61.《ネタバレ》 ネタバレなしで、この映画を語るのは難しいです。かといって、あの映画ナントカ急行殺人事件のように
オチを言ったら、見る価値がなくなる映画とも違う。それは何故か・・? シリアスではないからでしょうか? (禁句?)
あの予告編を見る限り、誰もこんな映画見たくないと思ったはず。しかし、海外からの評判が先行し、見た人達の口コミから
全国へ評価の輪が広がる不思議な光景を見るにつれ、「その映画の、一体何が面白いのか?」が気になって仕方が無い。
どう考えても、低予算のB・・いやCクラスの映画ではないのか? 低予算にしては怖い仕上がりだという持ち上げ評価?
と、いろいろ想像してましたが、公開終了が近くなり、焦って本日見て来ました。 結果? 「面白いです、マジ!」
以下、ネタバレになりますので、未見の人は見ないで下さい。
前半は、問題の「カメラを止めないゾンビ映画」そのもので、その映画のエンドロールまでありました。ここで終っていたら
映画館は暴動が起きるでしょう。金返せ!ふざけんな!・・という流れ。とにもかくにも学芸会のような出来損ない映画・・
そして、後半は、そのワンカットのゾンビ映画が作られる事になり、撮影当日までの、悪戦苦闘の現場が描かれています。
この後半が、爆笑してしまう内容。企画自体が無茶です。ゾンビ物に特化したテレビ番組の目玉企画で、カメラ一台のゾンビ
映画の制作指示はまだしも、生放送でやるという処で、思いっきり無茶になります。現場の混乱は、子供でも想像できる。
その生放送が始まる直前に、俳優がドタキャンしたり、機材がぶっ壊れたりのトラブル連発の中、必死に先へ進もうとする
可哀想?な現場の中で、これまたワガママで傍迷惑で濃過ぎるキャラがぶつかりあうドタバタ劇が繰り広げられます。
面白いのは、あのポンコツなワンカット映画の中で、不自然過ぎる流れや、唐突なセリフが、撮影のトラブルで派生したものだ
とワカッタ時です。 真面目な話し、大声で笑うのを押さえる為に、泣きながら口を押さえ続ける自分にビックリ・・。
そして、ラストもいい。ポンコツで落ちこぼれのようなキャラの皆が、笑顔になる瞬間に、暖かいものが心に残る後味。
なるほどコメディ映画でしたか・・ 予告編のポンコツ感は当然でした。 劇の中に劇がありその中に劇がある構成。
更に、エンドロールでは、そのメイキングがチラ身できまして・・もはやどこからが劇なのか・・(笑
見てる途中で「ああこれは、三谷幸喜さんのラヂオの時間に似た設定だなあ」と思いながら見ていましたが、どっちがどうとか
ではないです。似てるけど違うし、どちらも面白い。
しいて言えば、あっちの作品は、途中が面白くて、ラストが冗長な印象。こちらの映画は、前半のツマラナイ40分を耐えれば
至福の後半戦が堪能できる映画。見終わって映画館を出ても、思い出し笑いが止まらない変な映画でした。
予告編での、「本物のゾンビが来ても、仲間が犠牲になっても、撮影を続けるサイコな監督」のイメージが似合わない理由が
解る後半からラストで、失望と嫌悪感の先行した監督のキャラが、一転して愛おしくなるストーリー。なるほどサスガです。
人への印象は、その行動の理由と背景が解った途端に逆転する事に驚かされます。 人生観変りそう・・
確かに低予算なのは事実ですが、この映画の何処にも、お金掛けるトコがない。マジにストーリー一発の作品でした。
にしても、あのゾンビ映画のラストで、あんな撮影の方法やられたら、絶対演技できずに吹き出すよね。あれが出来るなら
あの女優さんは鉄の心臓ですわ・・ いろいろな面で面白い作品! こりゃウケるわけだ。