしいことなんてしない。
なんせ目覚めた瞬間におっぱいを揉みまくるんだからな。
え?何を言っているか解らないって?俺だって最初ワケがわからなかったが、面白いんだからしょうがない。
冒頭、少年少女の語り、夜空から糸…いや光の線が水面に落ちるように雲を突き破り降り注ぐ。
夜空を奔る星を下から眺め想いを馳せる…そんな人々が“線”で突然結ばれてしまう。
結んでほどいてを繰り返す紐、地図に引かれる線、頬を流れ落ちる涙、襖が奔りまくる敷居、移動と出会いを繰り返す列車、指に嵌められた輪。
胸を揉みしだくのは、服を脱いで裸になるのは、股間に触れるのは、肉体にメッセージを残すのは自分の状況を確認するために。
がんじがらめの学生生活、嫌々の口噛み酒、たっきー「言い値で買おう」、早く大人になりたい、憧れの町に行きたい、自分を変えたい、男らしいイケメンになりたい…そんな少女に何処の誰だか知らねえが素敵な夢と変態生活がプレゼントされる。
大林宣彦「転校生」から受け継がれる奇妙だけど王道まっしぐらな物語。
何が何だかわからない、でも謎を解き明かすために行動していくしかないという強靭な意思。
スカートが切られたら素敵な刺繍をしてやればいい、カフェが無いなら作ってしまえばいい、好きになっちまった女の陰口には机を蹴飛ばして返答・見返してやりゃあいい。
頬の傷の理由が何となく解き明かされていく感じが良いな。アイツはそいう奴なのだ。
だがおっぱいは毎朝揉む。アイツに悪いかな(妹の眼前で揉み続ける)
日記を手紙のように託し合う日々、距離は縮まらなくても深まる気持ち、好きなクセに譲り合っちゃう女心、優しい先輩と親友(おホモだち)、絵や日記を書くのは忘れられないから・忘れないために、会いたくなったら会いに行っちまえばいい。
ルンルン気分の観客を石で殴りつけるような穴、穴、穴の出現、煙草でも吸わなきゃやってらんねえ。
内ヶ島氏「クソッたれがあっ!」
消えていく記録と記憶…いや、たとえ何もかも消え去ろうとも受け継がれるものは受け継がれ、届くものは届く。それを見つけ引き継いでいける人間の可能性は刻だって超えられる、運命だって変えられる!
無我夢中で斜面を登るのは、自転車をこぐのは、とにかく走って走って走りまくるのはただただ会いたいがために。
幾度も響く魂の叫び、共犯するのは友達を助けるため、穴の数が語る過去と未来、すれ違う想いをめぐり会わせる光と影。新海作品名物の風景描写も最高潮!
コケまみれだろうがおまえのだったらいくらでも飲んでやる!
いくらでも揉んでやる!!
いくらでも髪を結んでやる!!!
変態呼ばわりされたっていい、だから忘れないで、忘れてもいつか思い出してくれればいい…。
野郎オオオォォォ名前を言えっつってんだろうがアアアァァァッ!!!!!変なこと書きやがって…立ち上がってまた走り出してやんぞオラアアアッ
少女は、雄々しく走り続ける。最愛の人たちを救いたいから、何よりもう一度会いたい人がいるのだから。