267.《ネタバレ》 5年くらい前、1回目に見たときは韓国版の激安輸入DVDだったからか、
劣悪な画質と異国語字幕のためかあまりいい印象ではなかった。
その上で少々背伸びをしたのであまりに酷い感想文になった。
それを少し改めたい。
まずこの映画は
農民たちの貧窮を見事に描いている。
ここまで絶望的に弱者を描ききった映画もなかなかないと思う。
戦のシーンは圧倒的だった。
この映画ほど臨場感のある戦のシーンは他に見ない。
ここまで徹底して戦を描いた映画は知らない。
たぶん映画におけるリアリティとはこういうことをいうんだろうと思った。
実は自分が1回目に見て一番印象に残っている場面は仲間集めの場面でも戦場面でもなかった。
最年少の勝四郎が森に入って行き、まるで少年のようにはしゃいでいる場面。
川のせせらぐ静かな森。
祠の辺に咲いている花を摘んだ後のことだ。
奇妙な音楽が流れだして花の咲き乱れる不思議な世界に迷い込む。
花の上に寝転んでボーっとしていると川のせせらぐ向こう側に
花を摘む不思議な服装をした若い女性が現れるという場面。
まるで桃源郷か竜宮城かわからないが不思議な世界。
この幻想的な場面が忘れられずにいた。
もうひとつ、菊千代 (三船)の演技は愉快であるが常軌を逸していて狂気ともいえる。
この七人の侍は正統派映画ど真ん中でありながら物語の中に神秘性や狂気を盛り込むことをも忘れていないところが個人的に素晴らしいと思う。
キャラクター性が素晴らしいのに”キャラクターもの”に成り下がらないのはそれだけ物語が強いからだろうか。
ちなみに自分はキャラクターの中では久蔵が好きだ。