8.《ネタバレ》 非常に楽しかった映画です。
一方で「映画として評価」した場合、これは割と駄作なんじゃないか?というモヤモヤした気持ちも抱えながら見ていました。
この映画には思い出補正がかなり重要です。本来の意味での思い出補正とは違うのですが、どれだけFOXシリーズのマーベル映画に対して思い出があるか、その補正値が重要となります。逆に言えば思い出がない人は多分いまいちです。
なんか宣伝では「この映画には予習は必要ない」とか言ってたらしいですが(自分は未確認)、必要なのは予習ではなく思い出だとどなたかが言ってたのが非常にしっくりと来ています。
クリス・エヴァンスを活用したキャップと思わせといてからのヒューマントーチでしたというネタや、懐かしの旧ジャガーノート、ウェズリー・スナイプスのブレイドやエレクトラなど懐かしい面々、企画倒れのチャニング・テイタムのガンビットなどのマニアックなネタ等、そういうネタを楽しむ人向け映画ですね。
一方で最近の詰まらないMCUにうんざりしてた人に対してもフォローしており、マルチバースつまんないよねという批判(そしてこの映画自体がマルチバースネタを活用しているという皮肉)、ギャラ等のネタなど、ほぼほぼメタ表現ばかりに振り切っていましたね。
そこらへんを許せるかどうかが本作の評価の分かれ目かと思います。
ディズニー自体もマルチバースネタは失敗だったと認めており、つい先日カーンをヴィランとしたMCUの方向性を修正し、まさかのドクタードゥームにヴィラン変え、しかも俳優はロバートダウニーJrというびっくりネタをぶっこんできましたからね。これも割と劇薬だなぁ。サプライズではあるものの、素直に乗り切れないサプライズですわ。みんな納得してるのかな?
そういう「MCUの背景」も込みで笑いをとる映画なので、映画単体としてどーなのよそれ?ってなりますよね。今はウケるけど、将来的に時代背景を知らない人が増えてきたら評価されない映画になるかと思います。
んで肝心の映画内容ですが、ストーリー自体はほんとしょーもない。
懐かしキャラネタをやりたいがために物語がおざなりになりすぎていて、デッドプールって所詮はこんなもんだよね?ということで納得させるしかなかったです。
デッドプールとウルヴァリンとのイチャイチャという感じのバトルについては非常に楽しかったし、カサンドラ・ノヴァの拠点に乗り込んでからのバトルは各ヒーローに各々の特色を生かした戦いが披露されて楽しかったんだけど、不要だったのがデッドプール軍団とのバトル。これまじでつまんないよね。デッドプールとウルヴァリンの特色を生かした共闘というわけではなく、単に強すぎるデッドプールとウルヴァリンが横スクロールアクションとして無双してるだけという。敵のデッドプール軍団の強さもよくわからないし、そもそも敵対する意味もわからないし、最後にピーターが出てきてみんなワッショイして戦闘終了の意味もわからないし。こういうしょうもないギャグでそれまで戦ってたことが一気に沈静化するってのは僕は一番嫌いなやつだなぁ。
バトルの一番の盛り上がりがカサンドラ・ノヴァの拠点なので、以降の蛇足感がかなりありましたね。犬ネタもしつこいし。
ボスであるカサンドラ・ノヴァについてはほんと決着のつけ方が盛り上がらない。能力がチート過ぎたしその対策も中盤でやっちゃったので、最終的なオチのつけ方はあれしかないんだろうけど・・・
原作では相当チートキャラらしいですけどね。原作はどんな奴なんだろうと気になって、フェーズ4以降見ていなかったしゃべんじゃーずの動画を久々に見ちゃったよ。ただカサンドラ・ノヴァ自体がつまらないのか、原作がつまらないのか、解説が下手なのかわからんけど、解説聞いてて「このキャラ原作の方がもっとしょーもない奴だな」ってなりましたね。
一応カサンドラのセリフにあった「子宮内でへその緒でプロフェッサーXをころしそこねた」という話は原作にあるらしいですが、まあどうでもいいか。
ネタが多いので語れる内容は非常に多いし、ソーと違ってギャグが楽しかったのは良かったので個人的な満足度は高いのですが、減点ポイントも非常に多い、そんな感じです。
思い出補正+2でこの点数。