118.《ネタバレ》 ~Bohemian Rhapsody~伝統や習慣に囚われない狂詩曲。クイーンという独創的なバンドと、フレディ・マーキュリーの生涯を表すに相応しい曲名にして、映画タイトルだと思う。
ロックが世界の音楽の最先端だった60年代。クイーンが活躍した70年代は、アルバムと世界ツアーが成功の証だった。パンクやテクノが馴染んできた80年代、売れるロック(産業ロック)とポップスが音楽の中心となり、映像と歌が両方楽しめるMTVが登場。
日本ではヘビメタ、ハードロックが大ヒットし、90年代グランジとブリットポップが登場し、音楽の好みが細分化。
世界中誰でも知っているロックバンド・シンガーは消えた2000年代以降。レディー・ガガがポップアイコンとして登場。現在、EDMがそこそこ流行。EDMとか最近の音楽はパソコンで作るものもあるそうで、楽器が弾ける人が流行りのPCの音楽を聞くと、腕がもう一本無いと弾けない音が出てたりと、なんかちょっと、気持ち悪いらしい。
でも、クイーンが今もバリバリ現役で活躍していたら、ラップやPCの音楽も積極的に取り入れたんだろうなって思う。
前置きが長くなったけど、この映画はクイーンのデビューから最盛期(末期)まで、ロックが社会現象になった最後(?)のイベント、世界同時中継のライブ・エイドまでを描いている。
ロックシンガーが社会的影響力を持ち、カリスマ化され、演奏と歌の良し悪しで評価されていた時代。音楽がアナログな手法で作られ、全てに人の手が入り、人が演奏し、人が操作するライブの生々しさと手作り感、当時の熱気、観客のロックへの情熱がよく伝わる。
クイーンとフレディの実話を、ノンフィクションではなく、整理・ディフォルメして描かれた作品で、実際の出来事の順番が前後してたりするそうで、違いを探すのも面白いかもしれない。特にポールがかなりの悪人として描かれていて、実際はどうだったのか?とか。
当時はエイズに関する知識も広まっていなくて、まだ“変態行為の代償”くらいの間違った認識も強い時代。フレディが仲間にエイズを公表したあと、映画みたいに頬にキスやハグが出来たのかなと、気になったりした。
だけどこの映画は、クイーンのロック映画として、スカッと楽しむのが一番正解だと思う。
『Bohemian Rhapsody』『We Will Rock You』『Another One Bites the Dust』名曲誕生の秘話。手作り感。
何よりぽかんと口を開けたブライアン・メイのブライアン・メイらしさ。良い意味でジョン・ディーコンの普通の人っぽさ。
当時ハイランダー観て感動して、アルバムまで買ってしまった『Who Wants to Live Forever』が結構長く掛かって嬉しかった。
大好きな『Killer Queen』は制作秘話とか一曲垂れ流しで30分くらい流してほしかった。
足が長く長髪で、少女漫画の王子様みたいなクイーンは、当時の日本で人気が爆発。特に女の子に人気だったそう。映画ではヒットするまでが短く、フレディもすぐ短髪ヒゲ顔になるけど、ビッグ・イン・ジャパンの先駆けとして、やはり日本は入れてほしかったな。
…そんな事言ってたら映画一本に収まらないか。良いなぁ。やっぱりロックは良い。