3.《ネタバレ》 面白かったし感動もしたけれど、でも見終わって、なんか足らなくて、なんか余分だった、そんな印象で。全体的には良かったんですが。
原作のイメージとまるで違うっていうのはこの際置いといて(掲載誌の『まんがタウン』なんて知ってる人も少ないでしょうしねぇ。ちなみにその前身は『クレヨンしんちゃん特集号』)。
まず、高畑充希さん、とても可愛く魅力的だったのですが、それが若奥さんとしての、大事なテーマの「夫婦の絆」の一方を支える存在としての魅力からズレてる・・・って。堺雅人の肩や腕にいちいちアゴを乗せるじゃないですか。アレ、犬や猫がよくやりますよね。ウチの猫達みたい。そう、この映画での彼女は愛玩動物的可愛さなんですよ。うーん。
それから鎌倉が妙に狭い閉鎖的空間で。それは毎回この監督の映画に見られる傾向。VFXで創り出した世界は狭く見えがちなわけですが、それに合わせてるのかな?
その、後半に広がる黄泉の国のVFXワールド、デザインは大変に良かったと思います。でも、実際に役者さん達が動く空間が非常に限定的で、ハリボテ感を醸してしまっていて。
幾つか描かれるドラマはどれも途中を切り取った状態で唐突だったりオチが無かったり。堤真一は人間状態のドラマは殆ど無いままにさっさと死んじゃいますし、奥さん側はオチ無し。ボディスナッチャー奥さんの家族はさらっとエッセンスのみで流されちゃうし、でも、そこら辺は主人公夫婦と対比させるカタチでもっと大事に並列して描いても良かったんじゃないかなぁ。
そして、題材的に『学校の怪談』っぽい色あいの映画だけど、子供が見て楽しい、って感じではなくて。実際、日曜の日劇は観客層かなり高め。子供の姿は無し。『鋼の錬金術師』のレビューにも書きましたが、小さい子供も見にくる、っていうのを前提に作って欲しかったかな。家族揃って楽しめる映画、そんな描き方が良かったかも。何しろ東宝邦画系のお正月映画なのですからね。そういうイメージって、この時代、もはや幻想なの?