3.《ネタバレ》 いやこれは素晴らしい。ここ数年見た映画の中でも1番ではないかな。
(といってもコロナ禍で最近はすっかり映画館から遠ざかり、もっぱら家でストリーミング主体になってしまっていたが・・。)
一人の少年の目を通して描かれる、1960年代北アイルランドを舞台とした1つの家族(そしてその周りの人達)の物語。
ケネスブラナーの自伝的な内容でプロテスタントと少数派カトリックとの対立が背景としてあるのだが、
タッチとしては重苦しいものではなく、寧ろそのような情勢の中懸命に暮らそうとする人達の生活を
さらりと爽やかに描いているのが印象的。
(紛争という非日常の中の日常を描いているという意味では「この世界の片隅に」にも通じるものがあるかもしれない。)
とにかく描かれる家族の皆が何か愛おしく(特にじいじとばあば・・)、見終わった後に自然と温かい涙が頬を伝っていた。
主人公の少年が初恋の女の子について、彼女が自分達と対立する宗派であることを父親に相談するシーンがある。
そこで父親が「彼女なら、仮にヒンドゥー教信者だって迎い入れるさ」と言うのだが、これを見て
白人のビルエヴァンスを自身のバンドに加えた事をバッシングされた際
「いいプレイをするなら、仮に肌が緑色のやつだって一緒にやるさ」と言ったマイルスデイビスの言葉を思い出した。
つまり、宗派とか生まれたところや皮膚や目の色ではなく、その人の中身で判断するべきだと言う事。
音楽は、勿論この人しかいないでしょうと言う事でベルファスト出身ヴァンモリソンの曲が終始流れていて
勿論すごくハマっている。