6.家族との間に生じた溝を修復できないまま年老いた男の人生のケジメの付け方。
本作は実話に着想を得た作品ですが、前回のイーストウッド監督主演作「グラン・トリノ」を思い出した。
名監督イーストウッドの作品に、名優イーストウッドが帰ってきてくれたことがまずは嬉しかった。
相変わらず、イーストウッド演じる男は偏屈な一面もあるが、意外にも犯罪組織の連中と饒舌に接している時や、
鼻唄まじりにヤバいブツを運んでいる最中は妙にユーモラスでのんびりとしている。
ピンとしていた背中も少し丸くなってはきた。もうすぐ90歳。それも当然だろうし、だからこその味もあったと思う。
何度も繰り返される運び屋稼業。その中に挿入される家族との関係や、DEA捜査官との味のあるやりとり。
それらが最終盤になって効いてきます。犯罪組織の連中との関りは不完全燃焼な感もありますが、
それよりも最終盤は家族との関わりとケジメの付け方をじっくり見せる。これで良かったと思えました。
そしてラストに流れる主題歌の歌詞がジ~ンと胸に響きます。