35.《ネタバレ》 銀河から集まったアウトロー集団の大暴れを描く快作。
ダークで主人公がウジウジするようなアメコミは嫌だ、頭からっぽで楽しめるのが見たい!という面々が撮った痛快なカウンターパンチ。
それはかつての西部劇といった娯楽映画にも通じる流れ。
「真昼の決闘」という退屈なクソリアリズム西部劇は御免だよ、という人々に向けて撮られた痛快な傑作「ヴェラクルス」や「リオ・ブラボー」といった流れを思い出す。
ただ、最近のアメコミはダークさとツッコミどころにも溢れた従前たるアクション映画の傑作・良作の方が多い。数十年前より遥かに進歩している事は確かだ。
要は雰囲気の問題。
とにかく単純明快で楽しいのが見たいという人に「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を全力でオススメします。
冒頭の病室における別れとレクイエム、膨大な過去が眠るであろう遺跡でダンス、そして踊るようなバトルとそれを盛り上げる“音楽”。
「キック・アス」にも参加したベン・デイヴィスの軽快なキャメラワークも良い。冒頭のお葬式ムードが嘘みたいに馬鹿馬鹿しくなっちまった(褒め言葉)。
時代を超える魂のリズム!クラシックが何百年の時を超えるように、音楽は時代を選ばないし、好きなものに過去も未来も存在しない。その人にとっての現在進行形。それは映画でもアメコミでもアニメでも、すべての娯楽に共通する醍醐味だ。
「スクービー・ドゥー」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」の脚本・「スーパー!」を監督したジェームズ・ガンの演出は楽しい。
今まで参加してきた作品にあった暴力性(ヴァイオレンス)の快感。それを子供も楽しめる生粋のエンターテインメントに仕上げている。
クラシックとアクションが弾ける瞬間!
音楽とダンスは戦闘前にアドレナリンを高めるおまじない。俺には天国のママンがついているぜっ!アジトに殴りこんで獲物を奪い逃げていく見事さ、グリーン姉さん(検索する際は細心の注意を)の大立ち回り、刑務所での大騒ぎと大脱走、次々に増えていく面子。
最愛の人の手を握ってやれなかった幼き頃の悔しさ、今度はもう離さない!たとて氷点下の宇宙だろうと!
え?
横でその他大勢の正義のために立ち上がった面々がアボーンしまくっているって?
主人公のスルースキルがありえないんだぜって?
ここまでCG使うならいっそフルCGにしてくれた方が違和感なかったって?
細かい事は気にするな!ツッコミどころの多さもまた楽しんだもん勝ちの娯楽よぉ!
ラストで“生まれ変わった”者が踊りあげる生命のダンスも可愛い&グッとくるじゃないか。
特に好きになったキャラは宇宙海賊ヨンドゥのオッサン。
地味に無双するわクイルたちの事も何だかんだ言って気にかけてくれる。
流石に原作漫画のモヒカン族(インディアン)スタイルはNGだったか。