6.子供たちが主役を演じており、そういった意味では小津安二郎の初期作品群を想起させる。
中盤は、子供二人の会話が延々と続くが、これははっきり言って面白くはない。
子供たちを扱わせたら、やはり小津の方が数段上である。
成瀬巳喜男監督は、大人の男女の愛憎劇や、腐れ縁などを演出させるとピカイチだが、本作のような子供をメインに据えた作品には不向きの様に思う。
ただ、子供二人の不幸の背後には、大人たちの勝手な色恋沙汰が見え隠れしている。
そういった部分を見れば、確かに成瀬作品であることが分かる。
背景描写や音楽の使い方などは、まさに成瀬作品らしい内容となっており、成瀬ファンにとっては、「愛すべき小品」となるに違いない。