60.《ネタバレ》 押井映画最高傑作の1つにして日本アニメ界の金字塔。。。
まあ、余り言ってしまうとアレですが私が定期的に何度も観る映画の1つです。
ともかくこの作品は当の押井氏も言っている様に原作の「うる星」が無ければ出来なかったとか
もしこの「うる星」の世界観無く多元世界を描いたら多分「アヴァロン」に成ってたのかも知れませんね(笑)
さて、作品の内容ですが正に押井さんそのものでして 逆に言えば押井さん以外はこんな映画は作れません。
文化祭前日を永遠に繰り返す事で永遠に現実から逃れられる代わりに現実へは戻れない。
しかし良く考えれば帰るべき現実など本当に存在するのか?いや、そんな物は本当は要らないのでは?
世界全体で同じ夢を見ればその夢は現実に成り得る。だから夢を観続ける。しかしそれで良いんだろうか?
こんな事がテーマの1つに成ってます。
アヴァロンでは現実を虚構の果てに辿り着く理想の仮想世界として描いてますが
押井さんのアイデンティティの中ではつまり自分が現実として暮らすこの世界の非現実さは何よ?
ああ、夢なら覚めて欲しい。どうすれば本当の現実へ行けるの?こういう事なんだと思います。
これはファンの方なら数々の作品観て分かってらっしゃると思いますが。
温泉マークを初めこの世界の不条理を議論し少しずつ謎を解き明かす事で真理を得て最後は現実世界へ帰還する。
つまり不条理から抜け出したいのなら自分がそれを本当に望み戦わない限り永遠に抜け出る事は出来ない。
タイプは違いますが宮崎駿監督がある意味押井さんの対極に居る人で
雑誌の対談とか見ても喧嘩はしてますがやはりお互いを認め合わざろ得ない。(と、私は勝手に理解しております。。。)
例えるなら紙の裏表の様な関係なのかも知れません。
話が脱線しましたがつまりいま我々が暮らすこの現実を現実として受け入れてしまっている非現実さ。
これをうる星の世界観とカフカやダリの啓示に透過させながら作った事がこの傑作を生んだんだと思います。